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カントリー・ミュージックの殿堂入りも果たした独特の歌唱スタイルの持ち主、ジョン・アンダーソン死去
フロリダ州アポプカ出身のアンダーソンは、ハンク・ウィリアムズとも並び称される、カントリー特有のウォーブル(震えるような)・ヴォイスの持ち主でした。彼はその歌声を、「Wild and Blue」「Black Sheep」、そして彼の代名詞とも言える賑やかな「Swingin’」といったカントリー・チャートNo.1楽曲で存分に活かしています。これらはいずれも80年代カントリー・ミュージックの礎となった曲ですが、アンダーソンはそこで終わることなく、90年代に入ってからもチャートへのカムバックを果たし、「Straight Tequila Night」「Money in the Bank」、そして自作の「Seminole Wind」といったヒット曲で、時代のサウンド形成に大きな役割を果たしました。中でも自身の故郷であるフロリダ州へのオマージュを込めた「Seminole Wind」は、アンダーソンにとって特に思い入れの深いナンバーであり、彼の録音作品の中で間違いなく最高のヴォーカル・パフォーマンスとして今なお語り継がれています。
これらの楽曲の実績により、アンダーソンは2024年にカントリー・ミュージック・ホール・オブ・フェイムに殿堂入りしました。「何より嬉しかったのは、生きているうちにその瞬間を味わえたことだよ」と彼は『RS』に語っています。「僕の友人の多くは、亡くなった後で殿堂入りが決まったからね」。彼は10月18日、亡くなるわずか4日前に、ナッシュヴィルで開催されたカントリー・ミュージック・ホール・オブ・フェイムのメダリオン授与式に、他の殿堂入りメンバーと共に出席しており、今年新たに殿堂入りしたティム・マッグロー、ポール・オーヴァーストリート、ザ・スタンレー・ブラザーズの紹介役を務めました。
「日曜日の夜、僕は殿堂入り式典でジョンと言葉を交わしたんだ。その時の彼はとても元気そうだった」と、マッグローは自身のSNSに綴っています。「僕らは話をし、笑い合い、僕がずっと大好きだった彼の曲を一緒に歌い、ただふざけ合っていたんだ。彼の訃報を聞いて、今はただただ胸が張り裂ける思いだよ……彼はずっとカントリー・ミュージックを代表する声の持ち主だったし、それは今も変わらない」
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1954年12月13日生まれのジョン・デイヴィッド・アンダーソンは、フロリダ州オーランド近郊のアポプカで育ちました。彼が最初に惹かれたのはロックンロールでしたが、ジョージ・ジョーンズやマール・ハガード(後に友人となった)のヴォーカル・パフォーマンスを聴いたのをきっかけに、カントリー・ミュージックに魅了されるようになり、70年代後半からカントリーのシングルをリリースし始め、1980年には自身の名を冠したデビュー・アルバムを発表しました。アンダーソンはソングライティングも手掛けていたものの、デビュー当初から誰もが認めるヴォーカルの名手であり、「Your Lying Blue Eyes」 「She Just Started Liking Cheatin’ Songs」といった楽曲に独自のフレイヴァーやヒネリを加えて表現し、1981年にはビリー・ジョー・シェイヴァーの「I’m Just an Old Chunk of Coal(But I’m Gonna Be a Diamond Someday)」で、初のトップ5ヒットを飛ばしました。
翌年、アンダーソンはアルバム『Wild & Blue』をリリース、これがブレイク作となります。アンダーソンとフランク・ジョーンズが共同プロデュースを手掛けたこの作品には、アルバム・タイトル曲(『RS』の「史上最高のカントリーソング200選」で85位にランクイン)、トラディショナル・ナンバー「Long Black Veil」のカヴァー、そして後にアンダーソンの代表曲となったシングル「Swingin’」(この年のCMAアウォードで「年間最優秀シングル」に選出)が収録されています。
「“Swingin’” は、僕のキャリアにおいて文字通り大きな転機だった」と、アンダーソンは『RS』誌に語っています。「僕らは “Old Chunk of Coal” や “She Just Started Liking Cheatin’ Songs” といった曲で、すでに確固たる基盤を築いていた。当時も既に、カントリー・ミュージック界の若手としてはかなり好調だったと言って良かったと思う。だけど “Swingin’” は、既存のあらゆる壁を乗り越えられる曲だったんだ。あれはとてつもなく大きな意味を持つレコードになった」(後にはリアン・ライムズとザ・マーヴェリックスが、それぞれ同曲の独自のヴァージョンを録音しています)
