「イパネマの娘」を歌ったボサ・ノヴァの女王、アストラッド・ジルベルトが83歳で死去

1964年のヒット曲「The Girl From Ipanema」(邦題「イパネマの娘」)で知られるブラジル人歌手、アストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)が6月5日、フィラデルフィアの自宅にて、83歳で死去しました。

孫娘のソフィア・ジルベルトがSNSで訃報を伝えており、「今日、私の祖母が星になったという悲しい知らせをお伝えしなければなりません。彼女は祖父ジョアン・ジルベルトの隣にいます」と綴っています。
1940年にブラジルのバイーア州で生まれたアストラッドは、リオ・デ・ジャネイロで育ち、19歳でブラジル人シンガー/ソングライター/ギタリストのジョアン・ジルベルト(2019年7月8日MLCニュース)と結婚し、1963年にアメリカに移住しました。

1964年、アメリカ人ジャズ・サックス奏者のスタン・ゲッツと夫ジョアンのコラボ・アルバム『Getz/Gilberto』に参加したアストラッドは、当時プロの歌手ではありませんでしたが、収録曲「イパネマの娘」を英語で歌い、シングル・リリースされた同曲が世界的に大ヒット、翌1965年のグラミー賞「最優秀レコード賞」を受賞しました。

しかしながら、アストラッドとジョアンは1964年に離婚し、ジョアンの不倫が原因だったものの、ブラジルのマスコミは、「ボサ・ノヴァの父」と呼ばれていたジョアンではなく、彼女を非難しました。

「イパネマの娘」で一躍スター歌手となったアストラッドは、1965年に初ソロ・アルバム『The Astrud Gilberto Album』をリリースし、その後も毎年のようにソロ・アルバムを発表し続け、ポップスとジャズのスタンダード、ブラジルのクラシック、自身が共作したオリジナル曲などを歌い、1969年には全曲を日本語で歌ったアルバム『Gilberto Japanese Golden Album』もリリースしていました。

また、ジャズ・ミュージシャンのチェット・ベイカーや、クインシー・ジョーンズらとコラボレーションを行ない、1996年にはジョージ・マイケルと「Desafinado」をデュエットするなど、「ボサノヴァの女王」として世界的な名声を得ましたが、ブラジルのマスコミは彼女を悪者扱いし続け、1965年以降、彼女が母国でパフォーマンスしたことは一度もありませんでした。

なお、アストラッドは1992年に「ラテン・ジャズ・USAアワード」の生涯功績賞を受賞、2002年に「国際ラテン音楽の殿堂」入りを果たした際、公でのパフォーマンスを無期限に休止すると発表し、同年のアルバム『Jungle』が最後の作品になりました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。
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