アンブロージアのキーボーディスト、クリス・ノース死去

商品情報 Ambrosia『Somewhere I've Never Travelled』
Amazon Music(JAN 01 1976)
 

アンブロージア、1976年リリースの『Somewhere I've Never Travelled』(20th  Century Records)、右端がクリス・ノース。残るメンバーは左からデヴィッド・パック(g)、ジョー・プエルタ(b)、バーリー・ドラモンド(ds)。

3月31日、「Biggest Part Of Me」や「How Much I Feel」、「You’re The Only Woman」等のヒットで知られるプログレッシヴ/ソフト・ロック・バンド、アンブロージアの創立メンバーでありキーボーディストのクリス・ノースが亡くなりました。享年75。アンブロージアはバンドのフェイスブックで彼の死を伝え、ファンと関係者に向けて追悼メッセージを発信しています。直接的な死因は明かされていませんが、ノースは近年様々な疾患や不運な怪我に見舞われていました。バンドは彼が2024年に診断された咽頭がんと「勇敢に闘い、見事に勝利を収めた」と綴っています。しかしその後、2025年10月に、ノースはスピード違反の車に撥ねられた上、肺炎を発症していました。
バンドは声明の中で彼を、その担当楽器におけるパフォーマンスから「ハモンドB3の王」と呼び、「プログレッシヴ及びソフト・ロックの一時代を定義づける音響構造」を生み出した功績を称えました。ノースのオルガンはアンブロージアのサウンドにとって不可欠な要素であり、全体の雰囲気を作り出す縁の下の力持ち的な役割をこなすこともあれば、「Biggest Part of Me」や「You’re the Only Woman (You & I)」といったヒット曲では味わい深いソロで一気に前に出て、オーディエンスを魅了しました。

バンドの声明はこう続きます。「1970年の結成時から、彼はキーボードの魔術師であり、ライヴ・パフォーマンスでは毎回比類なき激しさとエモーショナルな深みをバンドにもたらしていました。クリストファー・ノースの功績は、ただ単に放送電波を満たすにとどまらず、ソウルフルかつラジオ・フレンドリーなフックと卓越した技巧とをバランスよく配した “音風景” を描き出していたところにあります。私たちはここに、クラシック・ロックの一時代を築いた真のクラフツマンを讃えます。その瑞々しいピアノの旋律と高らかなオルガンの音色は、時を超えて永遠に響き渡ることでしょう。彼はまさしく唯一無二の存在であり、ファンからもバンドメイトたちからも大いに愛された人物でした」

アンブロージアは1970年代にリリースしたプログレ寄りのアルバムで、ごく小規模な成功を収めました。元リード・ヴォーカリストでソングライターのデヴィッド・パックが2001年のインタヴューで明かしたところによれば、ノースは当時精神的にも肉体的にも健康問題を抱えており、彼らが3枚目のLP『Life Beyond L.A.』を制作中に自ら申し出てバンドを離れます(このアルバムの彼の参加は2曲のみ)。しかしそれから1年も経たないうちに、ノースは戦列復帰し、アンブロージアにとって最大のヒット作となった1980年の『One Eighty』を生み出す上で大きな役割を果たしました。

『One Eighty』はビルボード・アルバム・チャートの順位こそ最高位25位止まり(前作『Life Beyond L.A.』より6スポット下)でしたが、彼らにとって初めてのゴールド・ディスクをもたらした作品となりました。更にヒット・シングル「Biggest Part of Me」(全米シングル・チャート最高位第3位)と「You’re the Only Woman」(同13位)により、この年の彼らの成功はいよいよ決定的なものとなりました。

アンブロージアは1982年にもう一作、『Road Island』をリリースした後、数年後に解散します。ノースとバンドメイトたちは後に再結成を果たし、その後の数十年にわたり定期的にツアーを行なってきましたが、新作を出すことはありませんでした。

パックはバンド結成前、ベーシスト兼ヴォーカリストのジョー・プエルタ、ドラマーのバーリー・ドラモンドと一緒にノースがプレイするギグを観て、彼をスカウトすることを決めたエピソードを、自身の追悼文の中で生き生きと振り返っています。

「僕らが彼を見つけたのは1970年、サウス・ベイのライヴだった。彼はエンジニアのトム・トレフェゼンの手によって、ステレオ・スピーカー内蔵の棺に入ってステージに運ばれてきて、片手に1/5くらい入ったジャック・ダニエルズのボトルを握り、サングラスをかけたまま気取って出てきたと思ったら、やおらオルガンに覆いかぶさって、ハモンドB3を猛然と弾き始めたんだ。僕らは言ったよ、『あいつ、うちでもらっちゃおうぜ!』」

パックはノースの音楽的技巧と「ワイルドで強烈な魅力を放つ彼のステージ・ペルソナ」を称賛し、こう結んでいます。「ライヴをやると、彼は大抵毎晩B3で手を血まみれにしてるか、鍵盤を折ってるかだった。獰猛なんて言葉じゃ彼の魅力はとても言い尽くせなかったね。第一期アンブロージアに沢山のものを与えてくれてありがとう、クリス」

ノースは生まれも育ちもサンフランシスコで、60年代にこの街の周辺で様々なバンドのギグに参加するところからキャリアをスタートさせました。アンブロージアでの活動と並行して、ノースはチャック・ジラードのアルバムや、ドラモンドと彼の妻メアリー・ハリスが始めたバンド、ティン・ドラムの作品にも参加しています。また2014年にはザ・ドアーズのトリビュート・アルバム『Light My Fire:A Classic Rock Salute to the Doors』に「The Soft Parade」のカヴァーを提供していました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
Ambrosia Holding On To Yesterday (Live)"
"You're the Only Woman You & I (Live)"
Ambrosia with Peter Beckett 05-14-2022 - "You're The Only Woman" "This Time I'm in It for Love"
商品情報
Ambrosia
『Life Beyond L.A.』


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商品情報
アンブロージア
『Anthology』


Amazon Music(MAY 01 1997)
Amazon(1997/5/20)輸入盤CD
商品情報
Ambrosia
『Live』


Amazon Music(AUG 09 2005)
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