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元デ・ダナンの「聖なる声」、アイリッシュ・フォーク・シンガーのドロレス・ケーン死去

商品情報 Dolores Keane『Dolores Keane』
Amazon(2024/1/12)輸入盤2LPs
アイリッシュ・フォーク・シンガーのドロレス・ケーンが亡くなりました。享年72。ゴルウェイ州のカハリストラネの自宅で、眠っている間に穏やかに息を引き取ったとのことです。
Renowned Irish folk singer Dolores Keane dies aged 72
アイリッシュ・フォーク界ではつとに知られたケーン一家に生まれた彼女が、最初に注目を集めたのは、叔母リタとセーラと共に歌い始めた時のことです。1970年代半ばからはデ・ダナン(Dé Danann)でツアーを行ない、当時の夫ジョン・フォークナーとレコーディングした数作のアルバムを経て、ソロ・アーティストとしてのキャリアを歩み始め、国内外で成功を収めました。1988年にレコーディングしたダギー・マクリーン作による「Caledonia」は彼女の代表曲のひとつに数えられますが、故ナンシー・グリフィスをして「聖なる声の持ち主」と言わしめた彼女のレパートリーは数十年間にまたがっています。

1980年代初期に放映されたRTÉシリーズ『Hand Me Down』で、彼女はごく幼い頃から伝統を受け継がれ、叔母たちと歌うことは自身にとってごく自然な行為だったと振り返っていました。ケーンいわく、彼女が歌い始めたのは2歳の時で、成長期にもウィリー・ナンシーをはじめとするミュージシャンたちが日常的に彼女の家を訪れていたそうです。

「どの曲もきちんとした形で教わった記憶はないのよ、ちゃんと腰を据えて覚えようとしたことも一度もなくて……ただみんなが歌うのをしょっちゅう聞いていたから、ずっと頭の中に刷り込まれていたのね。だから間違いなく11歳とか12歳の時には、叔母のセーラとリタと一緒に大半の曲を歌えるようになっていたわ」

ミュージシャンたちが度々彼女の家をセッションに訪れ、時には週末、あるいは一週間ずっと泊まって行くこともあって、「おかげで家の中は輪をかけて賑やかになった」。彼女の実家であるカラグ・コテージは、後にケーンの70歳の誕生日に合わせて製作されたドキュメンタリーの撮影場所にもなっています。世代を超えた音楽との関わりは、彼女の兄弟のショーンとマット、妹のテレサ、そして姪たちやその娘にも及びました。

前述の番組の中で、彼女は自身の人生における歌の影響をこう表現していました──「音楽はすっかり私の一部だもの、音楽なしの人生なんて考えられない」

アイルランドの現大統領キャスリーン・コノリーは自身と同じギャロウェイ出身の「我が国が誇る偉大な声の持ち主のひとり」に対して哀悼の言葉を捧げました。

「ドロレス・ケーンの訃報に接し、大変悲しい気持ちでいっぱいです。彼女はこの島が誇る、そしてこの世界が誇る偉大な声の持ち主でした。幼い頃から叔母のリタとセーラの守ってきた伝統によって育てられた彼女は、その伝統を情熱と知性と喜びをもって推し進め、刷新してきました。デ・ダナンで、ソロ作で、『A Woman's Heart』で、そしてもはやアイルランド人にとっては生活の一部となっている数々のレコードを通して、彼女はひとつひとつの曲に自らの全身全霊を注ぐとはどういうことかを示してくれたのです。ナンシー・グリフィスはかつて、彼女を聖なる声の持ち主と評しました。確かにその通りだと思います。けれど、その神聖さを作り出していたのは、彼女の正直さです。彼女は常に自分を偽ったり飾ったりすることなく、ただただ全てを歌に捧げていました」

「彼女の息子ジョセフと娘のタラ、弟のショーン、妹のテレサ、そして彼女に連なるケーン家の方々に、心からのお悔やみを申し上げます。彼女を愛し、彼女に感動を与えられてきた方々、私を含め沢山いると思いますが、その方々に私がお伝えしたいのはただこれだけです──彼女のような声は決して私たちの元を離れることはありません、私たちの呼吸する空気の中に溶け込んで、永遠に生き続けるのです。Ar dheis Dé go raibh a hanam dílis.」
[訳注:ゲール語。英語では「May God have her soul in His keeping」=「神が彼女の魂をお守りくださいますように」]

副首相のサイモン・ハリスもケーンを「アイルランドが生んだ最も偉大なシンガー・ソングライターのひとり」と呼んで哀悼の意を表しました。「ドロレスは聴く者の魂の奥深くまで到達できる声を持っていました。喜びや悲しみという感情をひとつひとつの音に乗せて届けることができる人でした……彼女のご家族、ご友人、そして数多くのファンの皆さんに、私からも心よりのお悔やみをお伝えいたします」

文化相のパトリック・オドノヴァンは「アイルランドの最もソウルフルで、国の象徴とも言うべき声の持ち主、ドロレス・ケーンの訃報に接し、深い悲しみに暮れています」と語りました。「彼女はフォークの伝統における真のパイオニアとして、その天賦の才能でアイルランドの楽曲の美しさを広く世界に知らしめました。彼女の音楽と精神は、彼女の大いなる才能によって心動かされてきた全ての人々の心にいつまでも生き続けることでしょう。ご冥福をお祈りいたします」

安らかなる眠りをお祈りいたします。
Johnny Lovely Johnny - Dolores Keane & John Faulkner, 1980
Hard Times Come Again No More - Dolores Keane, Mary Black & De Danann, 1986
Dolores Keane-Galway Bay
ドロレス・キーンがTG4ミュージックアワード2022で「カレドニア」を歌う
商品詳細
Dolores Keane and John Faulkner
『Broken Hearted I’ll Wander』


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ドロレス・ケーン
『Where Have All the Flowers Gone?』


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デ・ダナン
『Wonderwaltz』


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De Dannan
『The Best Of DeDannan』


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