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「Music America」開催。ブルース・スプリングスティーンを中心に、スター揃いの出演アーティストたちが2日間にわたりアメリカ音楽の歴史を振り返る

先日小欄で開催をお伝えしていた『Music America:The Songs That Shaped Us』(ミュージック・アメリカ:私たちを形作った歌:6月4日MLCニュース)。アメリカ建国500周年と、目前に迫ったブルース・スプリングスティーン・アメリカン・ミュージック・センターの開館を祝うこのイヴェントですが、まず6月4日の初日はロバート・ジョンソン、ハンク・ウィリアムズ、ウディ・ガスリーといったアメリカ音楽のパイオニア的存在に光を当てるというテーマに基づき、ロザンヌ・キャッシュ、ケニー・チェズニー、シェメキア・コープランド、ドロップキック・マーフィーズ、ヴァレリー・ジューン、ケブ・モ、トロンボーン・ショーティらが登場し、ホストのブルース・スプリングスティーンとの共演も数々観られました。
■6月4日(初日)
 
ホスト役のスプリングスティーンはイヴェントの大部分を観客席から見守っていましたが、夜も更けた頃にステージに上がり、リトル・スティーヴンのディサイプルズ・オブ・ソウルをバックに、ロザンヌ・キャッシュとデュエットでウディ・ガスリーの名曲「Deportee (Plane Wreck at Los Gatos)」を披露しました。「これはウディの曲だけど、まるで昨日書かれたかのような、まさに当世を映し出す曲だ。ミネソタだろうと、ニューアークのデラニー・ホール(ICE収容センター)だろうと関係ない。これはまさに今起こっていることなんだ」という言葉と共に演奏されたこの曲を、彼が最後に演奏したのは2021年にウディ・ガスリー賞を受賞した時でしたが、それはコロナ禍のリモート中継でした。観客の前でこの曲を演奏したのは、1996年の「ゴースト・オブ・トム・ジョード」ツアーでカリフォルニア州フレズノ公演を行なった時以来のことです。
Springsteen- Deportees- Woody Guthrie Center Award
(2021年)
続いてスプリングスティーンは、早い時間にハンク・ウィリアムズの「Mind Your Own Business」をプレイするために登場していたケニー・チェズニーをステージに呼び込み、ウディ・ガスリーのもうひとつの定番曲「This Land Is Your Land」をデュエットしました。「この曲は俺たちの美しい国について書かれた中でも、間違いなく最高のフォーク・ソングだ」と前置きしたスプリングスティーンは、曲の終わり近くまで来るとこう観客を煽り、一緒に歌わせました。「俺はピート・シーガーとはかなり懇意にしてたんだ。ワシントンD.C.で、オバマ大統領の最初の就任式の時には、彼と共に歌ったんだ。今夜、この会場にはピートの魂が降りて来ている。ウディの魂も降りて来ている。ピートは言ってたよ、『歌ってのは、人の役に立たなければ、それを使って何かできなければ、そして人々が一緒に歌えなければ、何の価値もないんだ』って。キミたちも俺たちの仲間だ。ピートも聞いている、ウディも聞いている、俺もちゃんと聞いているよ」
この後ステージにはドロップキック・マーフィーズが登場し、スプリングスティーンと共に2006年の名曲「I'm Shipping Up to Boston」を演奏しました。実はこの曲も、フロントマンのケン・ケイシーがウディ・ガスリーのアーカイヴで見つけた歌詞の断片がベースになって生まれたものだそうで(2023年3月3日MLCニュース)、ケイシーは「今夜は音楽的な意義、愛国的な意義、そして抗議としての意義と、多くの点で素晴らしいけれど、それに加えてドロップキック・マーフィーズにとっては、結成以来初めてカーペットの敷かれたステージで演奏する機会になったと言っておくよ……次の曲はガスリー家の人々に捧げる。曲はドロップキック・マーフィーズ、歌詞は唯一無二のウディ・ガスリーだ」と紹介。続いて彼らは、スプリングスティーンが2006年にドロップキック・マーフィーズの精神で書いたという「American Land」でバックを務めました。

