フィーリーズとラウンジ・リザーズの初期ドラマー、アントン・フィアーが66歳で死去

初期のザ・フィーリーズ（The Feelies）とラウンジ・リザーズ（Lounge Lizards）でドラマーを務め、プロデューサー／作曲家／バンドリーダーでもあったアントン・フィアー（Anton Fier）が9月21日、66歳で死去しました。

フィーリーズのバンド仲間が、「Pitchfork」に次の声明を発表しています。
「昨夜、アントンが他界したという悲しい知らせを聞きました。あまりにも短い間でしたが、私たちは彼との音楽の旅を通じ、一緒に演奏する喜びを味わいました。彼はミュージシャンとして、自身のハードルを非常に高く設定し、周囲の人々が向上するようインスピレーションを与えました。私たち全員が、素晴らしいミュージシャンである真の偉大なドラマーを失い、彼は平安を得ました」

フィアーは1956年にオハイオ州クリーヴランドで生まれ、パンク音楽に興味を持ったことを機に20代前半でニューヨークへ移住、フィーリーズ1980年の画期的アルバム『Crazy Rhythms』でドラマーを務めました。しかしながら、同作のリリース直後にバンドを脱退し、ジョン・ルーリーのジャズ・パンク・バンド、ラウンジ・リザーズに加入、バンド1981年のデビュー・アルバム『Lounge Lizards』に参加しました。

続いて1981年の後半には、自身が率いるゴールデン・パロミノスを結成し、ジョン・ゾーン、アルト・リンゼイ、ビル・ラズウェル、フレッド・フリスが加入。同バンドのラインナップは頻繁に変わりましたが、最も長く在籍したラズウェルとニッキー・スコペリティスは、1996年のアルバム『Dead Inside』に至るまで参加し、その後2012年にリリースした『A Good Country Mile』がバンド最後のアルバムになりました。

また、ニューヨークの売れっ子ドラマーだったフィアーは、ポストパンク・バンドのペル・ウブや、サックス奏者のジョン・ゾーン、ハービー・ハンコック、ローリー・アンダーソン（ルー・リードの妻）、オノ・ヨーコ、ミック・ジャガー、ボブ・モウルドらのレコーディングに参加し、サザン・ロック・バンドのドライヴィン・アンド・クラインや、カナダのロック・バンド、グレイプス・オブ・ラス、米シンガー／ソングライターのジョー・ヘンリーらのプロデューサーも務めていました。

フィアーの訃報を受け、多くの友人やバンド仲間が追悼コメントを発表しており、ボブ・モウルドは次のように綴っています。

「アントン・フィアーは、彼が作り出して触れた全ての音楽に、無限のパワーと感情、激しさをもたらしました。私はアントンから音楽について多くのことを学び、彼と過ごせた時間に心から感謝しています。友よ、安らかに」

安らかなる眠りをお祈りいたします。