ビートルズ以前の『ミュージック・ライフ』:1960〜1963年【ビートルズ来日週間特集・番外編】

このMUSIC LIFE CLUBには「ML GALLERY」というコーナーがあり、熱心な読者/ユーザーの方なら一度はご覧になったことがあると思います。要は、雑誌『ミュージック・ライフ』のバックナンバー保管庫……といっても表紙と目次の画像限定なのですが(原稿/写真にも著作権がありますので、本の中身まではおいそれとご覧いただけないのです)。

ただし、そこに掲載しているのは1964年から1990年までの号に関してのみ。起点となっている1964年というのは、もちろんビートルズの登場ですが(彼らが最初に表紙を飾ったのが1964年4月号のことでした)、今回は「ビートルズ来日週間特集」の番外編としてそれ以前の時代に焦点を当て、「ビートルズ登場前夜の日本の洋楽事情」を、表紙画像の紹介のみではありますがご紹介してまいります。昨今流行りの昭和歌謡好きな向きにも、お楽しみいただけるのではないでしょうか。

1960年
表紙:1月号・井上ひろし、2月号・旗照夫/園さゆり、3月号・鈴木章治、4月号・ペレス・プラード/ジェーン・マンスフィールド、5月号・スリー・グレイセス、6月号・竹田公彦、7月号・ミッキー・カーチス/ザ・ピーナッツ、8月号・守谷浩、9月号・森山加代子、10月号・パラダイス・キング、11月号・アイ・ジョージ、12月号・小坂一也/守谷浩/寺本圭一

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まずは今からちょうど60年前の1960年(昭和35年)。キャッチコピーもまだ「ジャズの月刊雑誌」の時代です。しかしもはやジャズだけでなく、ロカビリーや歌謡曲、ラテンやウェスタンもすべてひとまとめだった時代ということでしょう。とはいえ現在洋楽のポップスとして分類されるアーティストもすでに誌面に登場しています。当時の価格は約100ページで¥100。


1961年
表紙:1月号・エルヴィス・プレスリー、2月号・白木秀雄、3月号・守谷浩/江利チエミ、4月号・コニー・アイランダース、5月号・ナット・キング・コール、6月号・ザ・ピーナッツ、7月号・清原タケシ/佐川ミツオ、8月号・井上ひろし/飯田久彦、9月号・平尾昌晃/石橋イサオ/鈴木博、10月号・水原弘、11月号・森山加代子、12月号・北原謙二

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1月号にエルヴィスが登場(彼がデビューしヒットを連発したのは50年代後半。1958年に徴兵され60年に除隊するまで、一時的にシーンから離れていました)。それでも2月号まではまだ「ジャズの月刊雑誌」で、3月号から「ジャズとポピュラーの月刊雑誌」へ変化。さらに8・9月号では「ハイティーンの音楽雑誌」、10月号以降は「ポピュラーの音楽専門誌」に変わります。当時ティーンのみなさんは、間もなく80歳というところ。


1962年
表紙:1月号・弘田三枝子、2月号・ジミー時田とマウンテン・プレイボーイズ、3月号・藤木孝/中尾ミエ、4月号・佐々木功/清原タケシ、5月号・スリー・ファンキーズ、6月号・飯田久彦/安村昌子、7月号・弘田三枝子/ボビー・ヴィー/香山ユリ、8月号・倉光薫/伊藤アイコ、9月号・麻生京子/鹿内タカシ/園まり、10月号・田辺靖雄/中尾ミエ、11月号・目方誠/伊藤アイコ/清原タケシ、12月号・鈴木やすし/ベニ・シスターズ

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コピーは5月号を境に「ポピュラー音楽の専門誌」から「ポピュラー・ミュージックの雑誌」へ変化。今もテレビなどでお見かけする方もちらほらいらっしゃいますが、それでも表紙の着色具合がまだまだ昭和レトロです。洋楽アーティスト的には、以前はオールディーズと呼ばれていたアーティストが目立ってきます。


1963年
表紙:1月号・江利チエミ、2月号・克美しげるとロック・メッセンジャーズ、3月号・ザ・ピーナッツ、4月号・パラダイス・キング(九重佑三子)、5月号・ポス宮崎とコニー・アイランダース、6月号・弘田三枝子、7月号・コニー・フランシス、8月号・坂本九、9月号・エルヴィス・プレスリー、10月号・コニー・フランシス、11月号・ジョニー・ソマーズ、12月号・ベニ・シスターズ

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1963年ともなると、コニー・フランシスが2度、エルヴィス・プレスリー、ジョニー・ソマーズが表紙を飾り、12ヵ月中4回も海外アーティストが表紙に。日本のヒット曲も海外楽曲のカヴァーが増えていき、1964年へとつながります。そして洋楽ニーズの高まりは一気に沸点に達し、1964年は表紙はすべて海外アーティストに。4月号のビートルズ初表紙を境に、『ミュージック・ライフ』は洋楽専門誌の道をひた走ることになります。

50年代のエルヴィスの活躍や、それに続くオールディーズ的なアーティストの姿がすでに誌面にはありますが、この60年代前半は芸能テイストが強い雑誌でした。海外アーティストの記事も少しずつ増えてきていたようには感じますが、それも1964年4月号を境に、一瞬でビートルズに塗り替えられてしまったことを実感します。日本の洋楽シーンは、それ以前にもリリースはあり記事もたくさんありますが、やはりビートルズが事実上の起点になっていることに間違いありません。

1960〜90年代にかけて、雑誌『ミュージック・ライフ』は、フォトグラファー長谷部 宏氏を中心にした撮影陣で、数多くの海外アーティストの写真を撮り続けて来ました。60年代にはビートルズ、70年代にはクイーン、KISS、チープ・トリック、ジャパン、80年代にはボン・ジョヴィやデュラン・デュラン……などなど、撮りためたポジ・フィルムやプリントは、数十万枚にも及ぶ量になります。しかもその貴重さは世界的レベルのため、海外からのリクエストも絶え間なく寄せられています。

現在我々は、そのコレクションを「ML Images」と名付け、膨大な量の写真を地道に整理整頓しつつ、貸し出すサービスを行なっており、ライブラリへアップロード済みの画像は目下約3万点で、現在も増え続けております。ご利用をご希望のメディア/展示スペースの方は、弊社までご連絡いただければ、具体的なご希望がない場合でもスタッフがお応えいたします。お気軽にご相談ください。メールはこちらから。

※個人の方へのご提供は行なっておりません。

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商品詳細

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