メンフィスのベテラン・ドラマー、ハワード・グライムスが80歳で死去

メンフィス・ソウルの中心的存在だったベテラン・ドラマーのハワード・グライムス(Howard Grimes)が2月12日、腎不全のため80歳で死去しました。

ザ・ボーキーズ(The Bo-Keys)のバンド仲間、スコット・ボマーが「NPR」に語ったところによると、グライムスはメンフィスの病院にて、安らかに息を引き取ったそうです。
グライムスは1941年にテネシー州メンフィスで生まれ、12歳でドラマーとして公の場で演奏するようになり、10代後半までにサテライト・レコード(後のスタックス・レコード)のセッションで定期的に演奏していました。

70年代には、ハイ・レコードのハウス・バンド、ハイ・リズム・セクションのドラマーとして、アル・グリーンやアン・ピーブルズ、オーティス・クレイらのレコーディングで活躍し、彼が参加したアル・グリーンの「Let’s Stay Together」や、ピーブルズの「I Can’t Stand the Rain」は、急成長するメンフィス・ソウルの重要な基盤となりました。

グライムスは、ハイ・レコードの創始者ウィリー・ミッチェルから名付けられた「ブルドッグ」の愛称で親しまれ、ハイ・レコードが1977年に売却されて以降、80年代にはホームレスになるほど生活に困窮したこともありましたが、1998年にはスコット・ボマーが結成したザ・ボーキーズに加入し、亡くなるまで活動を続けていました。

ボーキーズは2004年、ウィリー・ミッチェルのスタジオで録音したデビュー・アルバム『The Royal Sessions』をリリースし、様々なフェスティバルに出演したほか、2010年にはシンディ・ローパーのアルバム『Memphis Blues』にフィーチャーされ、同作はグラミー賞にノミネートされました。

スコット・ボマーは、グライムスについて次のように語っています。
「彼は最も忠実なバンド・メンバーで、とても誠実な友人でした。僕の人生において、妻以外に彼ほど誠実だった人はいません。彼は一度味方になったら、いつもそばにいてくれました。ハワードと演奏した人は皆、彼が非常に特別なドラマーで特別な人物であったことを知っています」

また、グライムスは2021年に自叙伝『Timekeeper : My Life in Rhythm』を出版し、次のように綴っていました。
「私のビートは、メンフィス・サウンドのバックボーンである。この街のリズムが私のハートを走り抜け、私はこの街の音楽と繋がっている。私が共演した巨匠たちは、彼らの話に耳を傾け、何が起きたのかを伝え、記憶するよう私に言った。彼らが去った後、彼らのために真実を伝えるよう、私に言ったのだ。そして彼らのほとんどがいなくなった」

安らかなる眠りをお祈りいたします。
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Ann Peebles - I Can't Stand the Rain (Official Audio)
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