ザ・スペシャルズのリード・シンガー、テリー・ホールが63歳で死去

イングランドの2トーン/スカ・バンド、ザ・スペシャルズ(The Specials)のリード・シンガーだったテリー・ホール(Terry Hall)が12月18日、63歳で死去しました。

バンドがSNSで訃報を伝えています。
「私たちの美しい友人、兄弟であり、この国が生んだ最も素晴らしいシンガー/ソングライター、作詞家の一人であるテリーが、短い闘病の末に他界したことを深い悲しみと共にお知らせいたします。テリーは素晴らしい夫、父親であり、最も優しく、愉快で、最も純粋な魂の持ち主でした。彼の音楽とパフォーマンスには、人生の本質が凝縮されています……それは喜び、痛み、ユーモア、正義のための戦いですが、何よりも愛でした。テリーは、彼を知り、彼を愛したすべての人々から深く惜しまれ、彼の素晴らしい音楽と深い人間性という贈り物を後に残すでしょう」

テリー・ホールは1959年にイングランドのコヴェントリーで生まれ、15歳の誕生日前に学校を辞めた後、様々な短期間の仕事を経て、70年代後半にパンク・バンドのスクワッドに加入しました。

その後、1977年に結成されたザ・スペシャルズに、オリジナル・ヴォーカリストのティム・ストリックランドの後任として加入し、バンドは1978年、クラッシュのUKツアーで前座を務めたことを機に大ブレイクしました。

スペシャルズは、伝統的なジャマイカのスカにパンク・ロックやニュー・ウェイヴの要素を組み合わせた英・2トーンの代表的存在になり、バンドには白人と黒人のメンバーが混在していたため、イギリスの人種闘争時代の包括性においても注目を集めました。

リード・シンガーのホールは1979年、BBCラジオ1のDJジョン・ピールがバンドのデビュー・シングル「Gangsters」をオンエアしたことで世に知られ、バンドは同年、エルヴィス・コステロがプロデュースしたデビュー・アルバム『The Specials』をリリースし、同作にはクリッシー・ハインド(プリテンダーズ)のバック・ヴォーカルがフィーチャーされていました。

翌1980年には、EP「Too Much Too Young」のタイトル曲が第1位を獲得し、続いて1981年の「Ghost Town」もUKシングル・チャートでNo.1を記録しましたが、ホールはその後、バンド仲間のリンヴァル・ゴールディングとネヴィル・ステイプルとスペシャルズを脱退し、ニュー・ウェイヴ・ポップ・バンドのファン・ボーイ・スリー(Fun Boy Three)を結成しました。

ファン・ボーイ・スリーは、1981年のデビュー・シングル「The Lunatics(Have Taken Over the Asylum)」がヒットし、1982年のデビュー・アルバム『Fun Boy Three』もUKチャートで7位を記録、バナナラマとコラボした「It Ain't What You Do(It's the Way That You Do It)」と「Really Saying Something」もUKでヒットしました。
続いてデヴィッド・バーンがプロデュースした1983年のセカンド・アルバム『Waiting』から、「The Tunnel of Love」と、テリーとゴー・ゴーズのジェーン・ウィードリンが共作した「Our Lips Are Sealed」がトップ10シングルになりましたが、同年解散しました。

翌1984年、ホールは元スウィンギング・キャッツのメンバー2名と、ニュー・ウェイヴ・バンドのザ・カラーフィールド(The Colourfield)を結成し、1985年のデビュー・アルバム『Virgins and Philistines』から「Thinking of You」がヒットしました。

1992年には、ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートとデュオ・バンドのヴェガス(Vegas)を結成し、同年リリースしたアルバム『Vegas』から「Possessed」がUKチャートの32位にランクインしました。

その後、ソロに転向したホールは、1994年に初ソロ・アルバム『Home』、1997年にセカンド・ソロ・アルバム『Laugh』を発表。1995年には、ブラー/ゴリラズのデーモン・アルバーンとコラボしたシングル「Rainbows EP」をリリースし、2001年にゴリラズがD12とコラボしたシングル「911」に、ゲスト・ヴォーカリストとしてフィーチャーされました。

また2004年には、翌年グラミーの「最優秀レゲエ・アルバム賞」を受賞したトゥーツ&ザ・メイタルズのアルバム『True Love』にフィーチャーされるなど、ソロとしても活躍していました。

その後ホールは、スペシャルズが2008年の英・音楽フェス「Bestival」で再結成した際の発起人となり、翌年のバンド結成30周年記念ツアーにも参加、バンドが2019年に発表した通算8作目のスタジオ・アルバム『Encore』(2018年10月31日MLCニュース)には、ホールの新曲がフィーチャーされていました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。

※海外における公演の多くにおいては、オーディエンスによる携帯での撮影、そしてその画像・動画のアップロードがアーティスト側にプロモーションの一環として了承・推奨されている場合が多いため、MUSIC LIFE CLUBではそういった情報も掲載しています。

商品詳細
The Specials 
『Protest Songs 1924 2012』


CD(2021/9/24)輸入盤
商品詳細
ザ・スペシャルズ 
『グレイテスト・ヒッツ』


CD(2006/8/9)¥2,090
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