スパークスと浅からぬ関係の仏映画界のカルト監督レオス・カラックス新作公開+「横浜フランス映画祭2025」では旧作も一挙公開

5月には新作がリリースされ、6月には来日公演も決定しているスパークス。そこに関連した映画作品の公開が加わりることになります──スパークス・ファンの方ならその名をご存知かもしれません、フランス映画界のカルト監督レオス・カラックスの新作『I’TS NOT ME イッツ・ノット・ミー』が4月公開に。この度その予告編が公開され、そこではスパークスの「without using hands」が使用されています。

カラックスの監督デビューは1980年、最初の長編作品は1983年の『ボーイ・ミーツ・ガール』でそのキャリアは40年以上にも及ぶのですが、これまで発表した長編作品は実にわずか7作。注目すべきはその内のひとつがスパークスの原案/音楽による『アネット』(2020年作品:2022年8月10日MLCニュース参照)だったこと。そして間も無く開催される「横浜フランス映画祭2025」ではその『アネット』を含めたカラックス監督作品7作が一挙公開されます。この機会にどうぞお見逃しなく。
〈以下、公式インフォメーションより〉
 
100%カラックス映画、心揺さぶる自画像
レオス・カラックスの新作

『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』

イメージと音の奔流、間断なく入る文字・声・音楽。次々と引用される映画・写真・動画。カラックスの記憶と思考の中に呑み込まれる、魔法のような42分だ。
レオス・カラックスの新作『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』。「これは私ではない」と題されたセルフポートレート、カラックスが初めて自ら編集しためまいのようなコラージュ。「鏡を使わず、後ろ姿で描かれた」自画像。「僕じゃない」(C'est pas moi)という言い訳は子供の嘘(フィクション)の始まりだとカラックスは言う。彼はこの「シンプルな映画」を子供の遊びのような悦びと自由の中で作り、本作を「20世紀の子供の小さな映画」だとも語っている。

『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』は中編なので長編コンペに入れにくいためカンヌ国際映画祭ではプレミア部門で初公開され、大きな注目と関心を集めた。『ルモンド』紙が「五つ星・傑作」としたのを始め、「ゴダールの精神的後継者による心揺さぶるエッセイ」「カラックスのとてつもない宇宙」と高く評価された。その後、サンセバスチャン、プサン、ロンドン、ウィーン、サンパウロ、シカゴ等々の映画祭、台北金馬映画祭、モントリオール・ヌーヴォーシネマ映画祭等で上映され、ジュネーヴ国際映画祭では「フォーカス レオス・カラックス」として『ホーリー・モーターズ』『アネット』『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』を上映、監督のトークもあった。アメリカでは秋のニューヨーク映画祭で「必見の傑作」「多彩なヴィジュアルスタイルのシネエッセイ」「2024年の最も颯爽とした映画」「100%レオス・カラックス映画」といった高評が相次ぎ、12/10からNYとLAの映画館で封切り、同時に「Criterion Channel」でのプレミア・ライヴストリーミングに続いてAmazon、Apple、Google Play等での配信も始まった。

2021年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した『アネット』(21)の後、カラックスはこう語っていた。「最近、来年の展覧会のためにショートビデオを撮ってるんだけど、そのうちの一つは、男性が作った映画に登場する男性キャラクターに関するものだ。タイトルは『男よ、映画は君の全てを許す』。おそらくクエスチョンマークを加えるべきだね」

このポンピドゥーセンターでの展覧会とそれに伴う全作品回顧上映(修復版や未公開の断片を含む)は2022年の4/20-7/17開催と一時は予告されていたが、ついに開催されることなく予告は消された(ポンピドゥーセンターでは2006年にもドミニク・パイーニによりゴダールの展覧会が企画されたが実現しなかったことがある)。カラックスに白紙委任する形で構想された展覧会は予算が膨らみすぎ実現不能になったと本人は説明しているが、その展覧会の代わりとしてこの特異な作品が作られたのだった。

映画『IT'S NOT ME イッツ・ノット・ミー』公式サイト

監督:レオス・カラックス
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
出演:ドニ・ラヴァン、カテリーナ・ウスピナ、ナスチャ・ゴルベワ・カラックス
フランス/42分/2024年/カラー&モノクロ/1.78:1
原題『C’est Pas Moi』/英語題『It’s Not Me』
配給:ユーロスペース

4月26日(土)よりユーロスペースほか全国ロードショー

今回解禁となったポスタービジュアルは、波紋がたゆたうエメラルドグリーンの空間に重力を失ったかのような人物が浮遊している瞬間を切り取っている。そして鮮烈な赤でタイトルの『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』。「この世の美はまばたきを求めている」というキャッチコピー、結論も終わりもないこの映画が最後に残す「まばたき」についてのメッセージが添えられている。   

