KISSのアルバムに貢献したロック・ギタリストのボブ・キューリックが70歳で死去

KISSやミート・ローフ、ルー・リードをはじめとする多くの大物ミュージシャンと活動したギタリスト／作曲家／アレンジャー／プロデューサーのボブ・キューリック（Bob Kulic）が5月28日、70歳で死去しました。

KISSの元ギタリストで実弟のブルース・キューリックがツイッター／フェイスブックで訃報を伝えていますが、死因は公表されていません。

「兄のボブ・キューリックが他界したことをお知らせしなければならず、胸が張り裂けそうです。彼の音楽への愛情、ミュージシャン、プロデューサーとしての才能は、この先も称賛されるべきものです。この非常に辛い時期、キューリック家のプライヴァシーを尊重していただきたいと思います」

1950年にニューヨークのブルックリンで生まれたボブ・キューリックは、1972年に無名時代のKISSのオーディションを受けましたが、結果的にKISSのギタリストに抜擢されたのはエース・フレーリーでした。しかしながら、キューリックはKISSのアルバム『Alive II』『Unmasked』『Killers』『Creatures of the Night』に参加し、ポール・スタンレー1978年のソロ・アルバム『Paul Stanley』でも演奏しています。

またキューリックは、ルー・リード1975年のアルバム『Coney Island Baby』に参加した後、ミート・ローフのツアー・バンドに加入し、1984年の『Bad Attitude』に参加するなど、10年以上にわたりバンドに在籍していました。

主にセッション・プレイヤーとして有名になったキューリックは、マイケル・ボルトン1983年の『Michael Bolton』、W.A.S.P.1992年の『The Crimson Idol』、ダイアナ・ロス1981年の『Mirror Mirror』など多くのアルバムにクレジットされています。

また、プロデューサーとしても活躍したキューリックは、2004年にブルース・ブイエ（Bruce Bouillet）とKISSのトリビュート・アルバム『Spin the Bottle : An All-Star Tribute to KISS』（後の『Pure Fire – The Ultimate KISS Tribute』）を手掛け、弟のブルース・キューリックやトミー・ショウ（スティクス）、レミー・キルミスター（モーターヘッド）、ディー・スナイダー（トゥイステッド・シスター）、スティーヴ・ルカサー（TOTO）、キップ・ウィンガー、カーマイン・アピスなど錚々たるメンバーが参加しました。

中でも、キューリックがプロデュースしたモーターヘッドの「Whiplash」（メタリカのカヴァー曲）は、2005年にグラミー賞最優秀メタル・パフォーマンス賞を受賞しています。

最近では、米TVアニメ『スポンジ・ボブ』の楽曲「Sweet Victory」の作曲とプロデュース、演奏を手掛けました。

また、2017年に初ソロ・アルバム『Skeletons In The Closet』を発表したボブは、同年弟のブルースと初めてKISSクルーズに出演、そのライヴが好評だったため、翌年のKISSクルーズにも参加する予定でしたが、契約上の問題によりボブは参加しませんでした。

ボブの訃報を受け、元KISSのエース・フレーリーは次のようにコメントしています。
 

「ボブと俺は友達で、常にお互いを尊敬していた。彼とは何度かコンヴェンションでジャムが出来てラッキーだったし、とても楽しかった。ボブは非常に優れたギタリスト／スタジオ・ミュージシャンで、多くのレコードで演奏していたが、彼の素晴らしい才能からして当然のことだ。彼の死は、音楽業界において非常に惜しまれるだろう」

この他、多くのミュージシャンたちから追悼のコメントが寄せられています（海外ニュースサイト『UCR』）。安らかなる眠りをお祈りいたします。