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ザ・ビートルズとエルヴィス・プレスリーの歴史的対面に、新たなエピソードが付け加えられる「僕はその日その場にいたんだ」
マル・エヴァンスはザ・ビートルズのロードマネージャーとして、リヴァプール出身の4人の若者たちが世界的なスーパースターへと成長していく過程を最前列で目撃していました。彼が彼らのロードマネージャー兼ボディーガードとして仕事を始めたのは1963年8月のことで、やがてバンドから厚い信頼を寄せられる側近として、ツアーやスタジオ作業に同行するようになったのです。1966年にポール・マッカートニーと休暇を共にしていた際には、バンドの「分身(オルター・エゴ)」というアイディアをマッカートニーに展開させる手助けまでしていました──ここで得たコンセプトが、彼らにとっても画期的な作品となった『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』の誕生へと繋がっていったのです。
エヴァンスは生前、自身のザ・ビートルズとの冒険を綴った本を執筆する計画を立てており、メンバー4人全員からもそのための許可を得ていました。しかし悲しいことに、彼はその本を完成させることはありませんでした。1976年、自宅で起こった通報騒ぎのさなかに彼は警察官によって射殺され、40歳でこの世を去ってしまったのです。離婚目前という状況に置かれ、精神の均衡を崩してしまったエヴァンスは、警官たちに向かってエアガンを振りかざして挑発したのでした。彼の死は、現在ではいわば「警察の手を借りた自殺」だった可能性があると広く見なされています。
しかしこのほど、ザ・ビートルズとの日々を記した彼の物語が、遂に世に出ることになりました。エヴァンスの遺族が、世界有数のビートルズ研究家であり、同バンドに関する数多くの著書を持つケネス・ウォマックに、エヴァンスの録音資料を提供したのです。ウォマックは2023年にエヴァンスの伝記も出版しており(弊社刊『マル・エヴァンズ もうひとつのビートルズ伝説 』)、この伝記の執筆に際して、エヴァンスが1975年に自伝の執筆中にポータブル・カセット・レコーダーで録音した音源にアクセスを許されていたのでした。
マル・エヴァンズ もうひとつのビートルズ伝説
ケネス・ウォマック(著)、松田ようこ(訳)
BOOK・2024.08.21
ビートルズに愛され頼りにされたマル──活動初期から解散後までのもうひとつの伝説〜『マル・エヴァンズ もうひとつのビートルズ伝説』
「これは、元はと言えばマル自身が出版しようとしていた本であり、ビートルマニアの真髄へと私たちを導き、それがどれほど刺激的なものだったかを思い出させてくれる本だ」と、ウォマックは『ガーディアン』紙に語りました。「彼は一切の忖度なく、本音を語っていて、ザ・ビートルズの真実の姿を私たちに見せてくれている。実にパワフルな内容だし、文字通り新たなネタの宝庫だよ」
その中のひとつが、1965年の全米ツアー中、8月27日にザ・ビートルズがロサンジェルスのベル・エアにあったプレスリーの自宅で、彼と相まみえた時のエピソードです。
「こと音楽性においては、マルはザ・ビートルズよりもエルヴィスの方がずっと好きだったんだ」とウォマックは語ります。「そんなわけで、1965年8月にベル・エアでエルヴィスと会った際、マルはその時の体験や何が起きたかについて、何ページにもわたって事細かに書き綴っているんだ」
「彼らが会った時のことについては、ライターたちの間でも様々な説が飛び交っていた──でも、ここにはその顛末の記録の完全版が載っているんだ、『これが実際に起きたことの一部始終だよ』っていうマルの言葉と共にね」
エヴァンスがプレスリーに対して抱く敬意は、この対面について綴った記述の抜粋からも明確に読み取れます。
「私の人生で決して忘れることのできない日が一つあるとすれば、それはショービジネス界きっての二組の天才たちが直接顔を合わせた、ただ一度きりの機会となったあの日だ。ザ・ビートルズがエルヴィス・プレスリーと出会った日である。私はその日、ハリウッドにあるエルヴィスの豪邸にいたのだった。そして、それは私が有名なビートルズと共に過ごした長き年月の中でも、永遠に最も特別な日であり続けるだろう」
エヴァンスは、プレスリーがメンバーたちを歓迎するためにビートルズのLPをかけてくれていたこと、そしてメンバー全員にギターを用意してくれたことを振り返っています。「彼らは……即興のビート・ミュージックでその場を盛り上げ始めた」のを、彼は畏敬の念を抱きながら聴いていました。
