ウィングス/ムーディー・ブルースのギタリスト、デニー・レインが79歳で死去

デニー・レイン最初のソロ作『Ahh... Laine!』(Wizard:1973)。

ウィングスとムーディー・ブルースの創設メンバー/ギタリストのデニー・レイン(Denny Laine)が12月5日、新型コロナの後遺症による間質性肺疾患(ILD)のため、79歳で死去しました。

妻のエリザベス・ハインズがSNSで訃報を伝えており、自分と夫をサポートしてくれた人々に感謝の意を綴っています。

1944年に英バーミンガムで生まれたレインは、少年時代にジャズ・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトに影響を受け、ギターを弾き始めました。

プロとしてのキャリアは、デニー・レイン&ザ・ディプロマッツのフロントマンとしてスタートし、1964年にバンドを脱退した後、レイ・トーマス、マイク・ピンダーらとM&B5を結成、バンドは後にムーディー・ブルースに改名しました。レインは1964年~1966年まで同バンドでギターとヴォーカルを担当し、1964年のヒット曲「Go Now」と1965年の「I Don’t Want To Go on Without You」が、バンドの代表曲になりました。

1966年12月にムーディー・ブルースを脱退したレインは、エレクトリック・ストリング・バンドを結成したものの短命に終わり、1969年からボールズ(Balls)というバンドで演奏し、ボールズが解散した1971年にポール・マッカートニーとリンダと共にウイングスを結成しました。

レインは、ウイングスが解散する1981年までの10年間、ポールと共にバンドの中核を担い、リード・ギターとリズム・ギター、リード・ヴォーカルとバック・ヴォーカル、キーボード、ベース、木管楽器を担当したほか、作曲にも参加していました。

ウイングス1976年の「Time to Hide」(邦題「やすらぎの時」)と1979年の「Again and Again and Again」は、レインが作詞作曲とヴォーカルを担当した曲で、1973年のアルバム『Band on the Run』(12月5日MLCニュース)と1978年の『London Town』でも数曲を共作。ポールと共作した1977年のシングル「Mull of Kintyre」(邦題「夢の旅人」)は、UKチャートで9週連続1位に輝き、ウイングスはリリースしたアルバムのうち5作品がUSチャートで第1位を獲得し、シングル6曲がUSチャートのトップを飾りました。

またレインは、ウィングス在籍中に、3枚のソロ・アルバム『Ahh... Laine』(1973年)、『Holly Days』(1977年)、『Japanese Tears』(1980年)を発表し、その後も2008年の『The Blue Musician』に至るまで、ソロ・アルバムをリリースし続け、今年7月にはツアーも行ない、新アルバムの計画を発表していました。

なお、レインは2018年、ムーディー・ブルースのメンバーとして、「ロックの殿堂」入りを果たしています。

レインの訃報を受け、ポールはSNSで次のように綴っています。

「僕の元バンド仲間、デニー・レインの訃報を聞き、とても悲しい。ビートルズがムーディー・ブルースとツアーをした初期の頃から、デニーとの楽しい思い出がたくさんある。僕らの二つのバンドは、お互いをとても尊敬し、一緒に楽しい時を過ごした。デニーはウイングスの当初から加わり、極めて優れたヴォーカリストでギター・プレイヤーだった。彼の最も有名なパフォーマンスは、おそらく “Go Now”(ムーディー・ブルースがカヴァーしたベッシー・バンクスの曲)で、彼は見事に歌っていた。彼と僕 は何曲か一緒に書き、最も成功した曲は、70年代に大ヒットした “Mull of Kintyre”だった。僕らは疎遠になっていたけれど、ここ数年で再び友情を築き、一緒に過ごした思い出を分かち合うことができた。デニーは、優れたユーモアのセンスを備えた素晴らしい才能の持ち主で、常に他人を助ける心構えができていた。彼はすべてのファンから惜しまれ、友人たちからは深い愛情を込めて思い出されることだろう。彼の妻エリザベスとご家族にお悔やみを申し上げます。デニーに平和と愛を。キミを知ることが出来て良かった。僕ら全員が寂しくなる。愛をこめて、ポール」

安らかなる眠りをお祈りいたします。
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