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[月イチ連載]ピーター・ガブリエル、10月のシングルは「Face The Wall」
ガブリエルの公式YouTubeにアップされているこの曲の解説は──。
「先月の “幸せを探している”(「Looking For The Happy」)というところから、その流れをそのまま辿っていくと、やがて “Face the Wall”(=直訳:壁にぶつかる)に辿り着くわけだ。これは死と真正面から向き合うという曲になっている。実に素敵な、陽気なテーマだね。
「歌詞の一部では、年を重ねることや病と向き合うことがテーマになっていて、さらに死と真正面から向き合うことについても歌っている。これは、僕らが十分にやっているとは言えないことだと思うんだ。以前にも話したことがあると記憶しているけれど、死をごく当たり前に、生の一部として受け容れているように感じられる文化というのは、死に対してより前向きで、人生を余すところなく生き切っているように見えるんだよね。そこが出発点だったんだ」
「僕を含む多くの人々にとって、音楽とはカタルシスをもたらすプロセスだ。そして、この曲の最後に僕が♪I see you coming through♪(僕にはあなたがやって来るのが見える)と歌う瞬間、あれこそまさにそのカタルシスを感じる瞬間なんだよね。僕はこの一行は重要だと思う。曲が進むにつれて状況は悪化し、より過酷になって行くわけだけど、この歌詞があることで、希望を持つべき理由があるってことが示唆されているんだ」
「スタジオの中で作業している最中には、果たしてその曲が人々の心を動かすものになるかどうかなんてことは、正直分かりゃしない。ただ僕には、この曲が心に響く人たちが世の中にきっといるはずだっていう確信があるんだよ」
「Face the Wall」には、ガブリエルのレコーディングでは常連となっているコラボレーターたちによる特筆すべき演奏を多数フィーチャー。そのガブリエル自身による解説がこちら。
まずはピアノのトム・コーリーについて。「彼の演奏や即興に対する考え方には独特の流動性があって、僕はそれがとても気に入っているんだ。僕には彼みたいなテクニックはこれっぽっちもないからね。僕は自分自身を、アイディアを表現するソングライターだと考えているんだけど、彼はまさしく名手と呼ぶべきプレイヤーだ」
ベースのトニー・レヴィンについて:「彼はとても巧いし、感性豊かで、出過ぎたことはやらない方なんだけど、そのスタイルがこの曲にはとても合っていると思う」
ジョン・メトカーフの編曲によるニュー・ブラッド・オーケストラの演奏について:「この曲でオーケストラが使われているのはほんの短いセクションなんだけど、なくてはならない重要な部分なんだ。ジョン・メトカーフは素晴らしい作曲家であり編曲家で、僕は彼自身がコンポーザーとして出している作品も大好きだよ。ジョンのアレンジャーとしての仕事ぶりを評価する人たちには、是非彼のアルバム『Tree』をオススメしたいね。僕はこの作品をリアル・ワールドからリリースできたことを、たいそう嬉しく思っているんだ」
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「Face the Wall」のカヴァー・アートワークは、川俣正による『The Nest. Amos Rex』という作品で、ミカ・ホイスマンが撮影したものです。
「アモス・レックス[訳注:フィンランドのヘルシンキにある、現代美術を専門に扱う地下美術館]の『The Nest』を見て、一目惚れしたんだよ。僕にとって、あそこにそびえ立つ壁は巨大で、堅固で、ね、まるで死神のような感じさえするものだ。乱雑に積み上げられた椅子[訳注:原文では「human chair」と書かれていますが、「人間のような椅子」なのか「人間が使う椅子」という意味なのかは不明]が、壁を乗り越えようとしているんだけど、どういうわけか、壁の上から溢れ出ているんだよね。なんとも滑稽だけど、同時に希望に満ちていて、まるで圧倒的な困難に立ち向かっているようにも感じられるんだ」
「僕はこの写真を見るまで、川俣正の作品を意識して観たことがなかったんだけど、これを見てもの凄くワクワクしてしまってね。この曲にぴったりだと思って、彼の他の作品も沢山見るようになったんだ」
「恐らく僕は、ルールに逆らったり、型破りなやり方で表現されたりするものに惹かれる傾向があるんだと思う。僕らは美術館の中とか、壁に飾られたアートを目にすることには慣れているけれど、ここではアートが壁を越えて溢れ出てるだろ。それがより興味深く、冒険的で、思いがけない脈絡の予感を感じさせてくれるんだ。川俣正は多くの素材、特に椅子だけど、そういうものを地元の廃棄物回収場から調達して来ていて、つまりそれらはいわばそのコミュニティや地域[美術館のあるヘルシンキ中心部のラシパラツィ・ビル]に属していると言える。この作品が持つ、“その場所特有” という性質は、彼が本当に楽しそうに遊び心を持って表現している部分だと思う。僕と同じようにこの画像を気に入ってくれた皆さんには、今後是非チェックしてほしいアーティストだ」
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