クイーン研究家・いしづみたかゆきのクイーンとプラチナ・ジュビリーを訪ねて6,000マイル![5]EXTRA〜ABBAデジタル再結成編
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もはやABBA以外の何ものでもない!〜ABBAデジタル再結成編
6月3日(金)グラスゴー、4日(土)プラチナ・ジュビリー、5日(日)O2アリーナと続いた私の英国音楽紀行、最後は6日(月)、ABBAのデジタル再結成ライヴ「ABBA Voyage」です。せっかくロンドンに居るのだからと、5月27日から始まった「ABBA Voyage」のチケットを事前に買っておきました。QALのスタンド席が£300.00(約5万円)なのに対し、こちらはアリーナ・スタンディング・エリアで£53.95(約9,000円)と格安です。後方のシート・エリアは£21.00(約3,500円)からとさらに安いです。
会場となったABBAアリーナはロンドンの東エリア、クイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内に設置された特設会場。最寄り駅はDLR(無人運転の鉄道。日本の “ゆりかもめ” みたいなもんです)のプディング・レーン駅。降りたら真ん前が会場です。あいにく私がチケット取っていた6日(月)はロンドン市内の地下鉄のストライキ日! バスという手段もありましたが、路線が複雑で辿り着けなさそう。無理して観に行くこともないかと、挫けかけていましたが、結局タクシー移動を選択。普段なら中心部から30分もあれば行ける距離なのに、ストの影響で市内は至るところで大渋滞。約80分かけて到着、タクシー代はチケットと同額の£54.00(約9,000円)! トホホです……。
会場に入るとロビーは40〜60代の男女でごった返しています。QALのグラスゴー、ロンドンと同様、BARカウンターには長蛇の列。逆にグッズ売り場は充実の品揃えなのに閑古鳥が鳴いている始末。イギリスの人はやっぱりお酒なんですね。場内は800人ぐらい収容の小ぢんまりしたアリーナ。前方がスタンディング・エリアで後方が椅子席。開演前から皆さん一杯やりながら大騒ぎ。なかなか賑やかでよろしいですなぁ。
そして定刻の19時30分すぎ、客電が落とされ場内が暗くなるとステージにABBAの4人が登場! 目を疑いました! そこにいるのは紛れもないメンバーそのもの。しかも70年代の彼ら。前から見ても、横から見ても生身の人間が歌っています。ステージ後方は半円形の巨大なスクリーンになっており、時には女性メンバーのアグネタやフリーダが大写しになり、歌ってる時の飛沫、毛穴や産毛などもはっきりと見てとれます。あくまでもホログラムであり、アバター(彼らはこれを “ABBAters=アバター” と呼んでます)だとは、わかっちゃいるんですが、どう見てもABBA本人。アグネタとフリーダの激しいダンス・パフォーマンスなんぞは、普通ならデジタル特有のズレとかノイズみたいなのがある筈なんですが、そんなことは全く無く、実にスムーズに動きます。ビヨルンのギターや、ベニーのキーボードを演奏する手元も映し出され、こちらも全く違和感なし。客席に向かって話しかけるMCなんて、ゾクゾクしましたもの。
ABBAはこの公演を “革命的なコンサート” とアナウンスしてましたが、まさにその通り。仕組みは70代半ばのメンバーが実際に踊って歌って演奏している姿をモーション・キャプチャしてCGに落とし込み、30代の頃の彼らに補正していく。なんでもジョージ・ルーカス・スタジオと提携した最先端のデジタル技術で140億円ぐらいかかってるそう。膨大な予算を掛ければここまで出来るんだ、ということをまざまざと見せつけられました。これならプレスリーやジョン・レノンでも再現できるんじゃない!という方もいますが、アバターの元となっているのは現在のABBAの4人。ここが決定的に違います。つまり、姿かたちは70年代の彼らですが、演っているのは現在のABBA。全員が存命だからこそ出来ること。こんな最先端のデジタル技術を駆使したコンサートですが、演奏は6人のバンド・メンバーと4人のコーラスによるもので、ライヴ感やグルーヴ感は半端ないです。デジタルの最も進化したものと、人の手によるアナログ感覚を違和感なく絶妙にブレンドさせてるところに彼らのこの新しいエンターテインメント・ショウへの矜持を見ました。
コンサートはABBAのロンドンの最後公演となった1979年11月のウエンブリー・アリーナのセットリストを中心に、昨秋リリースした最新アルバム『ABBA Voyage』収録の2曲を加えた構成。彼らがユーロヴィジョン・ソング・コンテスト1974年で優勝し、一躍ヨーロッパのトップ・スターに躍り出た記念すべき曲「恋のウォーター・ルー(Waterloo)」ではアバターではなく、当時の授賞式の若き日の彼らを映し出します。改めて凄いと思ったのは、次から次へと繰り出される曲の殆どが耳に馴染みのある曲だということ。おじいちゃんとおばあちゃんは曲に合わせてダンス、中高年層のお客さんはビールを何杯も飲みながら大声で歌う、ディスコ再興世代の20〜30代は踊り狂うと、それぞれの世代がそれぞれの楽しみ方を満喫。みなさん一様にニコニコ笑って、とにかく楽しそう。いかにABBAがイギリス人の間で支持され愛されてきたのかが、よくわかりました。「ダンシング・クイーン」が演奏されると楽しい宴もそろそろ終わりだとばかりに、会場はこれ以上ないという程ヒートアップ。ラストはバラード「ザ・ウィナー」(「The Winner Takes it All」)がエモーショナルに歌われ、オーディエンスがじっくり余韻をかみしめる中、メンバーはステージを降りました。そしてカーテン・コールには現在のABBAの4人が登場! もちろん、これもアバターですが、お客さんは本物だろうがアバターであろうがもはやお構いなし。大歓声で迎えられる中、メンバーは観客にゆっくりと挨拶し90分の楽しい楽しい再結成コンサートは終了。
●2022年6月6日「ABBA Voyage」@ABBAアリーナ:セットリスト
( )=収録アルバム名/発表年度
1. The Visitors(『The Visitors』1981)
2. Hole in Your Soul(『ABBA:The Album』1977)
3. SOS(『ABBA』1975)
4. Knowing Me , Knowing You(『Arrival』1976)
5. Chiquitita(『Voulez-Vous』1979)
6. Fernando(single:1975)
7. Mamma Mia(『ABBA』1975)
8. Does Your Mother Know(『Voulez-Vous』1979)
9. Eagle(『ABBA:The Album』1977)
10. Lay All Your Love on Me(『Super Trouper』1980)
11. Summer Night City(single:1978)
12. Gimme!Gimme!Gimme!(single:1979)
13. Voulez-Vous(『Voulez-Vous』1979)
14. Don't Shut Me Down(『Voyage』2021)
15. When All is Said and Done(『The Visitors』1981)
16. I Still Have Faith in You(『Voyage』2021)
17. Waterloo(『Waterloo』1974)
18. Thank You for the Music(『ABBA:The Album』1977)
19. Dancing Queen(『Arrival』1976)
20. The Winner Takes it All(『Super Trouper』1980)
サイケ風イラストのABBA Tシャツは£30(約5,000円)。
Tシャツは他にもいっぱい種類ありましたバッジは退場時に配布
・ABBA Voyage公式サイト
・ABBA Voyageグッズページ/日本からも買えます!
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英国徒然漫遊紀行、今回はクイーン全く出てこず、ABBAだけになってしまいました。次回はいよいよ最終回。ロンドン滞在中にふらっと行けるクイーン聖地巡り情報、お届けします。

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クイーン全曲ガイド2 ライヴ&ソロ編
著者:石角隆行


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