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マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」やシンディ・ローパーの「トゥルー・カラーズ」等数々のヒット曲を手掛けたソングライター、ビリー・スタインバーグ死去

2月16日、ソングライターのビリー・スタインバーグが亡くなりました。享年75。1980年代以降、記憶に残る大ヒット曲を幾度となく生み出し、グラミー賞受賞歴も持つ彼がロサンジェルスで亡くなったのは、76歳の誕生日のわずか10日前だったそうです。彼の弁護士が公表したところによれば、死因は癌でした。

濃やかな情感やインパクトのある歌詞と、ビッグでエモーショナルなパワー・バラードを得意としていたスタインバーグには、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」、シンディ・ローパーの「トゥルー・カラーズ」、ザ・バングルスの「エターナル・フレーム」、ホイットニー・ヒューストンの「ソー・エモーショナル」、ハートの「アローン」という、全米第1位に輝いた楽曲があります。いずれも彼の長年のソングライティング・パートナーであるトム・ケリーとの共作です。

●The Bangles - Eternal Flame (Official Video)
●Whitney Houston - So Emotional (Official Video)
●Heart - Alone

ザ・プリテンダーズの「I’ll Stand by You」、バングルズの「In Your Room」、ザ・ディヴァイナルズの「アイ・タッチ・マイセルフ」を世に送り出した作詞家でもある彼が、初めてヒット・チャートにその名を刻んだのは今から30年以上前のことです。他にもテイラー・デイン、ティナ・ターナー、ベット・ミドラー、チープ・トリック、ベリンダ・カーライル等々、彼のペンによる曲をレコーディングしたアーティストたちにはまさに枚挙のいとまがありません。

The Pretenders - I'll Stand By You [MV]
●Cheap Trick - Kiss Me Red
シンディ・ローパーはビルボード誌に寄せたコメントの中で、スタインバーグについて「偉大なリリシストであり、素晴らしい共作者でした。彼とトムは緩急どちらのエモーションも絶妙にその幅を使い分け、形にする技術を持っていました… “トゥルー・カラーズ” の時には沢山意見をやりとりをして、彼を随分煩わせてしまったと思います。でも最終的に彼は、私があの曲の本当に私らしい、『とても精緻で美しいヴァージョン』を作り出したと言ってくれました。あの言葉は私にとって凄く大きな意味がありました。今でも特別な曲です」と綴っています。
2011年にソングライターの殿堂入りを果たしたカリフォルニア州フレズノ生まれのスタインバーグは、同州パームスプリングスで育ちました。ニューヨークのハドソン・ヴァリーにあるバード・カレッジに進学した後、彼は自らのバンド、ビリー・サーマル(Billy Thermal)でアーティストとしてのキャリアを求めます。その望みが叶うことは残念ながらありませんでしたが、スタインバーグがひとりで書いた曲「How Do I Make You」を、グループのギタリストがリンダ・ロンシュタットの前でプレイしたのがきっかけで、1980年の彼女のアルバム『Mad Love』に収録されたことから、彼のキャリアは転機を迎えることとなります。同曲はシングル・カットされ、ビルボードのホット100で最高位10位となりました。
 
スタインバーグとケリーは、I-10というデュオとしてエピック・レコードでレコードも出していますが、80年代から90年代にかけて活躍したトップ・ソングライティング・チームのひとつとなり、そのペンによるナンバーはしばしばアーティストたちの代表曲となりました。例えば6週間全米ナンバーワンとなった「ライク・ア・ヴァージン」は、マドンナにとって現時点で全キャリアを通じ最大のヒットです。

ケリーがソングライターとして引退を決めた後も、スタインバーグは仕事を続けており、よくリック・ノウルズと組んで曲を書いていました。中でもセリーヌ・ディオンに提供した「Falling Into You」は、1996年の彼のアルバム・タイトルにもなった上、そのアルバムが第39回グラミー賞の年間最優秀アルバム賞を受賞したので、スタインバーグとノウルズもそれぞれグラミー賞のトロフィーを持ち帰ることとなりました。

実は「Falling Into You」は、元々2人がアルゼンチン人シンガーのために、マリー・クレール・ドゥバルドと共に書いた曲でしたが、そのアルバムはリリースに漕ぎつけることができませんでした。そこで2人は曲を自分たちの手で買い戻し、ポール・バックマスターによるストリングス・アレンジメントを施して完成させるまでに、全部で1万5000ドルを費やしましたが、おかげでディオンがこの曲をレコーディングし、自分のヴォーカルを加えられることになったのです。同曲はスペインやギリシャをはじめ、多くの国々でナンバー・ワンを獲得しました。

Céline Dion - Falling Into You

「ビリーは詩人としてスタートし、そこから感性に磨きをかけて、ひとつふたつの文章から全体のストーリーを生み出すっていう美学に到達したんだよ。彼は一点ものが売りの職人だった。同じものは決して作らない。ポピュラー・ソングにかけては百科事典並みの知識を持ってて、そこのところで僕と彼は繋がったんだ」と、ノウルズはスタインバーグについてそう語っています。2人がノウルズの妻を通して知り合ったのは、どちらもソングライターとして最初のささやかな成功を味わったばかりの80年代初頭のことでした。「僕らはとにかくお互いの知識を堪能し合い、思いを堪能し合った。最後の最期までずっと友達だったよ」
 
2010年代に入っても、スタインバーグの楽曲はニコール・シェルズィンジャーやミランダ・コスグローヴ、デミ・ロヴァートらにレコーディングされており、中でもロヴァートの「Give Your Heart A Break」(ジョシュ・アレキサンダーとの共作)は2012年にHot100で最高位16位を記録しました。

Demi Lovato - Give Your Heart a Break (Official Video)

2023年にグラミー博物館で開催された “The Power of Song: A Songwriters Hall of Fame Exhibit”(直訳すると「楽曲の力:ソングライターズ・ホール・オブ・フェイム博覧会」)には、スタインバーグの代表作として、TDK-SAの60分カセットテープに録音されたデモと一緒に、「ビリー──私のためにこんなに美しい曲を書いて送ってくれてありがとう。(ハートマーク)シンディ」と書かれたローパーからのメモが添えられ、展示されていました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
 

商品詳細
シンディ・ローパー
『True Colors (35th Anniversary Edition)』


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