映画『炎のランナー』や『ブレードランナー』の音楽を手掛けたヴァンゲリスが死去

ヴァンゲリス公式フェイスブック・ページ、2021年10月8日投稿より
 

映画『Chariots of Fire』（邦題『炎のランナー』）や『Blade Runner』（邦題『ブレードランナー』）の音楽で知られるギリシャ人ミュージシャン／作曲家のヴァンゲリス（Vangelis）が5月17日、79歳で死去しました。

ギリシャのメディアによると、ヴァンゲリスは新型コロナの治療を受けていたフランスの病院で亡くなったそうで、ギリシャのミツォタキス首相も「ヴァンゲリスは、もはやこの世にはいない」とツイートしています。

ヴァンゲリス（本名エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ）は、1943年にギリシャのヴォロスで生まれ、アテネで育ちました。ほぼ独学で音楽を学んだヴァンゲリスは、20歳の時に初めて結成したフォーミンクス（The Forminx）に続き、1968年にプログレッシヴ・ロック・バンドのアフロディテス・チャイルド（Aphrodite’s Child）をパリで結成しました。

アフロディテス・チャイルドは、デビュー・シングル「Rain and Tears」がヨーロッパで大ヒットし、続いて3枚のアルバムをリリースしましたが、1972年に解散しました。またヴァンゲリスは、バンド在籍時に映画音楽も手掛けるようになり、フランスのドキュメンタリー映画『L'Apocalypse des animaux』に曲を提供していました。

バンド解散後、ヴァンゲリスはソロ活動を本格化させ、1973年にソロ・アルバム『Earth』をデビュー作として公式にリリースし、翌1974年にロンドンへ移住しました。

当時キーボーディストとして知られていたヴァンゲリスが、イエスからオファーされたリック・ウェイクマンの後任を断った話は有名ですが、それを機にイエスのジョン・アンダーソンと交流を深め、1975年にRCAレコードからリリースしたアルバム『Heaven and Hell』には、アンダーソンが参加していました。その後、ヴァンゲリスとアンダーソンは、1979年にジョン＆ヴァンゲリスを結成し、1980年のデビュー・アルバム『Short Stories』に続き、1991年までに3枚のアルバムをリリースしています。

また、ヴァンゲリスが音楽を手掛けた映画『炎のランナー』（1981年）と『ブレードランナー』（1982年）のサウンドトラックが大ヒットし、前者の音楽がアカデミー賞の「最優秀作曲賞」を受賞。日本では、1983年の映画『南極物語』のサントラを手掛けたことで話題となりました。

なお、ヴァンゲリスはキャリアにおいて50枚以上のアルバムをリリースし、2021年にはNASAの宇宙探査機「ジュノー」からインスパイアされたアルバム『Juno to Jupiter』を発表しましたが、これが最後のスタジオ・アルバムとなりました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。