訃報:ウェイン・ショーターが89歳で死去

©️ Robert Ascroft
昨日3月2日、ウェイン・ショーターが89歳で死去しました。サックス奏者としてジャズのみならずロック/ポップ・フィールドでも幅広く活躍、ウェザー・リポートの一員としての活動で知られています。安らかなる眠りをお祈りいたします。

〈以下メイカー・インフォメーションより〉

作曲家、サックス奏者、ヴィジュアル・アーティスト、敬虔な仏教徒、献身的な夫、父親、祖父であるウェイン・ショーターが89歳でこの世を去り、その素晴らしい人生の一部として新しい旅に出発したと所属レーベルであるブルーノートが発表した。

ウェイン・ショーターは、献身的な妻キャロリーナ、娘のミヤコとマリアナ、そして生まれたばかりの孫のマックスの4人という愛する家族に囲まれながら、ロサンゼルスの病院で静かに亡くなった。ショーターは、常に探究心を持ち、大胆不敵で情熱的なイノヴェーターとして、今年の2月に13回目のグラミー賞を受賞したところだった。穏やかな精神、SFと漫画の愛好家である彼の人生の最後の数年間は、ショーターがエスペランサ・スポルディングと共同で制作したオペラ『イフィゲニア』が実現し、2020年に全米でプレミアされて以降広く賞賛され、2018年にはグラミー賞を受賞したトリプル・アルバム『エマノン』をリリースしていた。

60年以上にわたってショーターの最も親しい友人でありコラボレーターであったハービー・ハンコックは、「私の親友であるウェイン・ショーターは、心に勇気を持ち、すべての人への愛と思いやりを持ち、永遠の未来への求道心を持って私たちのもとを去った。彼は生まれ変わる準備ができていたのです。すべての人間がそうであるように、彼はかけがえのない存在であり、サクソフォニスト、作曲家、オーケストレーター、そして最近では傑作オペラ『イフィゲニア』の作曲家として卓越した頂点に達することができました。彼のそばにいることや、彼の特別なウェイン・イズムが恋しいが、彼の精神はいつも私の心の中にあります」とコメントしている。

また、ブルーノートの社長であるドン・ウォズは「マエストロ・ウェイン・ショーターは我々のヒーローであり、グールーであり、美しい友人でした。彼の音楽には、どこか遠くからやってきた魂が宿っており、この世界をより良い場所にしてくれました。同様に、彼の温かさと知恵は、彼を知るすべての人の人生を豊かにしました。ありがたいことに、彼が残した作品は永遠に私たちの心に残るでしょう。キャロリーナと彼を愛したすべての人に、私たちは心を寄せています」と語っている。

1933年8月25日、ニュージャージー州ニューアークに生まれたショーターは、60年以上にわたって音楽の発展に忘れられない足跡を残してきた。1959年、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに参加し、26歳の早熟なテナーサックス奏者として一躍脚光を浴びた彼は、独創的な即興演奏と「レスター・レフト・タウン」「チルドレン・オブ・ザ・ナイト」「フリー・フォー・オール」などの素晴らしい作曲でグループを一段と進化させ、『ザ・ビッグ・ビート』『モザイク』などの名盤に大きく貢献した。アルフレッド・ライオンは最終的に彼と自身のレコーディング契約を結び、ショーターは1964年から1970年にかけてブルーノートで『ナイト・ドリーマー』『ジュジュ』『スピーク・ノー・イーヴル』『アダムズ・アップル』『スーパーノヴァ』などの名盤を華々しく発表。これらのアルバムには「ウィッチ・ハント」「インファント・アイズ」「フットプリンツ」など、ショーターの最も愛されている楽曲が含まれている。

ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスらと結成したマイルス・デイヴィスの先駆的なクインテットのメンバーとして、また「エレクトリック・マイルス」初期の一員として、1960年代は主にマイルス・デイヴィスとも活動。その後、1970年にキーボーディストのジョー・ザヴィヌルと共に先駆的なグループ、ウェザー・リポートを結成した。2001年からは、ダニーロ・ペレス、ジョン・パティトゥッチ、ブライアン・ブレイドとのカルテットを率いて、高い評価を得ていた。

ショーターは2013年にブルーノートに復帰し、彼のカルテットと特別ゲストのイマニ・ウィンズをフィーチャーした音楽のスリルを味わえる『ウィズアウト・ア・ネット』をリリース。2018年、ショーターは、カルテットとオルフェウス室内管弦楽団によるトリプル・アルバム『エマノン』を発表。この音楽には、ショーターがモニカ・スライと共同で執筆し、ランディ・デュバークがイラストを描いたグラフィック・ノベルが添えられている。

ショーターの作品は、シカゴ交響楽団、デトロイト交響楽団、リヨン交響楽団、ポーランド国立放送交響楽団、プラハ・フィルハーモニー、ロイヤル・コンセルトヘボウなどで演奏されており、ロサンゼルス・フィルハーモニー、ナショナル交響楽団などからの委嘱も受けている。ショーターは200曲以上の作曲を実現し、そのうちの数十曲は現代のスタンダードとなった。ショーターはNEAジャズマスターであり、13のグラミー賞と2018年のケネディセンター栄誉賞を含む多くの賞賛を受けている。