実はエヴァンスがかつてこの世紀の対面について語っていた逸話は、1996年に出版されたザ・ビートルズの『Anthology』にも掲載されています。けれど、本書における彼の回想では、この日に彼が味わった個人的な悲しいエピソードが明らかになっているのです。
「それは確かに胸躍る体験だった、だがある意味では我が人生最大の失望ともなってしまった。エルヴィスの大ファンである身長6フィート3インチの私は、エルヴィスのファンの中でも文字通りの『大』ファンなわけで、かなり目立つと言っていい。そこで、エルヴィスに会いに行くに際し、自分の身だしなみを徹底して整えることにした──スーツをクリーニングに出し、きれいな白いシャツとネクタイを合わせて──めいっぱい伊達男に見えるように磨きをかけたんだ。ところが、クリーニングから戻って来たスーツは、ご丁寧に全てのポケットが縫い閉じられてしまっていた。実は私はいつもプレクトラムを持ち歩いている──アメリカでは『ピック』と呼ばれるところのものだ。これは単なる私の習慣的な癖だ。今これを書いている時にも、もう彼らのために仕事をしているわけでもないのに、相変わらずポケットにはピックが1枚入っているんだ」
「そんなわけで、現地に着いてから、エルヴィスが『誰かピック持ってる人はいる?』と訊ねた時、ポールがこっちを振り返り、『ああ、マルが持ってるよ。あいつはいつもピックを持ってるんだ。ヴァケーションに行く時だって持ち歩いてるんだから!』と言った。私はいつものようにポケットからピックを取り出そうとして、はっと気づいた、私のポケットというポケットが全部縫い閉じられてしまっていることに。結局、私はキッチンでプラスチックのスプーンを折って、エルヴィスのために急ごしらえのピックを作る羽目になったんだ!」
「あれはまったく情けない、がっかりな瞬間だった。私がどれほどエルヴィスにさっとピックを渡し、弾いてもらい、その後返してもらって額縁に入れて飾りたかったことか」
Kenneth Womack(著)
『With the Beatles:Mal Evans' Illustrated Journey – The First Publication of Mal Evans' Personal Beatles Archive of Diaries Photos and Unpublished Memoir』
Amazon(2026/12/1)英語版 /形式: ハードカバー
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「ビートルズと日本」新聞が見た来日狂騒曲
著者:大村 亨
前代未聞のビートルズ研究本」として日本全国のビートルズ・ファンをうならせた『ビートルズと日本』シリーズ、最新刊登場!! 1966年当時の新聞記事(全国紙5紙、スポーツ紙10紙のほか、全47都道府県の地方紙)を調査し構成された本書は、ビートルズ来日への期待をあおる報道以外にも、青少年への悪影響への懸念、公演への参加禁止を報じた記事や、類を見ないまでに厳重になった警備態勢、メンバーの動向を執拗に追いかけた取材、現代と同様の投書による “炎上騒ぎ”、さらには根拠のない噂やデマまで……ビートルズ来日にまつわる混乱と狂騒のエピソードを満載。
ザ・ビートルズ日本公演の全貌
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6/18発売 ビートルズ日本公演の全貌を解き明かし、7つのテーマで構成し検証する一冊〜『ザ・ビートルズ日本公演の全貌』
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ポール・マッカートニー: 著 テッド・ウィドマー:編
BOOK・2026.02.19
6/18発売予定 ポール·マッカートニー自身の名義となる公式書籍、『ウイングス全史 バンド・オン・ザ・ラン』翻訳版の登場
シンコー・ミュージック・ムック
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3/21発売 最新技術で蘇ったザ・ビートルズ『アンソロジー・コレクション』をさまざまな視点から徹底検証!〜『MUSIC LIFE ザ・ビートルズ アンソロジー・コレクション』
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BOOKS・2026.01.22
2/25発売 元新聞記者ならではの切り口でビートルズの魅力を徹底解剖〜『ビートルズ万華鏡 キーワードでめぐるファブ・フォー』
(シンコー・ミュージック・ムック〉
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