元CBSレコードの社長、ウォルター・イエトニコフが87歳で死去

1975年から1990年までCBSレコード(現ソニー・ミュージック)の社長兼最高経営責任者だったウォルター・イエトニコフ(Walter Yetnikoff)が8月8日、膀胱ガンのためコネチカット州ブリッジポートの病院で死去しました。享年87。
ニューヨーク生まれのイエトニコフは、1962年にクライヴ・デイヴィスの依頼でCBSレコードの専属弁護士になり、1968年にはソニーの盛田氏と大賀氏と共に合弁会社CBS/ソニーを設立するために尽力し(ソニーは1988年にCBSを買収)、1969年にCBSレコード・インターナショナルの取締役副社長に就任しました。
彼の就任後に飛躍的な成長を遂げたCBSレコード・インターナショナルは、1971年にイエトニコフを社長に任命、4年後の1975年に社長兼最高経営責任者になりました。

その後、イエトニコフはジェイムス・テイラーやビーチ・ボーイズ、マイケル・ジャクソン、ポール・マッカートニーらと契約を結び、マッカートニーはスティーヴィー・ワンダーとのコラボ曲「Ebony and Ivory」(1982年)や、マイケル・ジャクソンとのコラボ曲「The Girl Is Mine」(1982年)をヒットさせ、マイケル1982年のアルバム『Thriller』は、1984年のグラミー賞を受賞しました。またイエトニコフは、バーブラ・ストライサンドやシンディ・ローパー、ブルース・スプリングスティーン、ボブ・ディラン、ジョージ・マイケルらを成功に導いた人物でもありました。

なお、マイケル・ジャクソンのミュージック・ビデオ「Billie Jean」は、マイケルが黒人だったために当時のMTVは放映を渋っていましたが、イエトニコフが「マイケルのビデオを放映しないのならCBSの全ビデオを撤収する」と迫り、“人種差別の壁” を取り払ったことで放映に至りました。

イエトニコフは、ミック・ジャガーやビリー・ジョエルをはじめとする多くのロックスターと友人関係にありましたが、重度のアル中だったイエトニコフの闘争的な態度がCBSのアーティストらと軋轢を生むようになり、1990年にCBSを去りました。

その後は自身のレーベル、ヴェルヴェル・レコーズ(Velvel Records)を立ち上げるも成功せず、依存症の克服に努めたイエトニコフは執筆業に専念するようになり、2004年には回顧録『Howling at the Moon : The Odyssey of a Monstrous Music Mogul in an Age of Excess』を出版しています。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
GRAMMY Tribute to Michael Jackson, Part II | GRAMMYs
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