グラミー賞へのノミネート歴を持つハーピスト、ブランディー・ヤンガーがインパルスより3作目となる新作をリリース


グラミー賞へのノミネート歴を持つハーピスト、ブランディー・ヤンガーがインパルスより3作目となる新作をリリースすることが決定!
ブランディー・ヤンガーにとって、「ガダバウト」という言葉は癒しの力となった。この1年間、彼女は個人的な困難に直面してきた。だからこそ、「ガダバウト」のコンセプトは「人生は誰にでも起こること、そして苦難の中でも輝きを追求することが不可欠であること」ということを思い出させてくれた。
「幸せを表す曲を書こうと思った時、『Gadabout Season』が完璧なタイトルだと思いました」と彼女は語った。
伝説的なレーベル、インパルスからの3作目となる『Gadabout Season』はこれまでで最もパーソナルで探求的なアルバムである。ほぼすべての曲をブランディー・ヤンガー自身が制作した、思索的で想像力豊かな作品に仕上がった。
「このアルバムは、人生で最も複雑な瞬間の中で意味と美を探し求め、最終的により深い自己認識へと至る旅を反映しています。音楽的に『Gadabout Season』は他の作品よりもクリエイティブで少し知的な作品になっています」と語っている。
アリス・コルトレーンやドロシー・アシュビーといったハープ界のレジェンドへの革新的な解釈で知られるブランディー・ヤンガー。先人たちの言葉を継承しつつも、独自の作曲スタイルを確立して音楽を作り続けている。独学で作曲を学び、ジャズ、クラシック、オールドスクールR&B、ヒップホップといったハイブリッドな影響を本能的に受けている。
「この作曲プロセスは、私を徹底的に正直にさせてくれました。誰かの作品の陰に隠れるつもりはありません」と彼女は語る。
ブランディー・ヤンガーは今作のほとんどをニューヨーク州北部の田園地帯にある従兄弟の別荘で書き上げた。そこは彼女が集中できる場所で、平和と静寂に包まれ、鳥がさえずり、夜には星が見える場所であった。やがて、ラシャーン・カーター、アラン・メドナードが加わり、プランがまとまった。カーターはヤンガーのハーレムのアパートでアルバム全体のプロデュースとエンジニアリングを行なった。カーターはヤンガーの2つ目の寝室を間に合わせのスタジオに改造し、2024年の後半に数ヶ月かけて『Gadabout Season』を制作した。
「私はスタジオで1曲だけレコーディングすることに慣れているんです。このレコーディング・プロセスは時間をかけてアルバムのサウンドを明らかにし、発見の旅を反映させるために、意図的にゆっくりと行なわれました」とヤンガーは語る。
トリオは各セッションの終わりにアイデアをスケッチしたり即興演奏したりすることに時間を割き、それが 「Reckoning」「Discernment」「End Means」といったトラックを生み出した。
ヤンガーはそのレコーディングの過程で彼女が「人生を変えた」と言った、アリス・コルトレーンが所有していたハープに超越的な魅力を見出した。昨年、インパルスが共催した一連の注目のリリース、イベント、展示会シリーズ「ザ・イヤー・オブ・アリス」を記念してそのハープは修復され、ヤンガーはそのハープの所有者となった。ハープのエネルギーが彼女の演奏をどのように導いたかを振り返りながら、ヤンガーは楽器の威厳と力強さに見合う、「心地よさ」を得るまでには時間がかかったと説明する。
「このハープを自分のものにする必要があったのです。もちろんハープを弾くのは初めてではなかったけれど、この新しい音楽は私にとって唯一無二のものだったから、家でハープと一体化しなければならなかったのです」と語った。
『Gadabout Season』では、ヤンガーがエレクトロニックなテクスチャーやハープのテクニックを進化させ、プロデューサーのカーターが「アフロフューチャー主義的な音のパレット」と表現するような作品に仕上げている。また、素晴らしいゲストを迎え、サウンドの輝きが加速した。夢のような心地と探求心が交互に訪れるタイトル・トラックの「Gadabout Season」はヤンガーの楽しく、風変わりな「外見上の個性」を表現したもので、ヴィブラフォン奏者のジョエル・ロスとパーカッション奏者のマカヤ・マクレイヴン、そしてシャバカがスタッカートのグルーヴの上にクラリネットのラインを描いている。
「Surrender」は、ピアニスト兼作曲家でマッカーサー・フェローのコートニー・ブライアンのために書き下ろされた。コートニー・ブライアンはヤンガーと頻繁にコラボレーションしている。ブリテンの『キャロルの祭典』にインスピレーションを得た「Surrender」について彼女は「祭壇に向かい、すべてを捧げる瞬間を想起させます。私にとって、この曲はアルバムの中で最も心を揺さぶられる曲です。静かな降伏の中に慰めを求める曲です」と語る。
もう一つのハイライトである「BBL」は、軽やかでありながら、くすぶるような緊張感が漂う。「この曲は音楽的な対決だと思っているんです。もし歌詞があったら、警告的になるでしょう。私は市民的な会話をする余地を残していません。」とヤンガーは語る。
彼女の友人でありコラボレーターでもあるミシェル・ンデゲオチェロの進めで、サックス奏者のジョシュ・ジョンソンが「Discernment」に参加。彼のダビーなハーモニーは、サイケデリックな霞の中にクラシックソウルを想起させる。
シャバカは「End Means」のオーケストラにフルートを吹き込んでいる。彼の参加は、ヤンガーが参加しているシャバカの最新リリース『美の恵み(Perceive its Beauty, Acknowledge its Grace)』に続くものだ。「私たちはインパルスの連続体の一部だと思っています」とヤンガーは語った。
『Gadabout Season』はインパルスの歴史における喜ばしい新たな展開であり、世代を象徴するアーティストによる大胆なオリジナル音楽で知られるレーベルの評判をさらに高めるものだ。
「少し立ち止まって、過去と今を振り返ってみると、本当に美しいものを感じます」とヤンガーは振り返った。

