元キング・クリムゾンのパーカッショニスト、ジェイミー・ミューアが82歳で死去

マイケル・ジャイルズ、デヴィッド・カニンガムとジェイミー・ミュールの3人の共同名義によるアルバム『Ghost Dance』。インディペンデント映画のサウンドトラックとして1983年にリリース、話では3日間で録音含めた制作が完了したそう。ミュール(写真左端)が参加した作品に当時ポートレートが使用された、おそらく唯一のものでは?と思われる作品。

キング・クリムゾン1973年のアルバム『Larks’ Tongues in Aspic』(邦題「太陽と戦慄』)に参加したパーカッショニスト/画家のジェイミー・ミューア(Jamie Muir)が2月17日、英コーンウォールにて、兄弟に見守られながら82歳で死去しました。

クリムゾンのドラマーだったビル・ブルーフォードが訃報を伝えており、ロバート・フリップも次の追悼メッセージを発表しています。

「ジェイミー・ミューアは音楽だけでなく、私の思考に多大な影響を与え続けてくれた。素敵でミステリアスで、キング・クリムゾン1972年のメンバー5人の中で最も信頼性があり、経験豊富で存在感のある人だった」

なお、ミューアのバンド在籍期間は1972年から1973年までと短かったものの、フリーフォームの即興的パーカッショニストだったミューアの方向性は、テクニックと精度を重視するブルーフォードと正反対で、ブルーフォードも「彼は仕事上でも私生活でも僕に大きな影響を与えた」と綴っています。
1942年にスコットランドのエジンバラで生まれたミューアは、60年代にエジンバラ芸術大学に通い、トロンボーンでジャズを演奏した後、パーカッションに転向しました。その後、ロンドンに移住し、ジャズ・グループのザ・ミュージック・インプロヴィゼーション・カンパニーや、ピート・ブラウン&ザ・バタード・オーナメンツ、ボリスなどで演奏した後、1972年にロバート・フリップから誘われ、キング・クリムゾンに加入しました。

クリムゾンの怪物的パワーを生み出す可能性に触発されたミューアは、ドラムキットにチャイムやベル、ゴング、車のクラクション、金属板、ペットボトルなどを取り付け、様々な変わった音色を奏でることが多々あり、アルバム『Larks’ Tongues in Aspic』のタイトルも考案するなど大きく貢献しましたが、アルバムの発売直後に突然バンドを脱退し、スコットランド南部の修道院で仏教僧になりました。

その後、1980年にロンドンの音楽シーンに戻ったミューアは、デレク・ベイリーやエヴァン・パーカーのソロ・アルバムに参加したほか、1983年には元クリムゾンのマイケル・ジャイルズとイギリス映画『ゴースト・ダンス』のサントラで演奏しました。しかしながら、1990年頃に再び音楽ビジネスから撤退し、その後は絵画に専念していたと報じられていました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
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