英トラッド・フォーク界の重鎮、ノーマ・ウォーターソンが82歳で死去

ブリティッシュ・フォークのレジェンド、ノーマ・ウォーターソン(Norma Waterson)が1月30日、82歳で死去しました。

娘のイライザ・カーシーがフェイスブックで訃報を伝えており、死因は発表されていませんが、ノーマは肺炎のため入院していたそうです。また家族は、パンデミックの影響でライヴ活動が出来なくなり、経済的に困窮していたノーマの治療費と夫マーティンをサポートするため、クラウンドファンディングで資金提供を呼び掛けていました。

1939年に英イースト・ヨークシャーのハルで生まれたノーマは、弟マイクと妹のラルと共に孤児となり、祖母によって育てられました。

60年代初期からスキッフルの演奏を始めた彼らは、従兄弟のジョン・ハリスンとザ・ウォーターソンズを結成し、1965年にデビュー・アルバム『Frost and Fire』を発表。続いて1966年にも2枚のアルバム『The Watersons』『A Yorkshire Garland』をリリースしましたが、ノーマがラジオDJとして働くためにカリブ海のモントセラット島へ移住し、グループは1968年に解散しました。

その後、ノーマがイギリスに戻り、グループは1972年に再結成し、ジョン・ハリスンの後任としてノーマの夫マーティン・カーシーが加入。このラインナップで、1975年のアルバム『For Pence and Spicy Ale』、1977年の『Sound, Sound Your Instruments of Joy』、1981年の『Green Fields』をリリースしました。

また、オリジナル曲も手掛けたラルとマイクは、1972年にラル&マイク名義のアルバム『Bright Phoebus』をリリースし、ノーマがゲストで参加していました。

その後、マイクの娘レイチェル・ウォーターソンが加わったグループは、80年代後半から定期的にパフォーマンスを行なっていましたが、90年代半ばにノーマとマーティン、娘のイライザがウォーターソン:カーシー(Waterson : Carthy)を結成し、1994年~2006年までに6枚のアルバムを発表、ザ・ウォーターソンズとしての活動は徐々に消えていきました。

またノーマは、1996年~2001年にかけて3枚のソロ・アルバムを発表し、1996年のデビュー作『Norma Waterson』は、イギリスで最も優れたアルバムに贈られる「マーキュリー賞」にノミネートされました。

ノーマは2010年、重病のため昏睡状態に陥り、回復後も歩行と会話に支障をきたしていましたが、2018年にはイライザをフィーチャーしたソロ・アルバム『Anchor』をリリースし、これが最後の作品になりました。

ノーマの訃報を受け、ビリー・ブラッグや、ヴァン・ダイク・パークスらが追悼メッセージを発表しています。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
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