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女性アーティストの自伝映画ブーム到来?──ロニー・スペクター、ジャニス・ジョプリン、リンダ・ロンシュタット

先頃、A24は、ゼンデイヤの主演で製作進行中である待望のロニー・スペクターの自伝映画について、監督を務めるのがバリー・ジェンキンズであることをアナウンスしました。映画のタイトルは『Be My Baby』で、原案はスペクターが1990年に出した回顧録『Be My Baby:How I Survived Mascara, Miniskirts, and Madness, or, My Life as a Fabulous Ronette』。伝説のガール・グループを率いたスペクター自身が、2022年にこの世を去る少し前に(2022年1月他界)、ゼンデイヤを主演に指名したのだそうです。彼女の死が伝えられた時、ゼンデイヤはこんな追悼文を寄せていました。「貴女の人生を共有してくれてありがとう、貴女のお話は何時間聴いていても飽きることがありませんでした。貴女に誇らしく思ってもらえるよう、精一杯頑張ります」

ロニー・スペクター自伝 ビー・マイ・ベイビー

¥ 3,960

著者:ロニー・スペクター/ヴィンス・ウォルドロン(著)、安江幸子(訳)、五十嵐正(監訳)
訳注:A24=ニューヨークを拠点に活動する気鋭の独立系映画スタジオ。オスカー受賞作品『ミナリ』や『ムーンライト』等を手掛けた実績あり。
実は現在、業界では女性ミュージシャンを題材にした伝記映画の企画や撮影が相当数進行中で、『Be My Baby』はその一本に過ぎません。他にも、シェイレーン・ウッドリー主演によるジャニス・ジョプリンの映画や、セレーナ・ゴメスが主演に決定したリンダ・ロンシュタットの映画、そしてもう一本、リゾがその道のパイオニア的女性ギタリスト、シスター・ロゼッタ・サープを演じる作品があります。また先日小欄でもハートのナンシー・ウィルソンの発言をお伝えした通り(2月18日MLCニュース)、ウィルソン姉妹を扱った映画も製作準備がかなり進んでいる模様ですし、更に別記事でもご紹介したママス&パパスのママ・キャスの生涯と、その名誉回復のために奮闘する娘の姿を描いた映画が、ジェシカ・ガニング主演で製作進行中です(2月19日MLCニュース)。

これだけ立て続けに動きがあるのはやはり、近年数多く作られている男性アーティストたちの自伝的映画の成功に触発されたものと思われます──昨年のボブ・ディランの映画『A Complete Unknown』(『名もなき者/A Complete Unknown』)は、主演のティモシー・シャラメを含む関係者たちがアカデミー賞各部門にノミネートされましたし、クイーンの映画では主演のラミ・マレックが実際にオスカーを獲りました。他にもここ最近はエルヴィス(『エルヴィス』)、エルトン・ジョン(『ロケットマン』)、ボブ・マーリー(『ボブ・マーリー:ONE LOVE』)、モトリー・クルー(『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』)、そしてロビー・ウィリアムズ(何故かチンパンジー化されていましたが。『BETTER MAN/ベター・マン』)と、彼らの実人生を脚色した映像作品が引きも切らずです。そろそろ同様のハリウッド的表現による女性ミュージシャンたちの物語を見てみたいという欲求が出て来るのも当然の流れでしょう。 
●ウッドリーはベット・ミドラーの熱演にどう立ち向かう
 
