ワールド・パーティのフロントマン、カール・ウォリンジャーが66歳で死去

英フォーク・ロック・バンド、ワールド・パーティ（World Party）のフロントマンを務めたシンガー／ソングライター／マルチプレイヤー／レコード・プロデューサーのカール・ウォリンジャー（Karl Wallinger）が3月10日、66歳で死去しました。

彼の広報担当者が訃報を伝えていますが、死因は発表されていません。

1957年にウェールズのプレスタティンで生まれたウォリンジャーは、子供時代からビートルズやビーチ・ボーイズ、ボブ・ディランの音楽に夢中になり、1977年に地元バンドのキーボード奏者として音楽キャリアをスタートさせました。

その後、1983年にマイク・スコット率いるウォーターボーイズ（Waterboys）にキーボーディストとして加入し、1984年のセカンド・アルバム『A Pagan Place』と1985年のサード・アルバム『This Is the Sea』に参加。後者のアルバムでは、オープニング曲の「Don’t Bang the Drum」を共作し、バックヴォーカルやその他の楽器も担当しましたが、同作のツアー後に脱退し、自身のソロ・プロジェクト、ワールド・パーティーを結成しました。

ワールド・パーティーは1986年、ウォリンジャーが自宅で録音したデビュー・アルバム『Private Revolution』をリリースし、アルバムのタイトル曲と「Ship of Fools」がUKでマイナー・ヒットになり、1990年のセカンド・アルバム『Goodbye Jumbo』から、「Way Down Now」と「Put the Message in the Box」がUKでヒット、このアルバムはグラミー賞の「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・パフォーマンス賞」にノミネートされました。

なお、ウォリンジャーは、シネイド・オコナー1987年のデビュー・アルバム『The Lion And the Cobra』に参加しており、上記2枚のアルバムには、オコナーがゲスト参加していました。

1992年からは、ギタリストのデヴィッド・カトリン＝バーチと、ドラマーのクリス・シャロックがバンドに参加し、1993年のサード・アルバム「Bang!」がUKチャートの第2位を記録。ワールド・パーティーは1987年と1990年に続き、1994年のグラストンベリー・フェスティバルにも出演しましたが、カトリン＝バーチが1995年に脱退しました。

1997年には、4作目のアルバム『Egyptology』を発表し、商業的には成功しなかったものの、ウォリンジャーが作詞作曲／プロデュースした収録曲「She’s the One」が、1997年の映画『The Matchmaker』（邦題『恋はワンダフル!?』）と1998年の『The Big Hit』（邦題『ビッグ・ヒット』）にフィーチャーされ、ロビー・ウィリアムスが1999年にカヴァーしたヴァージョンが、UKチャートでNo.1になりました。

しかしながら、シャロックが1997年に脱退し、再びソロ・メンバーとなったウォリンジャーは、3年間活動を休止。2000年に最後のスタジオ・アルバムとなる『Dumbing Up』をリリースしましたが、2001年に脳動脈瘤を患い、5年間のリハビリ生活を送りました。

その後、ウォリンジャーは2006年に復帰し、ワイルド・パーティーは2007年にスティーリー・ダン初のオーストラリア・ツアーでサポートを務め、記念のベスト盤『Best in Show』をリリース。2012年には、新曲やデモ、アウトテイク、ライヴ音源などを収録したコンピレーション・アルバム『Arkeology』をリリースし、大規模なUSツアーと12年ぶりのUKツアーを行ないましたが、2015年以降は新作のリリースもツアーも行なっておらず、ウェブサイトも更新されていませんでした。

安らかなる眠りをお祈りいたします。