シンセポップのパイオニア、ソフト・セルのデイヴ・ボールが66歳で死去

▲左からマーク・アーモンド、デイヴ・ボール

商品情報　ソフト・セル「Non-Stop Erotic Cabaret」
Amazon Music（NOV 27 1981）

1959年に英チェシャー州のチェスターで生まれたボールは、労働者階級の家庭に養子に出され、ランカシャー州のブラックプールで育ち、当時イングランド北部を席巻していたノーザン・ソウルに傾倒し、タムラやスタックス・レコードのシングルを熱心に収集する新進気鋭のアーティストに成長しました。
 
10代後半に美術を学ぶためにリーズに移ったボールは、リーズ工科大学で美術学生だったマーク・アーモンドと出会い、二人はパンクや電子音楽、カルト映画を通じて親交を深め、1978年にソフト・セルを結成しました。
 
その後、1981年にリリースしたセカンド・シングル「Tainted Love（邦題 “汚れなき愛”」「Where Did Our Love Go（邦題 “愛はどこへ行ったの”）」（グロリア・ジョーンズのカヴァーとスプリームスのカヴァーのメドレー）が、17か国でNo.1ヒットを記録し、同年イギリスで2番目に売れたシングルになりました。

続いて発表したデビュー・アルバム『Non-Stop Erotic Cabaret』でも成功を収めたソフト・セルは、イギリスの音楽史に名を刻み、ペット・ショップ・ボーイズやイレイジャー、スパンダー・バレエらの先駆者となり、翌1982年には、当時のトレンドだったリミックス・アルバム『Non Stop Ecstatic Dancing』をリリースしました。
 
そして、1983年にセカンド・アルバム『The Art of Falling Apart』(邦題『滅びの美学』)、1984年にサード・アルバム『This Last Night in Sodom』（邦題『ソドムの夜』）をリリースし、後者のアルバムはグループの解散後にリリースされたものの、2作ともイギリスでチャート入りを果たしました。

1984年の解散後、ボールはスロッビング・グリッスルのジェネシス・P・オリッジとコラボレーションを行ない、リチャード・ノリスと組んだザ・グリッドなど、いくつかのグループを結成し、90年代にはカイリー・ミノーグ1997年のアルバム『Impossible Princess』を含め、ポップ・アーティストの作詞家/プロデューサーとしても活躍しました。
 
その後、2000年に再結成したソフト・セルは、2002年に4作目のスタジオ・アルバム『Cruelty Without Beauty』をリリースし、2018年には、結成40周年を記念したリユニオン・コンサートがロンドンのO2アリーナで開催され、当初はデュオとして最後のUK公演になる予定でしたが、意図せず華々しい復活の足掛かりとなり、新たなスタートを切ったソフト・セルは、2022年に20年ぶりの新アルバム『*Happiness Not Included』（2021年8月4日MLCニュース）をリリースしました。