※関連ニュースをご覧になる場合は、こちら↑のタグ(アーティスト名/項目)をクリック。

元ハートブレイカーズのドラマー、スタン・リンチ、故トム・ペティに捧げるソロ曲「High Flying Bird」リリース。ペティのプライヴェート映像も観られるMVも公開

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの結成50周年記念イヴェントが本格化する中、バンドのオリジナル・ドラマーを務めていたスタン・リンチが、友人でありバンドメイトでもあったペティに対して抱いていた長年にわたる心情を綴ったトリビュート・ナンバー「High Flying Bird」を自らのバンド、スピーカー・ウォーズと共にレコーディングし、新曲として公開しています。

1994年10月、カリフォルニア州マウンテン・ヴューで行なわれたブリッジ・スクール・ベネフィットの公演を最後にハートブレイカーズを脱退したリンチは、この曲を書き始めたのは「もう何年も前」だったそうで、MVは彼が約1年前に発掘し、ペティのアーキヴィストのカタログにも記録として加えられた写真やホーム・ヴィデオで構成されています。「バンドのデビュー50周年記念云々てことに関しては、正直あまり深く考えてなかったんだ」と、今年71歳のリンチは『ビルボード』誌のZoomインタヴューに明かしました。「俺はただ、手元にあるモノを量的に圧縮しようとしてただけなんだ──何百枚ものポラロイド写真や、あの頃の、今まで自分では一度もちゃんと見たことのなかった大量のホームヴィデオを整理しなきゃと思ってね」

「その当時、俺には何年も前に書き始めた、自分がトムに対して抱いてた気持ちを綴った曲があった。でも、それはとてもデリケートでパーソナルな題材だった。そういうテーマで最初から最後まで書いた曲を、果たして本当に世に出したいのかどうか、自分でも確信が持てなかったんだ。でも、あの(アーカイヴ映像の数々)を全部見終わった時、ふと『ああ、これなら……』と思ったんだ」

偶然にも時を同じくして、リンチはペティの長女アドリアから連絡を受けました。彼女は父親の遺産やアーカイヴの管理を行なっており、間もなく発売予定のボックスセット『Origins 1971-1978』(11月6日リリース)の制作を進めていたのです。彼女はリンチに、このプロジェクトや彼女が計画している他の企画への参加を打診しました。「アドリアと友達になれたことが本当に嬉しくてね」と彼は語ります。「何しろ俺がバンドにいた頃、彼女はまだほんの子供だったからさ。改めて会ってみたら、彼女はもう立派な大人の女性になっていて、(ハートブレイカーズの)レガシーを守るために、意欲的に色んなことに取り組んでくれていて、そのおかげで(埋もれた曲や未発表音源という形の)音楽が次々に見つかってるんだ。彼女がフィルターとしての役割を果たしてくれてるおかげで、凄く上手く行ってるんだよ」

「今回のヴィデオも、俺から彼女に『なあ、ちょっとこれ見てくれないか?』って言って見せたら、すぐメールが返って来て、『素敵じゃない』って。その返事を聞いた時点で、俺はもう達成感でいっぱいになったよ。ミッション完了さ」

詩的でメロディアスな「High Flying Bird」──彼が現在所属するバンドの一つ、スピーカー・ウォーズのメンバーと共にレコーディングされたこの曲で──リンチは今はこの世にいないペティを空の遥かな高みを飛ぶ鳥になぞらえ、♪そこから何が見える?/あの柔らかく澄んだ空気の中を飛ぶのはどんな感じ?と問いかけています。曲の後半の、♪分かってる、きっとあなたはそこらを飛び回っているんだって/雲の切れ間の陰に隠れて/俺の番が来たら、あなたは歌ってくれるかな?♪というくだりは、確実に聴く者の心の琴線に触れるものがあります。

「これは俺なりの整理の付け方なんだ」とリンチは説明します。「この曲は自分のために書いたんだよ。自分自身の心の声にちゃんと耳を傾けたかったんだ。兄弟をひとり亡くしたことを、俺はどう感じてるのか? それがごく自然な形で、自分の皮膚から剥がれ落ちたような感覚だった。今の俺は自分の人生の中で、自分の喜びとクリエイティヴィティを最優先にして生きているんだけど、友情も優先事項の高い要素だ。俺としては、ここで何か前向きなことに取り組むべきだと思ったんだよ」

32年前にハートブレイカーズを脱退した際の不和を乗り越え──その後バンド・メンバー全員と和解し、ラインナップに復帰、現在は非常に良い関係を維持しているとのこと──近年のバンドを取り巻く状況について、リンチは前向きな気持ちで臨んでいます。