この夜の締めくくりは、トロンボーン・ショーティをはじめとする出演アーティストたちほぼ全員による壮大な「聖者の行進」でした。この曲は2006年のセッションズ・バンド・ツアーでは定番の〆の曲でしたたが、スプリングスティーンがジャズ・フェスで最後に演奏したのは2014年のことです。

Jazz Fest 2014 - Bruce Springsteen - WHEN THE SAINTS GO MARCHING IN
 

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■6月5日(二日目)

明けて6月5日、2日目は初日よりもう少し時計を進め、エルヴィス・プレスリー、チャック・ベリー、ディオン・ディムッチ、更にパブリック・エネミーといったアーティストへのトリビュートがテーマとなりました。ディオンとパブリック・エネミーもフィーチュアした出演者は、ジョン・ボン・ジョヴィ、ニルス・ロフグレン、ダーレン・ラヴ、ジャクソン・ブラウン、ゲイリー・クラーク・ジュニア、ダーレン・ラヴ、シェリル・クロウ等々の豪華なラインナップ。この日はスプリングスティーンがまずステージに上がり、自身の音楽的ヒーローであるエルヴィス・プレスリーに敬意を表し、「監獄ロック」と「バーニン・ラヴ」をエネルギッシュに演奏。またもう少し遅い時間になってから、彼はシェリル・クロウと共にボブ・ディランの「I Shall Be Released」を演奏しました。

この曲でバックを務めたギタリストのラリー・キャンベルは、1997年から2004年にかけてディランのバック・バンドで演奏していた際に、この曲を何度もディランと一緒にプレイしていました。スプリングスティーンがディランの1967年のアルバム『Basement Tapes』のセッションから生まれたこの最も有名な曲を歌うのは今回が初めてでした。またパブリック・エネミーのセットの後、スプリングスティーンはゲイリー・クラークJr.と共に、ボビー・“ブルー” ブランドの「Further Up The Road」をデュエットしていました。
そして夜も更けた頃、ジョン・ボン・ジョヴィ、ジャクソン・ブラウン、パブリック・エネミーなど、この夜の出演アーティストたちの多くが再びステージに登場し、ブルース・スプリングスティーンとディサイプルズ・オブ・ソウルズと共に、エディ・フロイドの「Raise Your Hand」でジャム・セッションを繰り広げました。この曲は1970年代からスプリングスティーンのライヴ・レパートリーの一部となっています。パブリック・エネミーのフレイヴァー・フラヴが果たしてこの曲を知っていたかどうかは定かではありませんが、彼は観客を大いに盛り上げ、スプリングスティーンのマイクに向かって直接歌い、最後には彼を力強く抱きしめ、「Eストリート・バンドに声援を送ってくれ」とファンに呼びかけていました。
そしてサウスサイド・ジョニーの「I Don't Want to Go Home」では、ブルース・スプリングスティーン、ジョン・ボン・ジョヴィ、スティーヴ・ヴァン・ザントがリード・ヴォーカルを交代で務め、会場の熱狂は最高潮に達しました。ニュージャージー・ロックの三巨頭が1本のマイクを囲んだ時の盛り上がりには、フラヴも思わず加わらずにはいられなかったようです(ヒップホップ史上、この分野で彼以上の盛り上げ役は他にいないでしょう)。
そして二日間の祝祭は、ブルース・スプリングスティーンのソロによる「Land of Hope and Dreams」で締めくくられました。この二晩を通して、彼がカヴァー曲ではなくオリジナル曲を演奏したのはこの時だけです。「なんてこったい」、彼は曲の前に観客に語りかけていました。「19の時、俺はここのキャンパスにいたんだ……学校に通ってたわけじゃないんだけど、あそこにある大きな建物の階段で演奏していたんだ。もし1969年に誰かから、将来こんなことが起こるよ、なんて言われてたとしても、『あんた、頭ダイジョブか?』って言っただろうね。本当に、なんて言ったらいいのか分からないよ」

※海外における公演の多くにおいては、オーディエンスによる携帯での撮影、そしてその画像・動画のアップロードがアーティスト側にプロモーションの一環として了承・推奨されている場合が多いため、MUSIC LIFE CLUBではそういった情報も掲載しています。

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