FM COCOLO『Vintage Hits Parade』月イチ企画【森田編集長 今月の一冊】『ジョニ・ミッチェル アルバム・ガイド&アーカイヴス』

関西圏で受信可能なFM COCOLOで大好評放送中の番組『Vintage Hits Parade』(毎週日曜 21:00-23:00/DJ 加美幸伸)は、洋楽が熱かった60〜80年代の名曲を、日本でのヒット曲を中心に、その時代背景やエピソードを加え、新たな魅力とともに楽しめる2時間生放送の音楽番組。

同番組内にて、MUSIC LIFE CLUBがコラボしている、その名も “MUSIC LIFE VINTAGE” というコーナー。その “MUSIC LIFE VINTAGE” の毎月最終週放送回でのMUSIC LIFE CLUB現編集長:森田がコメント出演、おススメの書籍とそれにまつわるエピソードを語る【森田編集長の今月の1冊】。今回は2020年1月31日放送分をご紹介。今回森田編集長が取り上げるのは『ジョニ・ミッチェル アルバム・ガイド&アーカイヴス』。

なおインターネットラジオ「radiko」でも試聴可能。関西圏以外の方は「radikoプレミアム」での試聴可能となります。

番組HP
FM COCOLO『Vintage Hits Parade』
(DJ 加美幸伸 / 毎週日曜 21:00-23:00 / 関西圏:76.5MHz / radikoでも試聴可能)

森田編集長 今月の一冊
『ジョニ・ミッチェル アルバム・ガイド&アーカイヴス』

ジョニ・ミッチェル アルバム・ガイド&アーカイヴス

ジョニ・ミッチェル アルバム・ガイド&アーカイヴス〈シンコー・ミュージック・ムック〉

2,530円
Vintage Hit Paradeをお聞きの皆さん、こんばんは。MUSIC LIFE CLUBの森田です。

1/29にはエディ・ヴァン・ヘイレンを追悼するムック2点が、エディ66歳の誕生日1/26に発売になりました。こちらは既に大きな話題になっていますので、ご存知の方も大勢いらっしゃると思います。この2点はおそらく現時点では世界で最も内容の濃い、エディ・ファンなら必ず手元に置いておきたいムックになっていますので、ぜひ店頭でチェックしてみてください。

今日は、その2点ではなく、それに負けないくらい濃厚な一冊をご紹介します。『ジョニ・ミッチェル アルバム・ガイド&アーカイヴス』という書籍でして、タイトルからするとディスコグラフィとアルバムの詳細な解説本、という感じですけれども、もちろんそれが柱の一つではありますが、それだけではなく、インタヴュー、これは貴重なインタヴューの再録になります。ライヴ・リポート記事、それとモリッシーによるインタヴューの完全訳出、詳細なバイオグラフィ、彼女が出てきたシーンの背景、ポピュラー音楽史におけるフォークとジャズの関係性、ギターの変則チューニングに関するコラム、ジョニのジャズ・ミュージシャンとの関係性、それからファンを公言していたプリンスが受けたジョニの影響についての考察、彼女の遺伝子を継ぐミュージシャンたちのカタログまでと、実に多彩な切り口で、彼女の全体像を描こうとしている一冊です。

ジョニ・ミッチェルは日本でもデビュー時から非常に話題になっていました。というのは彼女の作った曲をジュディ・コリンズが歌ってヒットさせたりと、ソングライターとしての話題が先にあったんですね。70年代はじめにアメリカではシンガー・ソングライターの時代がやってきました。米はキャロル・キング、ジェイムス・テイラー、英はキャット・スティーヴンスやエルトン・ジョンなどがヒットを飛ばして、ロック・バンドと並走する感じで自作自演のソロ・シンガーが脚光を浴びたわけです。ジョニ・ミッチェルもそうした中にいたわけですが、彼女が他のミュージシャンたちと大きく違っていたのは、ジャズを取り込んで血肉化していった、ということでしょうか。

もちろんジャズを取り入れた人はサイモン&ガーファンクルやティム・バックレー、ヴァン・モリソンなど当時もいましたが、ジョニのように長い期間にわたって、ジャズ・ミュージシャンと共同作業を続け、しかもポップスの世界で音楽的成果をあげた人は、なかなかいないと思います。来日は1970年代には残念ながら実現せずに、1983年にようやく初来日が実現したんですが、私もそれを見まして、彼女のこれまでのロックやジャズ、ソウル、フォークといった音楽の振り幅の大きさですね。それでいてメロディやリズムの豊かさも聞かせてくれていて、凄く圧巻のステージだった事を覚えています。

残念ながら2015年に彼女は病気で倒れてしまい、以来ずっと闘病生活を送っているんですけども、彼女の音楽的な影響は今も続いていまして、最近でもトリビュート・アルバムが作られたり、トリビュート・コンサートが行なわれたりと。おそらくこうした音楽的な影響は今後もずっと続くものと思われます。ジョニ・ミッチェルまだお聴きになった事が無い人は、このアルバム・ガイドをぜひ参考にしてください。非常に沢山の作品があるんですが、その中から有名なモノを選んでお聴きになって、ぜひその音楽の世界にハマってみてもらいたいと思います。自信を持ってオススメ出来る内容になっていますので、店頭でチェックしてみてください。

残念ながらジョニ・ミッチェルに取材したことはありません。彼女はなかなか取材の許可が下りない難しい人で、『MUSIC LIFE』でも直接のインタヴューはおそらく出来てないと思います。音楽ライターを介しての取材というのはあったと思うんですけど。そういう意味でもジョニ・ミッチェルの今回掲載した鈴木さん、湯川さんによるインタヴューというのは非常に貴重なモノです。

私が最初に彼女を聴いたのは『For The Roses』という1972年のアルバムでした。もうすでにその時には前のアルバム『Blue』もヒットしていて、名前だけは知っていました。その次の『Court And Spark』から、ジャズのミュージシャン、トム・スコット&ザ・L.A.エクスプレスなどの人達と交流が始まって、そこから音楽的進化がスゴいスピードで進んでいったんですね。最終的にはジャコ・パストリアスや、『Mingus』ではチャーリー・ミンガスと共同作業のアルバムを作ったりと、そこまで行ってしまったというアーティストはなかなかいません。その辺のアルバムは特に個人的には最もよく聴いた好きなアルバムです。一番好きなのは『Court And Spark』か『The Hissing Of Summer Lawns』(邦題『夏草の誘い』)でしょうか。
商品詳細
ジョニ・ミッチェル
『For the Roses』

MP3(1976/3/5)¥1,000
商品詳細
ジョニ・ミッチェル
『Court and Spark』

MP3(1974/4/1)¥1,050
商品詳細
ジョニ・ミッチェル 
『Mingus』

CD(1990/10/25)輸入盤
商品詳細
ジョニ・ミッチェル
『Hissing of Summer Lawns』

CD(2008/1/13)輸入盤
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