ザ・ドアーズ最後の未発表スタジオ音源『Paris Blues』、11月25日にヴァイナルで発売

ザ・ドアーズがスタジオ録音した最後の未発表曲「Paris Blues」が、同名のコンピレーション・アルバムに収録され、11月25日のレコード・ストア・デイに、1万枚限定のブルー・ヴァイナルで発売されることになりました。

アルバムのカヴァー・アートには、ギタリストのロビー・クリーガーが描いた絵画が採用され、ブルース評論家のメアリー・キャサリン・アルディンによるライナーノーツが付きます。

タイトル曲の「Paris Blues」は、1971年のアルバム『L.A. Woman』のセッション中に録音されましたが、マスターテープが失われ、唯一のコピーがキーボーディストのレイ・マンザレクに渡っていました。しかしながら、当時幼かったマンザレクの息子パブロが、カセットテープの数か所に上書きで録音したために破損してしまい、現在のクリエイティヴな編集方法により蘇ったそうです。

ロビー・クリーガーは、2021年の著書『Set the Night on Fire』で、「Paris Blues」について次のように綴っています。
「この曲は、アルバムに入れるほど良くはなく、マスターテープと僕個人のカセット・ダビングも紛失したため、リリースしなかった。唯一残っていたコピーは、レイのカセット・ダビングだったが、ある日彼がテープレコーダーの中に入れっぱなしにしたところ、当時幼かった息子のパブロがレコーダーのボタンで遊び始め、テープの数か所で音楽が突然途切れ、ゴボゴボというパブロが立てた雑音しか聴こえなくなった。だが、パブロのリミックスがなかったとしても、それほど素晴らしい曲ではなかった。この曲がアウトテイクとされたのには理由があり、マスターテープの紛失を憂慮しなかったのにも理由がある。おそらくパブロは、我々全員の役に立とうとしたんだろう」

また、マンザレクは1997年に行なったファンとのQ&Aで、この曲が『L.A. Woman』時代のものであり、バンドが将来使うために残しておいたと語りましたが、それほど特別な曲ではなく、“ファンキーなブルース” と呼んでいました。

なお、アルバム『Paris Blues』のA面には、クリーガーとジム・モリソンが、1969年5月31日のノーマン・メイラー市長選挙運動の慈善イベントで、デュオとして披露した2曲の未発表ライヴ音源「I Will Never Be Untrue」と「Me and the Devil Blues」（ロバート・ジョンソンのカヴァー）がフィーチャーされています。
前者の「I will Never Be Untrue」は、1970年のアルバム『Morrison Hotel』のために書かれたオリジナル曲ですが、同作には収録されませんでした。

また、1969年のアルバム『Soft Parade』のアウトテイク2曲「（You Need Meat）Don’t Go No Further」と「I’m Your Doctor」も収録されており、どちらの曲もマンザレクがヴォーカルを担当しています。

B面には、2010年にリリースされたライヴ・アルバム『Live in Vancouver 1970』から3曲がフィーチャーされ、1970年6月6日のバンクーバー公演には、伝説的ブルース・シンガー／ギタリストのアルバート・キングが参加しています。