トニー・アレン最期のアルバム『There Is No End』、4月30日発売

© Bernard Benant

2020年5月1日のMLCニュースでお伝えしたように、ナイジェリア出身のアフロビート・ドラマー/作曲家のトニー・アレンは、昨年4月30日に79歳で他界してしまいましたが、当時の彼が取り掛かっていたニュー・アルバムをコラボレーターたちが完成させ、彼の1周忌にあたる今年の4月30日にブルーノートからリリースされることになりました。

14曲を収録したアルバム『There Is No End』には、ラッパーのダニー・ブラウンやサンパ・ザ・グレイト、ラヴァ・ラ・ルー、スケプタ、ベン・オクリらがゲスト・ヴォーカリストとして参加しており、リード・シングル「Cosmosis」のミュージック・ビデオが公開されています。

Tony Allen
Cosmosis ft. Skepta, Ben Okri

「Cosmosis」はアレンとデーモン・アルバーンが共作した曲で、ベン・オクリが作詞を担当し、アルバーンとレミ・カバカが共同プロデュースしました。

なお、アレンは亡くなる一ヵ月ほど前、ヒュー・マセケラとコラボしたアルバム『Rejoice』をリリースし、アレンの死から一ヵ月後には、ゴリラズ(デーモン・アルバーンの覆面プロジェクト)が、アレンとスケプタをフィーチャーしたコラボ曲「How Far?」をリリースしています。

1. トニーズ・プレリューディアム Tony’s Praeludium
2. スタンブリング・ダウン (feat. サンパ・ザ・グレイト) Stumbling Down (feat. Sampa The Great)
3. クラッシュド・グレープス (feat. ロード・ジャー=モンテ・オグボン) Crushed Grapes (feat. Lord Jah-Monte Ogbon)
4. トレ・マニフィーク (feat. ツナミ) Très Magnifique (feat. Tsunami)
5. マウ・マウ (feat. ナー・イート) Mau Mau (feat. Nah Eeto)
6. クーンタ・キンテ (feat. ゼルーパーズ) Coonta Kinte (feat. Zelooperz)
7. リッチ・ブラック (feat. コリアタウン・オディティ) Rich Black (feat. Koreatown Oddity)
8. ワン・インナ・ミリオン (feat. ラヴァ・ラ・ルー) One Inna Million (feat. Lava La Rue)
9. ギャング・オン・ホリデイ (エム・アイ・ゴー・ウィー?) (feat. ジェレマイア・ジェイ) Gang On Holiday (Em I Go We?) (feat. Jeremiah Jae)
10. ディア・イン・ヘッドライツ (feat. ダニー・ブラウン) Deer In Headlights (feat. Danny Brown)
11. ハート・ユア・ソウル (feat. ネイト・ボーン) Hurt Your Soul (feat. Nate Bone)
12. マイ・オウン (feat. マーロウ) My Own (feat. Marlowe)
13. コズモシス (feat. ベン・オクリ & スケプタ) Cosmosis (feat. Ben Okri & Skepta)
14. ゼア・イズ・ノー・エンド There’s No End
15. コズモシス (インストゥルメンタル) Cosmosis (Instrumental) ※日本盤限定ボーナス・トラック

〈以下メイカー・インフォメーションより〉

2020年4月30日に亡くなったドラマー、トニー・アレン。ブライアン・イーノをして「史上最高のドラマー」と言わしめたアフロビートの帝王によるニュー・アルバムが、亡くなって1年となる4月30日にリリースされることが決定した。

本作は、トニーが亡くなる直前にレコーディングしていた遺作と位置付けられるもの。アート・ブレイキーのトリビュートやジェフ・ミルズとのコラボレーションなど近年は冒険心溢れるプロジェクトに取り組んでいた彼だが、本作で彼がコンセプトとして置いていたのはヒップホップ。「素晴らしい才能を持つ若い世代を世に送り出したい」というトニーの願いを反映する形で、スケプタやダニー・ブラウン、サンパ・ザ・グレイトといった豪華な面子のみならずナー・イートやコリアタウン・オディティ、ラヴァ・ラ・ルーなど才能溢れる気鋭のアーティストまで幅広く各トラックにフィーチャリングされている。最期まで実験的なスピリットを失わなかったトニー・アレンの冒険心、クリエイティビティを存分に感じ取れる充実の内容だ。

先行配信、MV公開がスタートしている「コズモシス」という曲は、今作の中でも最初にレコーディングされたトラック。ベン・オクリ、スケプタのフィーチャリングに加えデーモン・アルバーン(ブラー、ゴリラズ)とも共演。トニーならではのビートにデーモンの印象的なオルガンが絡み合い、その上をベン・オクリのポエトリー・リーディングとスケプタのフローが飛び交う秀逸な仕上がりとなっている。日本盤には限定ボーナス・トラックとして「コズモシス」のインストゥルメンタルを収録しているので、そちらも要チェックだ。

今回のアルバムについて、プロデューサーのヴィンセント・テーガーは「私にとってトニーは、言葉抜きで色々なことを教えてくれる教師のような存在だった。亡くなってなおアーティストとしての素晴らしいヴィジョンに満ちているドラマーであり守護者だ」とコメントしている。また、「コズモシス」に参加したナイジェリアの詩人/小説家であるベン・オクリは「トニーはあと150年ほど生きて、新たな音楽の世界を創り上げていけるような人でした。彼は自身の芸術のシャーマン的な存在となったのです。彼は自分自身、そして自身のマインドをよく理解していました。彼はこのアルバムを若い世代のエネルギーへと開放したかったのです。そして彼は自身のシンプルなビートで、まるで偉大な数学者や科学者が新たな世界への数式を発見するかのように、素晴らしいキャンバスを描きあげたのです」とコメントしている。

トニー・アレン ニュー・シングル「コズモシス(feat. ベン・オクリ & スケプタ)」配信中

■トニー・アレン ニュー・アルバム『ゼア・イズ・ノー・エンド』
2021年4月30日発売 UCCQ-1137 ¥2,860(税込)
 

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【トニー・アレン プロフィール】
1940年、ナイジェリア生まれのドラマー、作曲家。

アート・ブレイキーなどのジャズ・ドラマーから影響を受け、1964年にフェラ・クティのバンドのオーディションに合格。以降彼の右腕として活動を開始。独特のグルーヴでアフロビートの確立に大きく寄与した。

1970年代にクティはアフリカ70を結成。彼のプロデュースのもと3枚のアルバムを制作し、トニーは全ての作品に参加した。

1980年代からはクティの元を離れ、自身のバンド「トニー・アレン・アンド・アフロ・メッセンジャーズ」を結成。アルバム『Discrimination』を制作後、パリへ移住する。

1990年代以降は主にセッション・ミュージシャンとして活動。ブラーのデーモン・アルバーンやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、ザ・クラッシュのポール・シムノンらと「The Good, the Bad and the Queen」を制作するなど多くのアーティストと共演し活躍を続け、ブライアン・イーノをして「史上最高のドラマー」と言わしめた。

2012年にはデーモン・アルバーン、フリーと「Rocketjuice and the Moon」を結成してアルバムをリリース。晩年はアート・ブレイキーのトリビュートやジェフ・ミルズとのコラボレーションなど冒険心溢れるプロジェクトを展開。

2020年4月30日、パリで死去。79歳だった。

【トニー・アレン各種リンク】
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商品詳細

フェラ・クティ 

『Zombie』

CD(2010/9/14)輸入盤
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