ブランディ―・ヤンガー
『Gadabout Season』
・Amazon Music(JUN 13 2025)
・Amazon(2025/6/13)輸入盤CD
2. End Means Feat. Shabaka
3. Gadabout Season
4. Breaking Point
5. Reflection Eternal
6. New Pinnacle
7. Surrender Feat. Courtney Bryan
8. BBL
9. Unswept Corners Feat. NIIA
10. Discernment Feat. Josh Johnson
■ブランディー・ヤンガー プロフィール
NY出身のハープ奏者、作曲家。常にハーピストの新境地を開拓し、ジャンルを超えて活躍の場を広げている。
2021年にはメジャー・デビュー・アルバム『Somewhere Different』に収録されている「Beautiful is Black」で、黒人女性ソロ・アーティストとして、初めてグラミー賞の最優秀インストゥルメンタル作曲賞にノミネートされた。同アルバムは同年、NAACPイメージ・アワードの「Outstanding Jazz Album - Instrumental」部門にノミネートされた。
自身のアンサンブルも率いているが、ソリストとしても活躍し、ファラオ・サンダース、チャーリー・ヘイデン、ローリン・ヒル、ジョン・レジェンド、コモン、ザ・ルーツ、ラヴィ・コルトレーンなどのミュージシャンとの共演歴も持つ。
アリス・コルトレーンやドロシー・アシュビーの系譜にいながらも、チャレンジ性の高い音楽を武器としており、ジャズ、R&B、クラシック、ヒップホップ、ロックなどを融合させた独自のサウンドで、「ハープ界の革命家」という異名を持る。シーンやジャンルに関わらず高い評価を受けている。
2024年、彼女は新たに発見されたアシュビーの楽曲を現代に蘇らせた『Brand New Life』をリリース。この作品で2024年度NAACPイメージ賞の優秀ジャズ・アルバム賞を受賞。2025年にリリースされた『Gadabout Season』は、ヤンガーの比類なきオリジナル音楽に焦点を当てた、より内省的でパーソナルな作品。日々の演奏活動に加え、ヤンガーは教育者としても熱心に活動し、ニューヨーク大学やニュースクール・ミュージックの講師を務めている。
■ブランディー・ヤンガー各種リンク
・公式サイト
・Twitter
・Facebook
・Instagram
・YouTube


ブランディ―・ヤンガー
『サムホウェア・ディファレント』
・Amazon Music(JUN 13 2025)
・Amazon(2021/8/13)¥2,364[CD]

ブランディ―・ヤンガー
『Brand New Life 』
Amazon(2023/4/7)輸入盤[CD]
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