ファンカデリックのアートワークを手掛けたペドロ・ベルが69歳で死去

Pファンクのファンカデリックとジョージ・クリントンのアルバム・カヴァーを何作も手掛けたイラストレーターのペドロ・ベルが、8月27日に69歳で亡くなりました。ペドロは、「Sir Lleb」のペンネームで、Pファンクのライナーノーツも執筆していました。

ジョージ・クリントンとベーシストのブーツィー・コリンズが、SNSで訃報を伝えています。
 
クリントンは、2014年に出版した回顧録『Brothas Be, Yo Like George, Ain’t That Fuckin’ Kinda Hard on You?(日本語版『ファンクはつらいよ ジョージ・クリントン自伝 バーバーショップからマザーシップまで旅した男の回顧録』DU BOOKS刊)』の中で、「ペドロは、クレイジーで性欲過剰なキャラクターと奇妙なスローガンに満ちた複雑でワイルドな世界を落書きしていた」と綴り、ペドロが初めて手掛けたアルバム『Cosmic Slop』(1973年)のアートワークについては、「彼が送ってきたイラストにはぶっ飛んだ。ポン引きや馬、エイリアンから蛆虫が出ているイラストで、悪夢のようだったけど面白くて美しく、俺たちの音楽にはピッタリだった」と語っていました。
 
今回の訃報を受け、クリントンは『Rolling Stone』に宛てた声明で、次のように綴っています。

「彼のワイルドで奇怪なアートワークは、昔のファンたちに、俺たちの音楽と言葉を視覚的側面から理解する感覚を与えた。“この世のものとは思えないモノ” とは一体何なのか、彼は自然とそれを解釈して表現するすべを知っていたし、アルバムを買う人間が、それを知りたがっていることもわかっていた。なぜなら、“この世のものとは思えないモノ” は本当に空想的だったから。彼の表現力とファンが知りたかったことが一致した時に、“それ” が生まれ、満足したファンがまた一人増えていた。国民に芸術的な快楽を与えてくれたキャプテン、ペドロ・ベルに感謝している。ファンクは力をつけたぜ。キミがこの世にした貢献は計り知れない」
 
ペドロは、ファンカデリック1974年のアルバム『Standing on the Verge of Getting It On』、1975年の『Let’s Take It to the Stage』、1978年の『One Nation Under a Groove』をはじめ、クリントン1982年のソロ・アルバム『Computer Games』でもアートワークを手掛けましたが、2009年の『Sun-Times』の記事によると、当時59歳だったペドロは、ほとんど全盲に近い状態で、透析療法を受けながら極貧生活を送っていたといいます。
クリントンとは、その15年前に不和となり、クリントンとの仕事でギャラをもらったことは一度もなかったと語り、この記事を読んだ他のアーティストらが救済キャンペーンを立ち上げていました。
 
ブーツィー・コリンズは、SNSで次のような追悼メッセージを発表しています。

「ファンカデリックのグラフィックとアートワークを支えてくれた素晴らしい指導者を失った。ペドロ・ベルは、ファンカデリックとジョージ・クリントンのソロ・アルバムのために、多くのカヴァー・デザインとアートワークを苦心して作り上げたことで知られるアメリカ人アーティストでイラストレーターだった。キミの貢献に感謝している」

ペドロ・ベルが手がけた主なアルバム・ジャケット・ワーク

Funkadelic
1) Cosmic Slop (1973)
2) Standing on the Verge of Getting It On (1974)
3) Let's Take It to the Stage (1975)
4) Hardcore Jollies (1976)
5) Tales of Kidd Funkadelic (1976)
6) One Nation Under a Groove (1978)
7) Uncle Jam Wants You (1979)
8) The Electric Spanking of War Babies (1981)
    
George Clinton
1) Computer Games (1982)
2) You Shouldn't-Nuf Bit Fish (1983)
3) Some of My Best Jokes Are Friends (1985)
4) R&B Skeletons in the Closet (1986)
5) Dope Dogs (1994)
6) George Clinton and The P-Funk Allstars, T.A.P.O.A.F.O.M. (The Awesome Power of a Fully Operational Mothership) (1996)
7) Greatest Funkin' Hits (1996)
8) George Clinton & the P-Funk All-Stars, How Late Do U Have 2BB4UR Absent? (2005)

Others
・Jimmy G And The Tackhead, Federation of Tackheads (1985)
・INCorporated Thang Band, Lifestyles of the Roach and Famous (1988)
・Various Artists, George Clinton Presents Our Gang Funky (1989)
・Maggotron, Maggotron: Bass Man of the Acropolis (1991)
・Axiom Funk, Funkcronomicon (1995)
・Enemy Squad, United State of Mind (1998)
 

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