フリー・ジャズのレジェンド、ヘンリー・グライムスが84歳で死去
Sonny Rollins - Love Letters / RIP HENRY GRIMES
ジャズのダブル・ベーシスト/ヴァイオリニストで詩人でもあったヘンリー・グライムス(Henry Grimes)が4月15日、新型コロナウイルスの合併症により84歳で死去しました。妻のマーガレットによると、4月10日からウイルス感染の症状が出ていたそうです。
フィラデルフィア生まれのグライムスは、12歳でヴァイオリンを弾き始め、高校時代にダブル・ベースに転向しました。ジュリアード音楽院で学んだ後、50年代半ばまでに多才なベーシストとして評価され、ソニー・ロリンズやセロニアス・モンク、ベニー・グッドマンらとレコーディングやパフォーマンスを行ないました。
60年代には、マッコイ・タイナー(3月9日MLCニュース参照)やアルバート・アイラ―らと共演し、1965年にはトリオのリーダーとして、ペリー・ロビンソンとトム・プライスをフィーチャーしたアルバム『The Call』をリリースしています。
ところが、60年代後半にロサンゼルスで金銭トラブルに巻き込まれ、楽器を質屋に入れたことから1970年までに音楽シーンから完全に姿を消してしまいました。一時は死亡説が流れたものの、2002年にソーシャル・ワーカーがグライムスを発見し、ベースのないグライムスは詩を書いて生活していましたが、ウイリアム・パーカーからベースを贈られ、2003年からステージに復帰しました。
その後は多数のフェスティバルなどに出演する傍ら、ベーシスト向けのレッスンやワークショップを手掛け、レコーディング活動も再開し、2010年代を通じて活躍していました。
グライムスの復帰は当時の『ニューヨーク・タイムズ』でも取り上げられ、2015年にはバイオグラフィ『Music to Silence to Music』がロンドンで出版されています。
Barbara Frenz(著)、Sonny Rollins(はしがき)
『Music to Silence to Music : A Biography of Henry Grimes』
洋書(2015/11/15)
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