オルタナティヴ・ロック・バンドのポスター等を手掛けたグラフィック・アーティスト、フランク・コジックが61歳で死去

オルタナティヴ・ロック・バンドのポスターやアルバム・カヴァーを手掛けたグラフィック・アーティスト、フランク・コジック（Frank Kozik）が5月6日、サンフランシスコにて61歳で死去しました。

 

コジックは、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ1998年のデビュー・アルバム『Queens of the Stone Age』や、メルヴィンズ1993年の『Houdini』、オフスプリング1998年の『Americana』をはじめとするアルバム・カヴァーをデザインしたほか、ニルヴァーナ、ソニック・ユース、ホワイト・ストライプス、バットホール・サーファーズ、ビースティ・ボーイズらのツアー・ポスターを手掛け、ローブローアートの巨匠として知られていました。

1962年にアメリカ人の父とスペイン人の母のもと、スペインのマドリードで生まれたコジックは、1976年に父親と住むためにカリフォルニア州サクラメントに移住し、高校中退後に入隊したアメリカ空軍の駐屯地、テキサス州オースティンに定住しました。

除隊後にオースティンのナイトクラブでドアマンの仕事に就いたコジックは、80年代前半から、オースティンのパンク・バンドのためにビラやポスターを独学で描き始め、アングラ・アーティストとして注目を集めました。

その後、1993年にサンフランシスコへ移り、インディペンデント・レーベルの「マンズ・ルイン・レコード」（Man’s Ruin Records）を設立し、メルヴィンズをはじめとするオルタナティヴ・バンドやパンク・バンドのレコードを200枚以上リリースしましたが、ファインアートの仕事に集中するため、2001年に廃業しました。

彼の芸術的観点は、“ダークなユーモアのセンス” とパンク・ロックに起因するもので、コジックは2018年のインタヴューで、次のように語っていました。

「僕はガラクタ世界の人間で、教育を受けていない敗者であり、間違いなく快楽主義の経験に溺れていました。ファインアートを正しく理解していた一方で、大学や博物館ではなく、パンク・ロックのライヴに通い、僕を本当に楽しませたのはパンクの世界でした。ひどい車に乗って猛スピードで走り回ったり、愉快な連中とパーティーをしたり……その多くは本当に視覚的に魅力的で、すべてがパワーのイメージであり、セックス、ドラッグ、暴力、訳の分からないことが交わった基本的な衝動を表しているのです」

なお、コジックの妻シャロンは、次の声明を発表しています。
「フランクは、彼自身よりも大きな存在で、彼が手掛けたあらゆるジャンルのアイコンでした。彼は自分が属していた業界を劇的に変え、彼には自然な創造力がありました。彼の力強い存在は、彼を知るすべての人から惜しまれるでしょう。全ての巨匠と同じく、彼のレガシーは、彼のアートと私たちの記憶を通じて生き続けます」

安らかなる眠りをお祈りいたします。