ここ数年、彼はギタリストのマイク・キャンベル率いるバンド、ダーティ・ノブスでピンチヒッターとしてドラムを担当しており、9月16日にはナッシュヴィルで開催された、今年で第25回となる『Americana Honors & Awards』に他のハートブレイカーズのメンバーと共に参加しました。バンドは同イヴェントで、カントリー・シンガーのクリス・ステイプルトンをフロントマンに迎えてパフォーマンスを披露し、さらに生涯功労賞も受賞しています。「昔一緒に活動してた連中とプレイする時ってさ」、彼は語ります。「みんな、そのメンツが揃えばその頃の自分たちの姿に少しは近づけるんじゃないかって期待がどっかにあるんだよな。けど、現実はそうじゃない。肉体的にも、精神的にも、音楽的にも、俺たちは変わったよ。要は何もかもが変わっちまったってことだ、でも……それでも『そして、ザ・ハートブレイカーズ!』って紹介されるのは、やっぱり嬉しいことなんだ。俺たちは凄くユニークな取り合わせで成り立ってるバンドだからな」

「お互い圧倒的な信頼関係があるんだよ。言葉にしたりはしないけど、俺たちはお互い相性がいいって本気で信じてるんだ。きっとおおっぴらにそれを認めたがる奴はいないだろうけど、俺は認めるよ。とりあえずの話、あのメンバーが集まれば、それだけでめちゃめちゃスペシャルなんだ。(キーボード奏者の)ベンモント・テンチのプレイを聴けるのは、俺にとってはこの上ない贅沢だし……ロン(・ブレア、ベーシスト)もそうだよ。彼ら以外の他のミュージシャンとでは得られない、独特のゆったりした空気感があるんだ」

「無論、トムがいないことで、ドーナツの真ん中にはデッカい穴が開いちまってる──音楽的にも、空間的にも、精神的にもね。彼はケタ外れに有能なリズム・ギタリストだったんだよ、作詞作曲の才能や、元々非常にリズミカルだった歌唱スタイルもさることながらね。リズムを刻むドラマーにとって、彼はまさしく旗手(=先導役、仲間を鼓舞する存在)だった。いわば俺の北極星だったんだよ、彼の歌い方から、どう肩を動かすか、あの銃を構える仕草まで──意味分かるかな? だから、そこの部分は明らかに欠けたままになるけど、それでも俺たちが一緒にやる時は、やっぱり俺たちに変わりないんだよ」

ペティと最後に言葉を交わしたのは2002年、ニューヨークで行なわれたハートブレイカーズのロックの殿堂入り式典だったと言うリンチは、いま振り返ってみても、自分がハートブレイカーズを離れることは当時としては必然だったと語ります。「あれはそうなる運命だったとしか言いようがない。あの時、あのバンドでは俺はもう行き場がなかったんだ。あの時のドラマーを彼らはもう必要としてなかったし、俺には目指すべき別の旅路があり、もうキャリア第二幕の幕開けがすぐそこに迫ってたんだ」

その第二幕には、ドン・ヘンリーやイーグルス、リンゴ・スター、エディ・マネー、ファビュラス・サンダーバーズなど、数多くのアーティストのためにプロデューサー、作詞家、そしてプレイヤーとして幅広く活動することも含まれていました。「後を濁しっぱなしの去り方になっちまったのは今でも申し訳なく思ってるよ」と彼は認めます。「決して友好的な別れ方じゃなかった。サヨナラだって、やり方次第じゃ友好的なものにできたはずなのにな。でも、当時の俺たちはみんな感情を表に出すのが苦手なタイプで、互いにどう話せばいいのかも分からなかったんだ。もっと円満なやり方があったはずなのに」

現在、リンチはソングライティングやプロデュース等、自身の仕事で相変わらず多忙な日々を送っています。その中には今回の新曲をレコーディングしたスピーカー・ウォーズや、ザ・シェフズ──後者はジョージア・サテライツのダン・ベアードや、ロイヤル・コート・オブ・チャイナ及びザ・ブルーフィールズに在籍していたジョー・ブラントンと一緒に組んでいる「ブルータル・ノイズ系」バンド──での活動も含まれており、両バンドとも現在アルバム制作中です。「俺はいつも曲を書いてるよ」とリンチは付け加える。「俺には素晴らしいAクラスのクライアントが揃っているからね、みんな素晴らしい人たちなんだ」