80年代のアンダーソンは「Swingin’」以降も「Black Sheep」「She Sure Got Away With My Heart」「Down in Tennessee」といった楽曲を立て続けにチャートに送り込みました。80年代の終わりにはやや勢いを失ったものの、1992年にアルバム『Seminole Wind』で華々しい復活を遂げます。文字通りのカムバック作となったこのアルバムには、「Straight Tequila Night」「When It Comes to You」、そしてタイトル曲といったラジオ・ヒットの数々が収録されていました。アンダーソンによれば、当時のレコード会社は「Seminole Wind」を、いささか地域色が強すぎると懸念していたのだそうです。しかし、フロリダから米国本土で最も遠い場所の一つであるシアトルで、アンダーソンがこの曲をライヴで初披露した際、観客からはスタンディング・オヴェーションが送られました。アンダーソンはこの瞬間、自分がヒット曲を書いたことを確信したと言います。
堅実なレコーディング・アーティストであったアンダーソンが、2000年代にリリースしたアルバムはほんの2作ほどに留まっていましたが、2020年にはプロデューサーのダン・オーバック(ザ・ブラック・キーズ)とデヴィッド・ファーガソンとタッグを組んだのをきっかけに新たな活力を得てシーンに復帰し、ルーツ・ミュージック色の強いアルバム『Years』を発表しました。この作品はアンダーソンのキャリア全体を称えるものであり、カントリー・ミュージックの枠を超えたレジェンド・アーティストとしての彼の地位を確立させたのです。「彼の声は昔から大好きだったし、彼が歌う曲にはいつも私が好きなものがたくさんあった」とオーバックは『RS』誌に語っています。「古く感じられる曲もあれば、新しく感じられる曲もあったけれど、そこには常にあの声、圧倒的な魅力を持ったあの声があったんだ」
2022年にリリースされたアンダーソンへのトリビュート・アルバム『Something Borrowed, Something New』には、エリック・チャーチ、タイラー・チャイルダーズ、シエラ・フェレル、スターギル・シンプソンといったアーティストが集結し、アンダーソンの楽曲をカヴァーしました。「Seminole Wind」を担当したのはルーク・コムズでした。
その2年後、アンダーソンはトビー・キースやギタリストのジェイムズ・バートンらと並び、カントリー・ミュージック・ホール・オブ・フェイムに殿堂入りを果たしました。アンダーソンは、友人であり師匠でもあるハガードやジョーンズと同様、楽曲解釈の名手としての力量が高く評価されての殿堂入りでした。
「本物のカントリー・ミュージックと伝統的なカントリー・サウンドは、僕にとって本当に大きな意味を持っている。それこそが僕の人生そのものなんだ」とアンダーソンはRS誌に語りました。「私はごく幼い頃にここへやって来て、自分が理想とするカントリー・ミュージックを学び、曲を作り、演奏することに人生を捧げてきた。ジョニー・キャッシュ、マール・ハガード、ウェイロン・ジェニングス、ジョージ・ジョーンズといった先達たちに育ててもらったんだよ。彼らはいつだって『坊主、お前は自分のやり方を続けていけばいいんだぞ』と言ってくれた。言い換えれば、彼らにとって、最もこだわりを持つべき大事なことはスタイルだったってことだ」
安らかなる眠りをお祈りいたします。
Various Artists
『Something Borrowed, Something New:A Tribute to John Anderson』
Amazon(2022/8/5)輸入盤CD
2. Sierra Ferrell - "Years"
3. Brent Cobb - "Wild and Blue"
4. Nathaniel Rateliff - "Low Dog Blues"
5. Eric Church - "Mississippi Moon"
6. Gillian Welch & David Rawlings - "I Just Came Home to Count the Memories"
7. yler Childers - "Shoot Low Sheriff!"
8. Luke Combs - "Seminole Wind"
9. Sturgill Simpson - "When It Comes to You"
10. Brothers Osborne - "You Can't Judge a Book(By the Cover)"
11. Del McCoury & Sierra Hull - "Would You Catch a Falling Star"
12. Ashley McBryde - "Straight Tequila Night"
13. Jamey Johnson - "I'm Just An Old Chunk of Coal(But I'm Gonna Be a Diamond Some Day)"
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