MC5のリーダー、ウェイン・クレイマーが75歳で死去

デトロイトのロック・バンド、MC5の共同創設者/ギタリストで、シンガー/ソングライター/プロデューサーでもあったウェイン・クレイマー(Wayne Kramer)が2月2日、ロサンゼルスの病院にて、すい臓ガンのため75歳で死去しました。

バンドがSNSで訃報を発表しています。

1948年にデトロイトで生まれたクレイマーは、1963年にギタリストのフレッド・スミスらとMC5(“Motor City Five” の略)を結成し、ガレージ・ロックとブルース・ロック、サイケデリア、フリー・ジャズと左翼政治を融合させたワイルドなパフォーマンスで即座に有名になりました。

バンドは、1967年にカヴァー曲「I Can Only Give You Everything」とオリジナル曲「One of the Guys」をリリースした後、1969年に初ライヴ・アルバム『Kick Out The Jams』を発表。エネルギッシュなタイトル曲がバンドの代表曲になり、同曲は、後にレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなどにより、何度もカヴァーされています。

その後、バンドは1971年に初スタジオ・アルバム『Back in the USA』、翌1972年に2作目のスタジオ・アルバム『High Time』をリリースしましたが、政治的信念を主張した歌詞が政府やラジオ局から反発を受け、バンドは結果的に合計3枚のアルバムをリリースした後、1972年に解散しました。

クレイマーは1975年、おとりの連邦捜査員に麻薬を売ったことで懲役4年の実刑判決を受け、1979年に出所。音楽活動に復帰したクレイマーは、地元バンドのウォズ(ノット・ウォズ)で演奏した後NYCへ移り、ジョニー・サンダースとギャング・ウォーを結成したほか、NYCのバンドのセッション・ギタリストやプロデューサーとしても活動し、80年代の大半はNYCで木工業にも携わっていました。

その後、ロサンゼルスに移住したクレイマーは、1994年にソロ・キャリアをスタートさせ、パンク・レーベルのエピタフ・レコードと契約を結び、5枚のスタジオ・アルバムをリリースしました。

2004年にはMC5を復活させ、オリジナル・メンバーとロンドンでライヴを開催。2018年には、MC5のデビュー作『Kick Out The Jams』の50周年を記念し、サウンドガーデンのキム・セイルとマット・キャメロン、フガジのブレンダン・キャンティ、キングスXのダグ・ピニックらとツアーを行ないました。

クレイマーは2022年、MC5の新アルバムを計画していると語り、トム・モレロをフィーチャーした新曲「Heavy Lifting」の一部を公開。昨年末には、新アルバム『Heavy Lifting』にガンズのスラッシュや、リヴィング・カラーのヴァーノン・リード、アリス・イン・チェインズのウィリアム・デュヴァールらが参加していると明かし、今年の春にリリース予定だと語っていました。

クレイマーの訃報を受け、同アルバムに参加したスラッシュ、ウィリアム・デュヴァール、トム・モレロのほか、アリス・クーパー、ジャック・ホワイトらが追悼メッセージを公開しています。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
商品詳細
MC5
『Kick Out the Jams』


Amazon Music・MP3(1969/2/1)¥800
CD(1991/11/26)輸入盤
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