「ウッドストック50」が一部勝訴するも問題は山積みのまま

元出資会社の電通イージス・ネットワークが、「ウッドストック50」の開催を一方的にキャンセルし、フェスティバルの銀行口座から違法に1780万ドル(約19億4,800万円)を引き出したとして、主催者側のマイケル・ラングらが5月8日にニューヨーク州の最高裁に訴えていた裁判ですが(5月14日MLCニュース参照)、〈Variety〉によると、5月13日に続き14日にも審理が行われ、5月15日、裁判官のバリー・オストレージャーは、「電通に “ウッドストック50” をキャンセルする権利はない」と判決を下し、フェスティバルの制作は予定通り継続できることになりました。

また裁判官は、電通がフェスティバルの開催を妨害しないよう、「州および郡当局、会場運営者、地元の販売業者、地域の代表者、保険会社、プロデューサー、タレント事務所、出演アーティストらを含め、メディアやフェスティバルの出資者らとの連絡を控えるように」との命令も下しました。

しかしながら、裁判官は「‟ウッドストック50” は、電通側に1780万ドルを銀行口座に返金するよう強制命令を下す資格があるほど重い負担は負っていない」とし、電通側に返金を命じることはありませんでした。

電通の代表者は、次のように発表しています。

「これまで我々が主張してきたことが裁判所に認められ、報われた気持ちです。契約により、‟ウッドストック50” には、フェスティバルの銀行口座に接触する権利はありませんので、現在もアクセスは拒否されており、1780万ドルはアンプリファイ・ライヴ(担当投資会社)の手元にあります。我々が口座からこの金額を引き出したのは、8月中旬までに首尾よく制作できるとは思えない音楽フェスティバルからの損害を軽減するためだったということが、法廷での納得のいく証言によって明らかになりました。フェスティバル開催に必要な複数の許可が下りず、チケットも発売されず、予算も合意に至らず、開催地と関連エリアのための高額で大がかりな道路工事なども始まっておらず、制作に必須だったプロダクション会社も撤退したのですから。‟ウッドストック50” の同意なしにフェスティバルを中止できないことは理解しましたが、裁判官が留意した上記の問題点により、我々がこれ以上フェスティバルに投資することはありません」

新たな投資先を探す羽目になったマイケル・ラングは、「我々が頼るのは常に真実であり、フェスティバルを開催するという信念を失ったことは一度もありません。お待たせしている出演者及びエージェントの忍耐とサポートに感謝申し上げます。‟ウッドストック50”は、驚くほど素晴らしい感動的な経験となるでしょう」と語っています。

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