それでも、彼はいつどんな時であれ、ハートブレイカーズ関連のプロジェクトが転がり込んで来れば、喜んで参加する用意があると言います。

「自分よりも遥かに大きな何かの一部になれたこと、そしてトミーやマイク、ベン、ロンと出会えたことが、どれほど幸運だったか、俺は今更ながら痛感してるところなんだよ」とリンチは語ります。「まるで壮大なピンボールだよ、まだほんの若造の頃から、いわゆる一人前の大人になるまで、彼らと互いに刺激し合いながら音楽を作り続けて来られたなんてさ。凄いことだと思うよ。正直なところ、とんでもない経験だ──それ以外の言葉は今、俺の頭には浮かばないよ」

商品情報
Stan Lynch and the Speaker Wars
「High Flying Bird」


Amazon(OCT 02 2026)
商品情報
Tom Petty And The Heartbreakers
『Origins 1971-1978』


Amazon(2026/11/6)輸入盤5LPs+blu-ray+DVD
・CD1:No Sleep Til L.A. & The Cut Out Bin
・CD2:Tom Petty and The Heartbreakers(50th Anniversary Edition)
・CD3:You're Gonna Get It!(50th Anniversary Edition)
・CD4:Live From The Record Plant 1977
・DVD:BBC's Old Grey Whistle Test performance in 1978
・Blu-Ray:Blu-Ray Audio disc with 51 hi-res stereo, atmos and 5.1 immersive mixes
商品情報
Tom Petty And The Heartbreakers
『No Sleep Til L.A.』


Amazon(2026/11/6)輸入盤CD
1 パレード・オブ・ルーンズ
2 ユア・ゴナ・ラーン
3 アナザー・ロンリー・ナイト
4 アイ・キャント・ファイト・イット *
5 デポ・ストリート *
6 シン・シティ
7 ワイルド・アイズ *
8 アンハード・オブ・カインド・オブ・ヒーロー
9 アップ・イン・ミシシッピ・トゥナイト *
10 サティスファイ・ユアセルフ
11 シンス・ユー・セッド・ユー・ラヴ・ミー *
12 ロング・ウェイ

*既出音源のニュー・ミックス・ヴァージョン
商品情報
トム・ペティ
「American Girl(2026 Mix - Extended Version)」


Amazon Music(JUN 26 2026)
商品情報
Various Artists
『Petty Country:A Country Music Celebration Of Tom Petty』


・Amazon Music(JUN 21 2024)
・Amazon(2024/6/21)輸入盤CD
商品詳細
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
『Let Me Up(I’ve Had Enough)』


Amazon Music(APR 27 1987)
商品詳細
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
『Damn The Torpedoes(Remastered)』


Amazon Music(OCT 19 1979)
商品詳細
トム・ペティ
『フル・ムーン・フィーヴァー』


・Amazon Music( APR 24 1989)
・Amazon(2016/6/22)¥1,613・CD
商品情報
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
『Mojo(Extra Mojo Version)』


Amazon Music(OCTOBER 20, 2023)
商品詳細
Tom Petty & The Heartbreakers
『Live at the Fillmore, 1997』[Deluxe]


・Amazon Music(2022/11/25 )
・Amazon(2022/11/25)輸入盤4CDs
・Amazon(2022/11/25)輸入盤6LPs
商品詳細
トム・ペティ
『ザ・ベスト・オブ・エヴリシング ヒッツ・コレクション1976-2016 』


・Amazon Music(MAR 01 2019)
・Amazon(2019/3/1)¥2,782・CD
商品詳細
Mudcrutch 
『マッドクラッチ』


Amazon Music(JUN 04 2008)
商品詳細
Mike Campbell & The Dirty Knobs
『Vagabonds, Virgins & Misfits』


Amazon Music(JUN 14 2024)
商品詳細
The Dirty Knobs
『Wreckless Abandon』


・Amazon Music(2020/3/20)
・Amazon(2020/11/20)輸入盤CD
商品詳細
Mike Campbell & The Dirty Knobs
『External Combustion』


・Amazon Music(2022/3/4)
・Amazon(2022/3/4)輸入盤CD
この記事についてのコメントコメントを投稿

この記事へのコメントはまだありません

ウエスト・コースト・ロック読本

ウエスト・コースト・ロック読本

3,300円
ディスク・コレクション ウエスト・コースト・ロック

ディスク・コレクション ウエスト・コースト・ロック

1,980円
バンド・スコア 70年代アメリカン・ロック[ワイド版]

バンド・スコア 70年代アメリカン・ロック[ワイド版]

4,180円
ぼくのアメリカ音楽漂流~鈴木カツ ライナーノーツ集

ぼくのアメリカ音楽漂流~鈴木カツ ライナーノーツ集

2,420円

RELATED POSTS

関連記事

LATEST POSTS

最新記事

ページトップ