チーフタンズのリーダー、パディ・モロニーが83歳で死去

1962年に結成されたトラディショナル・アイリッシュ・バンド、ザ・チーフタンズ（Chieftains）の共同創始者で、マルチプレイヤー／作曲家／」プロデューサーでもあったパディ・モロニー（Paddy Moloney）が10月11日、83歳で死去しました。

アイリッシュ・トラディショナル・ミュージック・アーカイヴが訃報を伝えていますが、死因は発表されていません。

チーフタンズは、アイルランドの伝統音楽に現代的アレンジを施したことでアイルランド音楽を世界に広め、グラミー賞を6回受賞しました。

アイルランドのマイケル・D・ヒギンズ大統領は、「アイルランドの音楽コミュニティと、世界中のもっと大きなコミュニティは、チーフタンズの創始者でリーダーだったパディ・モロニーの作品から影響を受け、彼の逝去により大きな悲しみに包まれることでしょう」と追悼しています。

モロニーは1938年8月1日、ダブリンのドニーカーニーで生まれ、両親の影響でアイリッシュ音楽を聴きながら育ちました。8歳からアイルランドのバグパイプを演奏し始めたモロニーは、バグパイプの名人レオ・ローサムに師事し、後にチーフタンズのメンバーとなるショーン・ポッツやマイケル・タブリディ、ショーン・キーンらと演奏するようになりました。

その後、1962年にチーフタンズが結成され、1963年にデビュー・アルバム『The Chieftains』を発表。リーダーのモロニーは、チーフタンズの作曲と編曲を担当したほか、映画『Treasure Island』や『The Grey Fox』などの作曲も手がけていました。

また、1959年にクラダ・レコード（Claddagh Records）を立ち上げていたモロニーは（9月8日MLCニュース参照）、1968年にレーベルのプロデューサーも兼任し、7年にわたりフォークやクラシックなどのアルバム45枚を監修しています。

チーフタンズは、ミック・ジャガー、トム・ジョーンズ、ロジャー・ダルトリー、エミルー・ハリス、マドンナ、ヴァン・モリソン、スティング、ウィリー・ネルソンなど、ポピュラー音楽の全ジャンルで活躍する多数の大物アーティストらと共演し、音楽の要素に独特の解釈を加えてきました。

1991年のクリスマス・アルバム『The Bells of Dublin』には、エルヴィス・コステロ、ジャクソン・ブラウン、マリアンヌ・フェイスフル、リッキー・リー・ジョーンズ、ナンシー・グリフィスらが参加し、50万枚以上を売り上げた同作は、ゴールド・ディスクに認定されています。

なお、チーフタンズは2012年に結成50周年を迎え、Tボーン・バーネットがプロデュースしたアルバム『Voice of Ages』と共に記念ツアーを行ないましたが、2019年からフェアウェル・ツアー「Irish Goodbye Tour」が始まっていました。

このフェアウェル・ツアーでは、ヨーロッパとカナダを経て、2020年3月までアメリカ公演が予定されていましたが、パンデミックの影響により、アメリカの数公演を残したまま延期になっていました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。