オリビア・ニュートン=ジョンが73歳で死去

シンガー/ソングライターで女優のオリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John)が8月8日、乳がんとの長い闘いの末、73歳で亡くなりました。

夫のジョン・イースタリングが訃報を伝えています。

「デイム・オリビア・ニュートン=ジョンが今朝、南カリフォルニアの牧場にて、家族と友人に見守られながら安らかに息を引き取りました。大変辛い時期であるため、家族のプライヴァシーを尊重していただければ幸いです。

オリビアは、30年以上にわたり乳がんとの旅を続け、勝利と希望のシンボルになっていました。彼女の癒しのインスピレーションと植物療法の先駆的な経験は、植物療法と癌の研究に力を注ぐオリビア・ニュートン=ジョン財団基金へと引き継がれます。彼女を追悼し、献花の代わりに、オリビア・ニュートン=ジョン財団基金(ONJFoundationFund.org)への寄付をお願いしたいと思います」
(*デイム〈dame〉=大英勲章第1位および第2位を授与された女性に対する尊称)

オリビアは、1948年に英ケンブリッジで生まれ、6歳の時に家族とオーストラリアのメルボルンへ移住し、14歳でオーストラリアのTV番組に出演していました。

その後、1966年に英デッカ・レコードからデビュー・シングル「Till You Say You’ll Be Mine」をリリースしたオリビアは、1971年にデビュー・アルバム『If Not for You』を発表し、同作のタイトル曲(ボブ・ディランのカヴァー)がオーストラリアで第1位に輝きました。

1973年には、「Let Me Be There」が初めてUSチャートのトップ10ヒットになり、同曲でグラミー賞の「最優秀女性カントリー・ヴォーカル・パフォーマンス賞」を受賞。翌1974年~1976年にかけて、「I Honestly Love You」(邦題「愛の告白」)、「Have You Never Been Mellow」(「そよ風の誘惑」)、「Please Mr. Please」「Something Better To Do」(「秋風のバラード」)をはじめとする7曲が、USチャートで第1位を記録しました。日本では、1976年の「Jolene」(「ジョリーン」)が大ヒットしています。

さらに、ジョン・トラボルタと共演した1978年の映画『Grease』がサウンドトラックと共に世界的に大ヒットし、トラボルタとのデュエット曲「You’re the One That I Want」(邦題「愛のデュエット」)がチャートの第1位、「Hopelessly Devoted to You」(「愛すれど悲し」)が第2位、「Summer Nights」(「想い出のサマー・ナイツ」が第6位を記録。中でも「You’re The One That I Want」は、史上最も売れたシングルの一つとなりました。また1979年には、大英勲章第4位(OBE=Officer of the Order of the British Empire)を受章しています。

80年代には、1981年のアルバム『Physical』(『フィジカル』)がダブル・プラチナに認定され、オリビアのキャリアにおいて最も売れたアルバムになりました。また、1983年の映画『Xanadu』(『ザナドゥ』)は、興行成績が振るわなかったものの、ELOのジェフ・リンが書いたサントラの「Xanadu」や「Magic」が大ヒットしました。

キャリアを通じて4度のグラミー賞に輝き、100万枚以上のレコードを売り上げたオリビアは、1981年に「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイム」の星形プレートに名前が刻まれています。

オリビアが最初に乳がんと診断されたのは1992年のことで、2018年には3度目のガン告知を公表(2018年9月11日MLCニュース)。その後、「オリビアの余命が数週間」という噂が流れましたが、翌2019年の年明けに、噂を一蹴する元気な姿でメッセージ・ビデオを公開していました(2019年1月8日MLCニュース)。

2020年には、オリビアの慈善活動、およびガン研究とエンターテイメントへの貢献が認められ、大英勲章第2位(DBE=Dame Commander of the Order of the British Empire)が授与されました。

オリビアの訃報を受け、ジョン・トラボルタが声明を発表しています。
「最愛のオリビア、あなたは僕らの人生をとても良いものにしてくれました。あなたの影響力は信じられないほど素晴らしかった。心から愛しているよ。そのうちまた会おう。僕らはまた一緒になる。僕はキミと初めて会った瞬間から永遠にキミのものだ。キミのダニー、キミのジョンより!」

この他、訃報に際しポール・スタンレー、セバスチャン・バック、ピーター・フランプトン、ジョン・コラビ、フィル・キャンベルら多くのアーティストが追悼メッセージを寄せています。

blabbermouth.net
PAUL STANLEY, PETER FRAMPTON And SEBASTIAN BACH Among Rockers Mourning OLIVIA NEWTON-JOHN's Death


安らかなる眠りをお祈りいたします。

オリビア・ニュートン・ジョン自伝
オリビア・ニュートン・ジョン自伝
信じることをやめないで



映画『グリース』の世界的ヒット、そして『フィジカル』でのスーパーブレイク。数々の恋愛遍歴や、がんとの幾度にもわたる闘いも克明に記されたビッグ・ボリュームの初自伝。

オリビア・ニュートン・ジョン/著 中川 泉/訳

ウェールズ出身でメルボルンの大学長を務めた父と、ドイツ人でノーベル受賞学者の娘である母を両親に持つオリビアが、オーストラリアのオーディション番組で最優秀賞を15歳で獲得以来、目のさめるような勢いでイギリス、アメリカでの音楽キャリアを積み重ねていく創成期、ジョン・トラボルタとの共演で世界的なヒットを記録した映画『グリース』制作にまつわる秘話の数々、そして『フィジカル』『ザナドゥ』といった80年代を代表するヒット曲に秘められたエピソードや、数々の恋愛遍歴、結婚と離婚、出産、そして、がんとの幾度にもわたる闘いを、まさに「オリビア・ニュートン・ジョンそのまま」と思えてしまうキャラクターと語り口で届けてくれる初の自伝、日本語版がいよいよ登場。

(解説/クリス松村)

■目次
はじめに
著者からひと言
プロローグ
第1章 Sail Into Tomorrow 夢のかなたへ
第2章 Trust Yourself 自分を信じて
第3章 Power of Now ザ・パワー・オブ・ナウ
第4章 I Honestly Love You 愛の告白
第5章 Have You Never Been Mellow そよ風の誘惑
第6章 You're the One That I Want 愛のデュエット
第7章 Grease Is the Word グリース
第8章 Suddenly 恋の感
第9章 Physical フィジカル
第10章 Warm and Tender ウォーム・アンド・テンダー
第11章 The Flower That Shattered the Stone ザ・フラワー・ザット・シャタード・ザ・ストーン
第12章 Why Me ホワイ・ミー
第13章 No Matter What You Do 永遠の愛 
第14章 Dare to Dream デア・トゥ・ドリーム
第15章 Right Here with You あなたのそばで
第16章 Gaia ガイア
第17章 Let Go, Let God レット・ゴー・レット・ゴッド
第18章 Magic マジック
第19章 Pearls On a Chain パールズ・オン・ア・チェイン
第20章 Silent Ruin サイレント・ルーイン
第21章 Trust Yourself 自分を信じて 
第22章 Live On リヴ・オン
第23章 Love Is a Gift ラヴ・イズ・ア・ギフト
エピローグ
あとがき Overnight Observation 眠れぬ想い
私は信じることを絶対にやめない
謝辞 Grace and Gratitude グレイス&グラティチュード
解説 心の誓い/クリス松村


オリビア・ニュートン・ジョン自伝
信じることをやめないで


オリビア・ニュートン・ジョン/著  中川 泉/訳
A5判/464頁
定価:3,300円(税込)/5月18日発売


 
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