これらのプロジェクトは、製作にとにかく時間がかかることで知られ、いざプロジェクトが起ち上がっても、ミュージシャンの遺産管理団体との関わりや音楽著作権等のクリアランスで頻繁に手こずった挙句、暗礁に乗り上げることも少なくありません。2024年12月、ジミー・ファロンの番組に出演したウッドリーは、彼のデスクを叩いて[訳注:何かをやり遂げようとしている時に悪いことが起こらないようにと祈る時のおまじないで、木製のものに触れたりコツコツ叩いたり(touch wood/knock on wood)するジェスチュア]、ジョプリンの映画が頓挫するようなことがないようにと祈っていました。「私たち、もうこの作品のために7年も費やしてきたの。彼女ってホントにイカした女性なのよ、マジで。彼女にしかできない、たったひとつの独創的なやり方で、この星に光をもたらしていた人だから」
Shailene Woodley Confirms Big Little Lies Season 3, Talks Seven-Year-Long Janis Joplin Journey
昨年9月、カリフォルニア州映画協会はプレスリリースを出し、ウッドリー自身がプロデューサーを兼任し、テンプル・ヒル・エンターテインメントの後援も取り付けているこのジョプリンの映画プロジェクトに対し、税額控除を認めることを表明しました。「(あれは)この映画に対してもの凄い後押しになったわ、だって私たち、そのおかげでカリフォルニアで実際に撮影ができるんだもの。最近ではこれは滅多にないことなのよ。ジャニスにとって、これは凄く重要なことだから。それでもまだ、ジョプリン・エステートが協力してくれるかどうかは分からなくて」

もしその承諾が得られたなら、ウッドリーは映画の中で、(吹き替えは使わず)自分の声で歌うつもりです。彼女はファロンに、そのために現在、同作で音楽プロデューサーを務めているリンダ・ペリー(4ノン・ブロンズ)に師事しているところだと語りました。「リンダからは何というか、自分自身の声を見つける方法を身につけるように、めちゃめちゃシゴかれてるところなの。私が『ジャニスみたいには歌えないもん』って言ったら、彼女はとんでもなく場違いなところに私を引っ張り出すようになったのよ。例えば、『この日にこの場所に来て』って言われて行ってみたら、デッカい空っぽの倉庫に、フルメンバーのバンドが用意されてるわけ。そうして彼女から『ほら、楽しんで! ナンか歌って!』ってハッパかけられて。私はもう、『ええ~、何歌えっての、歌い方も分からないのに! クリスマス・キャロルとか? ウソでしょ、何歌えばいいの?』って」
'The Rose' Trailer (1979) - Bette Midler
●リンダ・ロンシュタットはセレーナ・ゴメスが演じる
 
一方ゴメスは夫のベニー・ブランコとアルバムを作ったり、Huluでヒット中のコメディ・シリーズに主演したり、オスカーを受賞した(そして物議を醸した)ネットフリックスの映画に出演したりと、このところ大忙しの日々を送っています。が、2024年11月、彼女は『ヴァニティ・フェア』誌のインタヴューで、ロンシュタットの映画の製作話が今も進行中であると認めました。「まだ動いてるわよ、ただいつになるかは分からないけどね」と言う彼女は、ロンシュタット本人と対面したこと、そして「2冊の本を読了した」ことを付け加えました──恐らくロンシュタットが2013年に出した回顧録『Simple Dreams』と、2022年出版の『Feels Like Home:A Song for the Sonoran Borderlands』のことだと思われます。
商品詳細
Linda Ronstadt(著)
『Simple Dreams:A Musical Memoir』

英語版(‎2013/9/17)Kindle版
商品詳細
Linda Ronstadt(著)
『Feels Like Home:A Song for the Sonoran Borderlands』

英語版(‎ 2022/10/4)Kindle版
●いずれもご本人/遺族の “お墨付き”

「彼女はとにかく抗い難い魅力の持ち主よね」とゴメスは語ります。「音楽に対しても人生に対しても独特な、とても興味深い視点を持っていて、私はそこがとても素敵だと思ったわ。必ずしも成功することが目標だったわけではないし、いつも色んなことに挑戦を厭わなかった人だと思う。だけど、(製作に)時間がかかっているのにはちゃんと理由があるのよ。私たち、必ず良い作品にできるように、着実にやって行きたいと思ってるの」

ママ・キャスを描く『My Mama, Cass』やロニー・スペクターの『Be My Baby』同様、ロンシュタットのプロジェクトも本人からの正式な承諾を受けており、彼女の長年のマネジャーであるジョン・ボイランとジェイムズ・キーチ(2019年のドキュメンタリー『Linda Ronstadt:The Sound of My Voice』のプロデュースを手掛けた)が共同プロデューサーとして関わっています。現時点ではデヴィッド・O.ラッセルが監督の有力候補としては挙がっています。
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