予告編では、カウントダウンと「MERDE」のテロップから始まり、スパークスの「without using hands」にのせてポンヌフの橋で踊り回り続ける人、『汚れた血』のドニ・ラヴァンの疾走、ジュリエット・ビノシュの疾走。そして、『怪人マブゼ博士』、『ポーラX』のギヨーム・ドパルデューとカテリナ・ゴルベワ、文豪フョードル・ドストエフスキーや歌手で活動家のニーナ・シモン、マリリン・モンロー、アナキストのシャンソン歌手レオ・フェレと若きカラックスが二人でタバコを吸う写真、爆弾を投下する戦闘機や独裁者ウクライナの女性活動家オクサナ・シャチコのアーカイヴ、新たに撮り下ろされたベッドに横たわる子供たちや娘ナスチャがピアノを弾くシーンなど映画・写真・動画、さまざまなジャンル、フォーマットの映像が夢の断片のようにコラージュされていく。カラックスの記憶と思考を垣間見る予告編となっている。

■Director:レオス・カラックス/Leos Carax

1960年、パリ近郊にアレックス・デュポンとして生まれる。13歳でアレックスとオスカーのアナグラムであるレオス・カラックスに自ら改名。10代前半から映画を観あさり、イギー・ポップに憧れ、セリーヌを愛読する早熟な子どもだった。16歳でバカロレア(高卒認定・大学入学資格)に合格、リセを辞めパリに出る。17歳で未完の短編『夢に見た娘』を撮り、18歳で「カイエ・デュ・シネマ」に寄稿。80年に初めて完成させた『絞殺のブルース』がイエール映画祭でグランプリ受賞。そのフィルモグラフィは長編六本、オムニバス映画一本と寡作ながら、一作ごとに新たな世界を生み出してきた唯一無二の映画作家。

『アネット』でカンヌ国際映画祭監督賞、リュミエール賞監督賞、セザール賞監督賞を受賞した。

●監督作
『IT’S NOT ME』(2024)
『アネット』ANNETTE(2021)
『ホーリー・モーターズ』HOLY MOTORS(2012)
『メルド』(『TOKYO!』の一篇) MERDE(TOKYO!)(2008)
『ポーラX』 POLA X(1999)
『ポンヌフの恋人』 THE LOVERS ON THE BRIDGE(1991)
『汚れた血』 BAD BLOOD(1986)
『ボーイ・ミーツ・ガール』 BOY MEETS GIRL(1984)

●出演作
『IT’S NOT ME』(LC, 2024)
『ホーリー・モーターズ』HOLY MOTORS(LC, 2012)
『ミスター・ロンリー』MISTER LONELY(ハーモニー・コリン監督, 2007)
『家』 THE HOUSE(シャルナス・バルタス監督, 1997)
『芸術省』 THE MINISTRIES OF ART(フィリップ・ガレル監督, 1988)
『ゴダールのリア王』 KING LEAR(ジャン=リュック・ゴダール監督, 1987)

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【レオス・カラックス監督Q&A付き先行上映イベント】

『I’TS NOT ME イッツ・ノット・ミー』の4月26日(土)からの劇場公開に先駆け、ユーロスペースでレオス・カラックス監督のQ&A付き先行上映が決定いたしました。カラックス監督が観客の質問にお答えする貴重な機会、ぜひふるってご参加ください。

★登壇日時
(1)3月24日(月) 19:15の回 (本編終了後Q&A)
(2)3月26日(水) 17:30の回 (本編終了後Q&A)
★登壇ゲスト:レオス・カラックス監督(※登壇者は予告なく変更となる場合があります)
★会場:ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1-5 3F)
★チケット
・料金:1,900円均一 ※ムビチケ・各種割引・招待券全て使用不可
・販売:オンライン:3月18日(火))AM0:00 より

ユーロスペース公式HP

劇場窓口: 3月18日(火) 劇場オープン時より
※インターネット販売で完売になった場合は、窓口販売はございませんのでご注意下さいませ。

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横浜フランス映画祭2025関連企画【レオス・カラックス 夜の果てへの旅】

フランス映画において唯一無二なる存在、レオス・カラックスは、1980年の初短編作品『絞殺のブルーズ』で鮮烈な監督デビューを飾り、1984年の初長編作品『ボーイ・ミーツ・ガール』から2021年の初ミュージカル『アネット』まで、一作ごとに映画と出会い直し、創造の冒険を行い、6本の傑作を生み出してきました。そのレオスが最新作『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』とともに戻ってきます。レオスによる映画史、レオスが思考し続ける世界のテーマ、レオスを魅了し、形成してきた監督へのオマージュ、そして俳優たち、家族への愛……。それら全てが凝縮された『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』が横浜フランス映画祭2025で日本プレミア上映されるのを記念してこれまでの6作品を一挙特集します。会期中にはレオス・カラックス監督と黒沢清監督のトークショー(3/23(日)18時)、カラックス映画の全貌に迫る須藤健太郎氏によるレクチャー(3/29(土)14時半)も開催します。

■上映作品
・『ボーイ・ミーツ・ガール』  
・『汚れた血』  
・『ポンヌフの恋人』
・『ポーラX』
・『TOKYO!』
・『ホーリー・モーターズ』
・『アネット』

詳細はこちら
※レオス・カラックス監督と黒沢清監督のトークショーは完売しました。

「横浜フランス映画祭 2025」公式サイト

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3. Hit Me, Baby
4. Running Up A Tab At The Hotel For The Fab
5. My Devotion
6. Don’t Dog It
7. In Daylight
8. I-405 Rules
9. A Long Red Light
10. Drowned In A Sea Of Tears
11. A Little Bit Of Light Banter
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