ブラジリアン・ジャズのレジェンド、セルジオ・メンデスが83歳で死去
メンデスの家族が訃報を伝えており、メンデスは長期にわたる新型コロナの後遺症で健康状態が悪化していたそうです。

1941年にリオデジャネイロ州ニテロイで生まれたメンデスは、幼い頃から演奏を始め、クラシックのピアニストを夢見ていましたが、最終的にジャズに転向し、1950年代にブラジルのナイトクラブで経験を積みました。
その後、ヴォサ・リオ・セクステット(Sexteto Bossa Rio)を結成し、ボサ・ノヴァ・ムーヴメントが勢いを増す中、1961年にデビュー・アルバム『Dance Moderno』を発表。続いて、60年代初頭にジャズ・ミュージシャンのキャノンボール・アダレイやハービー・マンらとレコーディングを行ない、1964年にアメリカに拠点を移したメンデスは、A&Mレコードと契約を結びました。
1966年、新たに結成した「セルジオ・メンデス&ブラジル’66」として、デビュー・アルバム『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brazil ‘66』を発表し、同作からポルトガル語のシングル「Mas Que Nada」が初めて世界的なヒットとなり、アルバムはプラチナ・セールスを記録しました。
また、ビートルズの「The Fool on the Hill」「All My Loving」「Day Tripper」「With a Little Help From My Friends」や、ママス&パパスの「Monday, Monday」、サイモン&ガーファンクルの「Scarborough Fair」、バッファロー・スプリングフィールドの「For What It’s Worth」などをボサ・ノヴァ風にアレンジし、世界中で人気が高まったメンデスは、リンドン・B・ジョンソン大統領やリチャード・ニクソン大統領のためにホワイトハウスで演奏したこともありました。
その後、数十年間にわたり勢いは鈍ったものの、1992年のアルバム『Brasileiro』(1993年グラミー賞最優秀ワールド・ミュージック・アルバム賞受賞)や、ブラジルの名曲を現代風にアレンジした2010年のアルバム『Bom Tempo』などでモダンとトラディショナルの両スタイルを模索し続けました。
また、1983年にジェイムズ・ボンドのテーマソング「Never Say Never Again」を共同プロデュースし、スティーヴィー・ワンダーや、ブラジル人歌手のミルトン・ナシメント、セウ・ジョルジといったスーパースターとコラボしたほか、2006年のアルバム『Timeless』では、ジョン・レジェンドやジャスティン・ティンバーレイク、ザ・ブラック・アイド・ピーズなど、現代ヒップホップ・アーティストともコラボしていました。
なお、メンデスはキャリアにおいて40枚以上のアルバムをリリースし、2020年のドキュメンタリー『Sergio Mendes in the Key of Joy』に合わせたアルバム『In the Key of Joy』が最後の作品になりましたが、2023年11月までパフォーマンスを行なっていました。
安らかなる眠りをお祈りいたします。


セルジオ・メンデス
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『マシュ・ケ・ナーダ』
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セルジオ・メンデス
『イン・ザ・キー・オブ・ジョイ』(通常盤)
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