※関連ニュースをご覧になる場合は、こちら↑のタグ(アーティスト名/項目)をクリック。

60年代反戦ムーヴメントの旗手、カントリー・ジョー・マクドナルド死去

Country Joe McDonald『Thinking Of Woody Guthrie』
Amazon Music(DEC 01 1969)
1960年代の反戦ムーヴメントを決定づける一曲となったヴェトナム戦争に抗議するアンセム「I-Feel-Like-I’m-Fixin’-to-Die Rag」を生んだカウンターカルチャー・ミュージシャン、カントリー・ジョー・マクドナルドが亡くなりました。享年84。彼の妻キャシーによれば、マクドナルドはカリフォルニア州バークレイの自宅で、パーキンソン病に伴う合併症により息を引き取ったとのことです。彼の死が最初に報じられたのは3月9日のことでした。

カントリー・ジョー・マクドナルドの訃報が掲載された(中央部)公式サイト。

1960年代後半はアーティストたちがポピュラー・ミュージックを政治的表現のプラットフォームとして利用することが劇的に増えた年代で、カントリー・ジョーの音楽もプロテスト・ソングの伝統と密に絡み合うようになりました。ジョーン・バエズやボブ・ディランといった時代を象徴するアーティストたちと共に、マクドナルドもまた、ヴェトナム戦争に直面した世代のフラストレーションをそのまま切り取った風刺的表現や舌鋒鋭い政治的コメントを駆使し、反戦ムーヴメントのサウンドトラックの生成に寄与したひとりだったのです。

彼は本名をジョセフ・アラン・マクドナルドと言い、1942年1月1日にワシントンD.C.で生まれました。ミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせる前の1959年から62年まで、マクドナルドは海軍に在籍していました。彼がサンフランシスコのベイ・エリアに移り住んだのは1965年で、ギタリストのバリー “ザ・フィッシュ” メルトンと共にカントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュを結成したのはそれから間もなくのことです。
 
60年代ベイ・エリアのカウンターカルチャー・シーンから出てきた彼らは、政治的にきわどい歌詞とサイケデリック・ロックをブレンドし、当時の反戦ムーヴメントと密接に結びつけられるようになりました。67年にデビュー・アルバム『Electric Music for the Mind and Body』をリリースすると、60年代後半だけで2枚のアルバムをビルボード・アルバム・チャートの40位以内に送り込み、サンフランシスコのサイケデリック・ロック・ムーヴメントの中で、より幅広い商業的成功を収めたジェファーソン・エアプレインやグレイトフル・デッドと並び、その存在感を確立しました。
Country Joe and the Fish - Not So Sweet Martha Lorraine from Electric Music For The Mind and Body
商品詳細
Country Joe & The Fish
『Electric Music For The Mind And Body』


Amazon Music(JAN 01 2006)
Amazon(2013/4/2)輸入盤・CD
Country Joe & The Fish "Rock And Soul Music"
商品詳細
Country Joe & The Fish
『Together』


Amazon Music(JUL 01 1968)
マクドナルドの最も長く愛された楽曲と言えば、ヴェトナム戦争に抗議する人々の鬨の声となった「I-Feel-Like-I’m-Fixin’-to-Die Rag」でしょう。この曲は1969年、マクドナルドがソロで出演したウッドストック・フェスティヴァルのステージを機に、世界的に有名になりました。彼はこの時、この反戦のアンセムの演奏に入る前に、今や誰もが知るコール&レスポンスによるチャント “Fish Cheer” を先導し、何万何千という観客に罵り言葉の綴りを叫ぶよう鼓舞したのです。
[注:元の歌詞ではfishの綴りをF-I-S-Hとコール&レスポンスするところを、ウッドストックで彼はF-U-C-Kと替えて観客を煽った]
それから何十年も経ってから、マクドナルドはこの曲について、そのメッセージが紛争地で戦っている兵士たちにではなく、政治的指導者たちに向けて意図的に発したものだったと振り返りました。「“Fixin’ to Die Rag” の一番大事なポイントは、あれが戦争に身を投じている兵士たちを責めているわけじゃないという意味で、新たな視点を提示したってことなんだ、」と2016年、ストリート・スピリッツ誌で語った彼は、こう付け加えています。「あの時代の大半のピース・ソングは、実際に戦争を戦ってる兵士を責める内容だったんだよ。でもあれは政治家と兵器を作る連中の責任を追及していただけで、決して兵士たちの責任を問うてはいない。軍隊に入ってる奴だって、あの歌は歌ってよかったんだ。あの歌のアティテュードは『ワーイ、俺たちみんな死ぬんだ』だからさ」
 
1970年代のグループ解散後も、マクドナルドはソロ・アーティストとしてレコーディングとライヴ活動を続け、フォーク、ロック、そして政治的なテーマにクロスオーヴァーした楽曲を書いて数々のアルバムをリリースしています。中でも1986年のアルバム『Vietnam Experience』は、彼の初期の作品の多くを彩ったあの戦争のカルチャー的インパクトを再訪する内容でした。
Requiem for Vietnam (Part 1)
商品詳細
Country Joe McDonald
『Vietnam Experience』


Amazon Music(JAN 09 1986)
60年代後半に経験した商業的ピークを超えることはその後ありませんでしたが、マクドナルドはミュージシャンとして長年活発な活動を展開し、多数のフェスティヴァルでパフォーマンスをこなしたり、戦争や政治、社会の変化を題材にした曲を書いていました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
商品詳細
Country Joe & The Fish
『I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die』


Amazon Music(NOV 01 1967)
商品詳細
Country Joe McDonald
『The Best Of Country Joe McDonald』


Amazon Music(JAN 01 2007)
この記事についてのコメントコメントを投稿

この記事へのコメントはまだありません

ぼくのアメリカ音楽漂流~鈴木カツ ライナーノーツ集

ぼくのアメリカ音楽漂流~鈴木カツ ライナーノーツ集

2,420円
ブルース・ロールズ・オン!! 2020年代に読む、聴くブルース・ガイド エレクトリックの時代

ブルース・ロールズ・オン!! 2020年代に読む、聴くブルース・ガイド エレクトリックの時代

2,530円
ウエスト・コースト・ロック読本

ウエスト・コースト・ロック読本

3,300円
ディスク・ガイド・シリーズ #032 フォーク・ミュージックU.S.A.

ディスク・ガイド・シリーズ #032 フォーク・ミュージックU.S.A.

2,200円

RELATED POSTS

関連記事

LATEST POSTS

最新記事

ページトップ