ゴールデン・カップスやソロでも活躍した横浜出身のギタリスト/シンガー、エディ藩が77歳で死去

ザ・ゴールデン・カップス、7インチ・シングル「長い髪の少女/ジス・バッド・ガール」(キャピトル/東芝音工:1968)。左端がエディ藩。続いてデイヴ平尾、ルイズルイス加部、マモル・マヌー、ケネス伊東。
ザ・ゴールデン・カップス、エディ藩グループ、そしてソロでも活躍したギタリスト/ヴォーカリストのエディ藩が、5月10日、出身地でもある横浜市内の病院で死去。享年77、死因は感染性心内膜炎でした。
エディ藩(エディバン)は1947年、神奈川県横浜市の出身。実家は中華料理店で中国人の両親を持ち、生まれも育ちも日本ながら、自身も中国籍だったそうです。中高と地元の私立の学校に通い、1966年に関東学院大学に入学。しかし折しも学生運動が盛んな時期でもあり、休講の多さにに乗じて渡米。その際高校時代からの知り合いでバンド活動を共にしたこともあったデイブ平尾と再会、これがゴールデン・カップスの始まりでした。藩はリード・ギタリストとしてグループを牽引していくことになります。

ゴールデン・カップスは1967年にシングル「いとしのジザベル」でデビューし、これがスマッシュ・ヒットを記録。そしてこの年の「第31回 日劇ウエスタンカーニバル」でも新人賞を獲得し、その勢いのまま翌年3月にファースト・アルバム『ザ・ゴールデン・カップス』を発売。同作は半分をオリジナル楽曲が占め、残る半分はジミ・ヘンドリックス「ヘイ・ジョー」やプロコル・ハルム「青い影」を筆頭にした、英米のロック/ソウル/R&Bなどのカヴァーも含めたロック作品として、グループ・サウンズの枠を超えた本格的な日本のロック黎明期の名盤のひとつに現在も数えられます。当時のライヴのレパートリーでも、クリームやヴァン・モリソン、マディ・ウォーターズからリー・ドーシーと、他のGSグループとは一線を画したものだったのだとか。さらに、同作リリースから間も無く3枚めのシングルとして「長い髪の少女」をリリースし、これが記録的な大ヒットに。現在に至るまで、彼らの代表曲として知られています。この時期はメンバー交代(ケネス伊東の脱退/ミッキー吉野の加入/さらに伊東の復帰)などもありながらも、続くシングル「愛する君に」も続けざまにヒットを記録。

しかし藩は、自らが率いるグループ結成へと動きます。1968年にゴールデン・カップスを脱退し、エディ藩グループを結成。ですが間も無くゴールデン・カップスの方もさらなる脱退があり、エディ藩は再びゴールデン・カップスへと合流。その後はメンバー交代を繰り返しながら、1972年の解散までグループの一員として活動しました。

ゴールデン・カップス解散後は再びエディ藩グループを名乗って約2年間活動、その後エディ藩&オリエント・エクスプレスとグループ名を改めながら、70年代を通じてエディ流のブルース/R&Bを演奏していました。

80年代に入るとセッション・ミュージシャンとしての活動が増え、代表的なものとしては松田優作のバックを務め彼が歌ったエディ藩作(作詞:藤竜也)の「横浜ホンキー・トンク・ブルース」が知られています。原田芳雄や宇崎竜童、佐藤浩市など錚々たる顔ぶれにカヴァーされ愛され続ける同曲ですが、藩はセルフ・カヴァーで自らのシングルとしてもリリースしていました。
エディ藩「横浜ホンキートンクブルース」(イーストワールド:1981)
ウィキペディアによると80年代中頃からは実家の中華料理店の経営に注力し、音楽活動からは遠ざかっていたそうですが、90年代から再びカムバック。ゴールデン・カップスとして散発的なリユニオンがある中2000年代に入って、ドキュメンタリー映画『ザ・ゴールデン・カップス・ワンモアタイム』制作に伴い本格的に再結成を果たします。

その後はグループとしてライヴを重ねていきますが、年を経るに従いメンバーが一人また一人と他界。2022年に結成55周年記念と銘打って行なわれたライヴを最後にゴールデン・カップスとしての活動は遂に停止。以降も音楽活動を続け、今年6月にはミッキー吉野との共演ライヴも予定されている中、今月10日に横浜市内の病院で息を引き取ったということです。

謹んでお悔やみ申し上げます。安らかな眠りをお祈りいたします。
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