■ウェイン・ショーター リンク情報
ユニバーサルミュージック
Twitter
Instagram
Facebook

米ジャズ・サック奏者/作曲家のウェイン・ショーター(Wayne Shorter)が3月2日、ロサンゼルスの病院にて89歳で死去しました。

ショーターの親友で、60年以上もコラボレーターを務めたハービー・ハンコックが追悼メッセージを発表しています。

「親友のウェイン・ショーターは、心に勇気があり、全ての人に愛と思いやりを持ち、永遠の未来を求める精神を我々に残しました。彼は、いつでも生まれ変われる状態でした。一人一人がそうであるように、彼はかけがえのない存在であり、サックス奏者/作曲家/編曲家として、そして最近では見事なオペラ『イフィゲニア』の作曲家として、卓越した頂点に到達することが出来ました。彼と、彼の特別なウェイン・イズムのそばにいられなくなり寂しいですが、彼の精神はこれからも私の心の中にあります」

1933年にニュージャージー州のニューアークで生まれたショーターは、1956年にニューヨーク大学を卒業し、音楽教育の学位を取得しました。続いてアメリカ陸軍に2年間招集された後、1959年から1963年までアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーに在籍し、最終的にバンドの音楽ディレクターを務めました。

翌1964年には、マイルス・デイヴィスのクインテットに加入し、影響力のあった初期のジャズ・フュージョン・アルバム『In a Silent Way』や『Bitches Brew』に参加したほか、同時期にブルーノート・レコードでソロ・アルバムもレコーディングし始めました。

ショーターは1970年、ジョー・ザヴィヌル、ミロスラフ・ヴィトウスとジャズ・フュージョン・グループのウェザー・リポートを結成し、1977年のアルバム『Heavy Weather』が、ジャズ・セールス・チャートのトップを記録する大成功を収めました。グループは、1986年の解散までに14枚のアルバムを発表し、その大半をショーターが共同プロデュースしていました。

また1977年には、スティーリー・ダンの名盤『Aja』のタイトル曲で演奏し、ジョニ・ミッチェルのアルバムでは、1977年の『Don Juan’s Reckless Daughter』(邦題『ドンファンのじゃじゃ馬娘』)から2002年の『Travelogue』に至るまで、全10作に参加しました。

ウェザー・リポート解散後は、グループ1986年のラスト・アルバム『This is This!』に参加したカルロス・サンタナと1988年にツアーを行ない、翌1989年にドン・ヘンリーのヒット曲「The End of the Innocence」に参加しました。

1995年には、7年ぶりのソロ・アルバム『High Life』を発表し、同作はグラミー賞の「最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞」を受賞。また、1997年にハービー・ハンコックとコラボしたアルバム『1+1』から、「Aung San Suu Kyi」がグラミー賞を受賞しています。

ショーターは2000年、自身のカルテットを結成し、2002年から2013年にかけて、ツアーから収録した4枚のライヴ・アルバムをリリースしました。80歳で発表した2013年のライヴ・アルバム『Without a Net』は、43年ぶりにブルーノートからリリースされており、訃報を受けた社長のドン・ウォズは、次のように語っています。

「巨匠ウェイン・ショーターは、我々のヒーローであり、グルであり、美しい友人でした。彼の音楽には、遥か彼方からのスピリットがあり、この世界をより良い場所にしてくれました。同様に、彼の暖かさと英知が、彼を知る全ての人々の人生を豊かにしました。幸いなことに、彼が残した作品は永遠に私たちと共にあります。カロライナ(ショーターの妻)と、彼を愛した全ての方々にお悔やみを申し上げます」

安らかなる眠りをお祈りいたします。

商品詳細
ウェイン・ショーター
『Night Dreamer』


Amazon Music・MP3(MAY 09 2014)¥1,000
CD(2005/3/1)¥1,287
商品詳細
ウェイン・ショーター
『スピーク・ノー・イーヴル+3』


Amazon Music・MP3(OCT 14 2016)¥700
CD(2020/9/11)¥1,650(限定盤/UHQ-CD/MQA)
この記事についてのコメントコメントを投稿

この記事へのコメントはまだありません

ジャズ超名盤研究 3

ジャズ超名盤研究 3

2,860円
レーベルで聴くジャズ名盤1374

レーベルで聴くジャズ名盤1374

2,860円
ページをめくるとジャズが聞こえる 村井康司《ジャズと文学》の評論集

ページをめくるとジャズが聞こえる 村井康司《ジャズと文学》の評論集

2,200円
ビバップ読本 証言で綴るジャズ史

ビバップ読本 証言で綴るジャズ史

2,420円

RELATED POSTS

関連記事

LATEST POSTS

最新記事

ページトップ