LAミュージック・シーンの重鎮、シンガー・ソングライターのチャック・E・ワイスが死去

ロサンゼルスの音楽シーンに欠かせない存在だったシンガー・ソングライターのチャック・E・ワイス(Chuck E. Weiss)が7月20日、76歳で死去しました。

バンド仲間のジミー・ウッドが訃報を伝えており、「チャック・E・ワイスが昨日の朝8時半頃、息を引き取った。彼の傍らにはJ.J. ホリデイがいた。彼は唯一無二の存在で、彼がロサンゼルスをより良い街にしたのは間違いない」と語っています。

ワイスはトム・ウェイツの友人で、ウェイツの恋人だったリッキー・リー・ジョーンズ1979年のヒット曲「Chuck E.’s In Love」(邦題「恋するチャック」)は、ワイスを歌った曲でした。
Chuck E's in Love
1945年にコロラド州デンヴァーで生まれたワイスは、当初ドラマーとしてキャリアをスタートさせ、地元のブルース・バーでブルース・ミュージシャンのライトニン・ホプキンスと出会いました。ワイスのドラム演奏に感銘をうけたホプキンスは、ワイスをツアーに同行させ、ワイスは同ツアーでマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ、ドクター・ジョンらと共演する機会に恵まれました。

またワイスは、70年代初期にデンヴァーのオルタナティヴ・ロック・ラジオKFML-FMでDJを務めたこともありました。

トム・ウェイツとはデンヴァー時代に知り合い、二人はウェイツの曲「Spare Parts I(A Nocturnal Emission)」を共作し、この曲はウェイツ1975年のライヴ・アルバム『Nighthawks at the Diner』に収録されています。
Tom Waits - "Spare Parts I (A Nocturnal Emission)"
その後、ワイスとウェイツはロサンゼルスに移住し、ジョーン・ジェットやラモーンズのたまり場として知られていたウェスト・ハリウッドのトロピカーナ・モーテルに住んでいました。リッキー・リー・ジョーンズも同モーテルの住人で、この頃に「Chuck E.’s In Love」を書いています。

ワイスは、1981年にデビュー・アルバム『The Other Side of Town』を発表し、その後自身のバンドG-d ダム・ライアーズ(G-d Damn Liars)を結成、サンセット・ストリップのクラブ「Central」で毎週ギグを行なっていました。11年後に同クラブが経営危機に陥った際、ワイスは友人でコラボレーターだったジョニー・デップと提携し、このクラブを「Viper Room」として1993年に復活させました。

その後、ワイスは1999年にセカンド・アルバム『Extremely Cool』を発表し、同作を共同プロデュースしたトム・ウェイツが、何曲かでフィーチャーされています。

なお、ワイスが2013年にリリースした最後のアルバム『Red Beans & Weiss』は、トム・ウェイツとジョニー・デップがプロデュースした作品でした。

またワイスは、いくつかのTV番組にカメオ出演し、俳優としても活動していました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
Chuck E Weiss - So Long (performance)
Chuck E. Weiss
『The Other Side Of Town』

(Select Records:1981)


 
Chuck E. Weiss
『Extremely Cool』

(Slow River Records:1998)
Chuck E. Weiss
『Red Beans and Weiss』

(Anti-:2014)
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