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リッチー・ブラックモア、33年ぶりにディープ・パープルとの共演実現の顛末を語る:「お互い顔を合わせるのはこれが最後になるかも知れないから」

小欄でもお伝えしましたが、8月12日にニューヨーク州ロングアイランドのジョーンズ・ビーチで行なわれたディープ・パープルのライヴのアンコールで、バンド創設者であるギタリストのリッチー・ブラックモアがステージに姿を現わし、終始和やかな雰囲気の中で「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の演奏に参加するという “事件” は、今もまだファンの間に冷めやらぬ余韻を残しています。
Guitar Player誌の最新インタビューによれば、あの一件はブラックモア自身にも非常に鮮烈なインパクトを残した体験だったようです。

「とても感動的だったね。と言うのが、あっという間に出番になって、すぐに演奏に入らなきゃならなかったから」とブラックモアは語っています。「ウォームアップもできなかったけど、思えばそもそも俺は正しい音を出すためにあそこに行ったわけじゃない。俺があそこに出かけて行ったのは旧友たちに会うためだったんだ。彼らとは40年近く会ってなかったし、俺も彼らもみんな年を取ってくばっかりだろ。俺たちみんな悟ってたんだよ、もしかしたらこれがお互い顔を合わせるのは最後になるかも知れないって、多分ね」

1993年11月にバンドとの対立から脱退して以来、ブラックモアはディープ・パープルとは一度も共演しておらず、バンド側も彼との再合流の可能性を一切否定し続けてきました。「リッチーをバンドに迎え入れるなんて、考えること自体が倫理に反する」と、ディープ・パープルのフロントマン、イアン・ギランは2014年にローリング・ストーン誌に語っています。「僕自身はリッチーに対して何の不満もないし、他のメンバーも同様だ。僕は最近リッチーとは連絡を取り合っていて、関係も良好だよ。だから、個人的な確執や恨みなんてものは一切ない。我々はもうそんな感情を抱き続けるような年齢じゃないし、全ては過去のことだ。それでもノーだよ。それは検討にすら値しない」
Deep Purple - Highway Star (from Come Hell or High Water)

※1993年11月、ブラックモア在籍期最後の映像作品となった『Hell Or High Water』より。このバーミンガム公演では1曲目の途中までブラックモアが姿を現さないなどの振る舞いが目立った。

その2年後、バンドがロックの殿堂入りを果たした際にも、ブラックモアは授賞式で彼らと少なくとも1曲は共演したいと望みましたが、ギランとディープ・パープルの他のメンバーたちはあくまで従来の立場を貫き通しました。「我々の歴史の中には意見が合わない人々が存在するんだよ、だからそれはそれとして受け入れる必要がある」と、ドラマーのイアン・ペイスは同年ローリング・ストーン誌に語っていました。「いま優先されるべきは、現在その名を掲げて活動を続け、現役のバンドとして維持しているメンバーたちだ。彼らの判断が最終決定なんだよ」

バンドが自分と一緒に演奏する気がないことを知ったブラックモアは、結局殿堂入り式典自体に出席せず、その後の10年間にもバンドの姿勢には変化の兆しすら見られませんでした。だからこそ、今年8月11日にブラックモアがインスタグラムを通じて、翌晩ディープ・パープルと共演すると発表した時の衝撃は大きかったのです。「昔の仲間たちにまた会えるのは嬉しいね」とブラックモアは語っていました。「みんなそのうち松葉杖や車椅子なんて状態になるだろうからさ、(後から入った)他の連中はきっと大丈夫だろうけど」

Deep Purple Performance at the Rock and Roll Hall of Fame

※2016年、ロックの殿堂入り時のパフォーマンス。当時のギタリストはスティーヴ・モーズ。

Guitar Player誌の最新インタヴューで、ブラックモアは今回の共演実現までの経緯を明かしています。「ある朝目が覚めた時に、と言うのが彼らのショウの前日だったんだけど、『なあ、1曲だけでいいから、例えば「スモーク~」で俺がステージに上がれば、ファンには喜んでもらえるんじゃないか。いまの俺たちは仲違いしているわけじゃないし、殺したいほど憎み合ってるわけでもないってことを示すためだけでもさ』と思ったんだ」と彼は語りました。「うちの妻のキャンディス (ナイト)がイアン・ギランに連絡を取ってくれたんで、俺から『「Smoke」1曲だけ、俺がステージに出て行ってプレイするっていうのはどうかな?』って切り出した。奴の答えを言葉通りに伝えると、『思わずニッコリしちゃったよ(It made me smile)』って言われたんだ。その後、奴がバンドのメンバーにその案を提起したところ、全員からサムズアップがもらえたってさ」
 
近年、自身のバンドであるブラックモアズ・ナイトのツアーでは主にアコースティック・ギターを弾いていたブラックモアですが、昨年心臓発作を起こし、数ヶ月間楽器を弾くこともできなくなっていました。そして、ジョーンズ・ビーチのライヴではディープ・パープルがブラックモア時代の曲を数多く演奏していたにも拘わらず、彼が演奏に参加したのは「スモーク・オン・ザ・ウォーター」1曲だけでした。

「最初のうちはやっぱり不安だったんだ、自分の出してる音がちゃんとオーディエンスに届いてるのか、それとも音が小さ過ぎて聞こえないのか、何も分からなかったからね」と彼は振り返ります。「あそこのたいそう腕のいいギタリスト[サイモン・マクブライド]がデッカいアンプを使ってるのは知ってたから、だったらいっそ俺は50ワットのアンプ1台だけ持って行けばいいやと思ったわけだけど、幸いにも全て上手く行った……難しいとこだったけどな。俺はあまりテクニカルなプレイには走らないようにしたんだ、なるべくシンプルに徹するという基本に忠実であるべきだと感じたからね。それでも一度、自分の立ち位置を見失いかけたんだけど、俺があの場所にいた理由はそんなこととは関係なかった。俺はまだ傷が残ってるならそれを癒やしたかったんだ──だけど、傷なんか一切なかった。まるで昔同じ軍隊で過ごして、西部戦線のあちこちに散らばってた仲間同士が、再び集結したような感じだった。とても感動的な瞬間だったよ」

あの晩彼がプレイしたのは、80年代以来一度も手に取ることのなかったストラトでした。「弦を張り替えて、少し練習もしたんだよ」と彼は言います。「この30年間、まともにストラトを弾いた試しがなかったからね。たまにソロを弾くことはあったけど、普段家で弾くのはもっぱらアコースティック・ギターだ。フィンガーピッキングをする時は右手で、伸ばしてる自分の爪を使うんだけど、ストラトを弾く時はピックを使わなきゃいけないし、爪もうんと短くしなきゃならない。全く違う技術が必要なんだ」

ディープ・パープルのファンの中には、これが再結成ツアーに繋がることを期待している方々もきっとおられるでしょうが、どうやらこれは一度きりのイヴェントということになりそうです。とはいえ、今回の出来事が多少なりとも古傷を癒やしたことは間違いありません。「昨夜、リッチー・ブラックモアをステージに迎え、『スモーク~』を一緒に演奏できたのは、何とも言えず嬉しいことだった」と、ギランはライヴ終演後にネットに投稿しました。「ありがとうリッチー、あれは多くの人々にとって、そして何よりも僕自身にとって、とても大きな意味のあることだったよ」

※海外における公演の多くにおいては、オーディエンスによる携帯での撮影、そしてその画像・動画のアップロードがアーティスト側にプロモーションの一環として了承・推奨されている場合が多いため、MUSIC LIFE CLUBではそういった情報も掲載しています。

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