※関連ニュースをご覧になる場合は、こちら↑のタグ(アーティスト名/項目)をクリック。

名セッション・ギタリスト、フィル・アップチャーチが84歳で死去

フィル・アップチャーチ『Feeling Blue』
Amazon Music(JAN 01 1968)
数々のセッション・ワークで知られるギタリストのフィル・アップチャーチが、11月23日に亡くなっていたことが、遺族によって公表されました。享年84。死因は明らかになっていません。
アップチャーチは、1941年7月19日、シカゴの生まれ。ジャズ・ピアニストを父に持ち、13歳の時に父からウクレレをもらったことをきっかけに、ギター、ベース、ドラムといった楽器にのめり込んでいきました。1958年に高校を卒業し、4人組ヴォーカル・グループ:ザ・スパニエルズとのツアーを経験。1960年代半ば、アメリカ陸軍のドイツ駐留ラジオレポーターとして活躍しましつつ、軍内のクラブで演奏活動も継続。帰国後はラムゼイ・ルイス、ジョン・クレマー、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、エタ・ジェイムスといったアーティストたちとのセッションを通じて名声を高めていきました。1961年にはフィル・アップチャーチ・コンボ名義のシングル「You Can’t Sit Down (Part 1&2)」でビルボード・チャートの最高29位を記録し、ゴールド・ディスクを獲得しています。
●You Can't Sit Down Part 2

その後スタジオ・ミュージシャンとして、クインシー・ジョーンズ、チャカ・カーン、B.B.キング、ディジー・ガレスピーなど、ジャズ、ポップス・シーンの大物たちの作品にクレジットされ続けました。また一方で自身のリーダー作も2010年代までコンスタントにリリース。記事冒頭に掲載した1968年の『Feeling Blue』、自身のバンドで鍵盤を担当していたテニソン・スティーヴンスとの連名による『Upchurch / Tennyson』(1975年)などは名作として語り継がれています。

●Muscle Soul (Remastered 2004)
1950年代からプロとして活躍してきたアップチャーチ、彼が関わった音源は膨大な数に上りますが、いくつかの象徴的な仕事を見ていきましょう。

ダニー・ハサウェイが1972年に発表した名盤『LIVE』のアナログ盤サイドAに収録された4曲(サンタモニカのトゥルバドール公演)はアップチャーチが担当しています(サイドBのギターはコーネル・デュプリー)。ハサウェイ死後の1980年に発売された『In Performance』も同時期のテイクが聴けます。
●What's Going On (Live)

グローヴァー・ワシントン・ジュニアの代表的ヒット作『Mister Magic』(1975年)には「Earth Tone」1曲のみ参加しており、ここではベースを弾いています。

●Earth Tones

ジョージ・ベンソンによるフュージョンの傑作『Breezin’』(1976年)でも、タイトル曲と「Six To Four」でリズム・ギターを担当したのはアップチャーチ。後者の作曲者でもあります。

●Six to Four

マディ・ウォーターズがジャズ/フュージョン系ミュージシャンを従え(しかも自分でギターを弾かず)、サイケデリックなサウンドに振り切った1968年の異色作『Electric Mud』にもアップチャーチは名を連ねていました(ギターは他にピート・コージー、ローランド・フォークナーが参加)。

●I Just Want To Make Love To You

マイケル・ジャクソン、1979年の言わずと知れた『Off The Wall』への参加も特筆でしょう。同作からの「Working Day And Night」がその1曲です。

●Michael Jackson - Workin' Day and Night (Audio)

キャリア後期の作品としては、大物ミュージシャンが結集したジャズ・ソウル・セヴン名義によるカーティス・メイフィールドへのトリビュート作『Impressions of Curtis Mayfield』が挙げられます。

●Freddie's Dead

数限りない名曲のバックを彩るギター・プレイを聴かせ続けたアップチャーチに敬意を表しつつ、安らかなる眠りをお祈りいたします。

商品詳細
フィル・アップチャーチ
『The Way I Feel』


Amazon Music(JAN 01 1970)
商品詳細
フィル・アップチャーチ
『フィル・アップチャーチ&テニソン・スティーヴンス』


Amazon Music(SEP 21 1975)
商品詳細
ダニー・ハサウェイ
『Live』


Amazon Music(JAN 01 1972)
この記事についてのコメントコメントを投稿

この記事へのコメントはまだありません

スタックス・レコード物語 Soulsville U.S.A.

スタックス・レコード物語 Soulsville U.S.A.

3,520円
スウィート・ソウル・ミュージック──リズム・アンド・ブルースと南部の自由への夢

スウィート・ソウル・ミュージック──リズム・アンド・ブルースと南部の自由への夢

3,520円

ディスク・コレクション グルーヴィ・ソウル

1,980円
歌と映像で読み解くブラック・ライヴズ・マター

歌と映像で読み解くブラック・ライヴズ・マター

2,200円

RELATED POSTS

関連記事

LATEST POSTS

最新記事

ページトップ