シカゴ・ブルース／ソウルのレジェンド、シル・ジョンソンが85歳で死去

シカゴ・ブルース／ソウルの伝説的シンガーでレコード・プロデューサーでもあったシル・ジョンソン（Sylvester “Syl” Johnson）が2月6日、85歳で死去しました。

家族が訃報を伝えていますが、死因は発表されていません。

「ソウル＆ブルースの殿堂入りを果たしたレジェンド、シル・ジョンソンの訃報をお伝えすることになり、家族は途方もない悲しみに包まれています。父であり、兄弟、祖父、曽祖父、叔父であり、友人、アーティストである彼は、シンガー、ミュージシャン、ブラック・ミュージックを愛する企業家として生涯を送りました。

私たちの時代で最もサンプリングされたアーティストの一人であり、彼の音楽は、歴史上最も感動的な瞬間のサウンドトラックとなりました。彼は常に、自身の音楽とサウンドに関連する正義を追求するために立ちあがり、燃えるような激しい闘志の持ち主でした。彼の死は出会った全ての人々から心より惜しまれ、彼の曲とレガシーは、それを経験するすべての人にとって、完璧な歴史的青写真として記憶されることでしょう。彼は世界中のファンの皆様を愛していました。音楽を愛したシカゴのアイコン、シル・ジョンスンは、彼の人生を堂々と生きました。数日前に兄のジミー・ジョンソン（ブルースの殿堂）が亡くなり、父は他界した多くの愛する人や仲間のミュージシャンらと天国へ行き、世界は二人の音楽の巨人を失いました」

シル・ジョンソンは1936年7月、ミシシッピ州ホリースプリングスで生まれ、1950年に家族とシカゴに移住しました。ブルース・ギタリストのマジック・サムが隣人だったため、ジョンソンは50年代からマジック・サムやハウリン・ウルフ、ジュニア・ウェルズらと共演するようになり、1968年にデビュー・アルバム『Dresses Too Short』を発表しました。

同作からは、「Different Strokes」と「Come On Sock It to Me」がヒットし、ファンク・ナンバーの「Different Strokes」は、その後パブリック・エネミーの「Fight the Power」や、ウータン・クランの「Shame on a N***a」、ジェイ・Z ＆カニエ・ウェストの「The Joy」をはじめとする300以上の楽曲にサンプリングされ、ヒップホップ音楽において最も影響力のある曲の一つとなりましたが、ジョンソンは曲の無断使用が著作権の侵害にあたるとして、2011年にジェイ・Zとカニエ・ウェストを訴えていました。

ジョンソンはデビュー・アルバムに続き、1970年から2000年代にかけて数々のアルバムをリリースし、1970年のシングル「Is It Because I’m Black」と1975年の「Take Me to the River」もヒットを記録、2010年にはジョンソンのキャリアを網羅したボックスセット『Complete Mythology』が発売され、ジョンソンは同作で、グラミー賞の最優秀歴史的アルバム賞と最優秀ライナーノーツ賞にノミネートされました。

また2015年には、ジョンソンのドキュメンタリー『Syl Johnson : Any Way the Wild Blows』が公開され、デ・ラ・ソウルを手掛けたプリンス・ポールや、RZA、ジョナサン・レセムらのインタヴューがフィーチャーされていました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。