元カンのヴォーカリスト、ダモ鈴木が74歳で死去

カン『Soundtracks』(Liberty:1970年)
スリーヴの表(右)/裏。裏ジャケ写真左端にダモ鈴木。
西ドイツのロック・バンド、カン(Can)のヴォーカリストだったダモ鈴木(本名:鈴木健次)が2月9日、ガンのため74歳で死去しました。

カンのレーベル、スプーン・レコードが訃報を伝えています。

「彼の無限の創造的エネルギーは、カンだけでなく、全大陸にわたるネットワーク・ツアーでも、世界中の多くの人々に感動を与えました。ダモの優しい魂と生意気な笑顔は、永遠に惜しまれることでしょう。彼は、(天国の)ミヒャエル、ヤキ、ホルガーと素晴らしいジャムに参加するだろう!」
神奈川県出身のダモ鈴木は、60年代後半に世界中を旅するために日本を離れ、ヨーロッパに渡った後、大道芸人として即興パフォーマンスを行なっていました。70年代初頭、ドイツのミュンヘンで鈴木のパフォーマンスを観たホルガー・シューカイとヤキ・リーベツァイトが、前シンガーのマルコム・ムーニーの後任として鈴木をカンに迎え入れ、メンバーになった鈴木は、バンド1970年のコンピ・アルバム『Soundtracks』に参加し、「Don’t Turn the Light On, Leave Me Alone」や「Mother Sky」「Tango Whiskyman」などでヴォーカルを担当しました。

その後、1971年のセカンド・スタジオ・アルバム『Tago Mago』では、鈴木の独特なヴォーカル・パフォーマンスと、ジャズに影響を受けたバンドのリズミックな即興演奏が特徴となり、バンドはより独創的で実験的な領域に突入。続いてバンドは、1972年に代表作となる『Ege Bamyası』(『エーゲ・バミヤージ 』)をリリースし、収録曲「Spoon」がトップ10シングルになり、「Vitamin C」もヒットしました。

それから数年間、同作を含む鈴木時代のカンの作品は、現代音楽史において影響力のあるマイルストーンとみなされ、『Ege Bamyası』の収録曲は、多くのアーティストによりサンプリング/カヴァーされました。

鈴木は、バンド1973年のアルバム『Future Days』にも参加しましたが、リリース直後に脱退。10年間の活動休止を経て1983年に復帰し、「Damo Suzuki’s Network(ダモズ・ネットワーク)」として、様々なアーティストとツアーやコラボレーションを続け、またソロ・アーティストとして多くのアルバムをレコーディングしました。2018年には、ブラック・ミディをフィーチャーした『Live at the Windmill Brixton with ‘Sound Carriers’』をリリースし、最近では2022年にアルバム『Arkaoda』をリリースしていました。

鈴木は2014年に結腸ガンと診断され、その闘病生活や彼のエネルギーを描いたドキュメンタリー映画『ENERGY:A DOCUMENTARY ABOUT DAMO SUZUKI』が、2022年に海外で公開されました。

2019年には、ポール・ウッズと共著した回顧録『I Am Damo Suzuki』が出版されています。

安らかなる眠りをお祈りいたします。

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