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フランス人シンガー/女優のクロディーヌ・ロンジェ死去。ストーンズ楽曲のモデルとなったことも

商品情報 クロディーヌ・ロンジェ『Claudine』
Amazon Music(APR 08 1967)
 
5月14日、フランス出身の歌手/女優で、「Moon River」等のヒット曲で知られる歌手アンディ・ウィリアムズの元妻でもあったクロディーヌ・ロンジェが亡くなりました。享年84。彼女の死は同日、甥のブライアン・ロンジェにより確認されました。死因については現時点では明らかになっていません。彼女は1976年、当時の恋人だったオリンピック・スキーヤーのスパイダー・サビッチを射殺した事件で、スキャンダラスな裁判とメディアの狂騒に巻き込まれ、表舞台から姿を消しすことになりました。
クロディーヌ・ジョルジェット・ロンジェは1942年1月29日、パリで生まれました。父親はX線技師、母親は医師でした。幼少期からバレエを習い、プロのダンサーになることを夢見ていた彼女は、10歳の時に『ねじの回転』の舞台に出演し、その後もフランスのTV番組やミラノ、ヴェネツィアの舞台にも出演していました。

やがてナイトクラブの興行主であるルー・ウォルターズ(米国の女性ジャーナリストの草分け、バーバラ・ウォルターズの父親)にショーガールとして雇われたロンジェは海を渡り、ラスヴェガスに移り住みます。偶然の出会いから歌手のアンディ・ウィリアムズと付き合うこととなった当時、彼女は19歳、ウィリアムズは34歳でした。

1961年12月ベル・エアの教会で結婚式を挙げ、翌1962年、ウィリアムズの「Moon River」が大ヒット。新婚夫婦はラスヴェガスからマリブの海辺の豪邸に移り住み、その後数年のうちに、長女と長男、そして次男にロバート(愛称ボビー)を授かります。ボビーは、夫妻の親しい友人だったロバート・F・ケネディにちなんで名付けられたものだったそうです。同じ1962年、ウィリアムズの名前を冠したバラエティ番組『The Andy Williams Show』がスタートし、こちらもたちまち大ヒットとなりました。

結婚して間もなく立て続けに子供に恵まれたこともあり、しばらく表立った活動はしていなかったロンジェですが、1963年からは『The Andy Williams Show』に夫婦で、時には家族揃って出演するようになり、他にも数多くのテレビドラマに出演。NBCの『Run for Your Life』のシーズン1最終回では、ベン・ギャザラの演じるキャラクターと恋愛関係になる小説家ニコール役を演じました。

この『Run for Your Life』の1966年5月の放送回で、ロンジェがギターを弾く振りをしながら、ボサノヴァ曲の「Meditation」を英語とフランス語で歌うシーンがありました。そのシーンをたまたま観ていたのが、自身も有名トランペット奏者であり、当時まだ設立間もないA&Mレーベルの創始者の片割れでもあったハーブ・アルパートで、その目に留まった彼女はあっという間にレコード契約を交わすこととなり、その「Meditation」をデビュー・シングルとしてリリースします。1967年に世に出たファースト・アルバム『Claudine』はトミー・リピューマのプロデュースにより、100万枚を超える売り上げを記録しました。

彼女はA&Mであと3枚のLPを録音した後、1969年にウィリアムズが新たに設立したバーナビー・レコードに移籍し、『We've Only Just Begun』をリリースします。彼女と夫はその頃には別居していました──「僕たちの間には自然と距離ができていた。僕は家にいることが殆どなくて……全部僕のせいなんだ。僕が結婚生活を大事にしてなかったからね」と、ウィリアムズは語っています──が、彼女は1974年まで夫のテレビ番組に出演し続けました。同番組では毎年年末に、ウィリアムズとロンジェが3人の子供たちと一緒に仲睦まじくクリスマスを過ごすという演出による特番が放送されており、ロンジェは晩年になっても、街で「あのクリスマス特番は素敵だった」とよく声をかけられたと語っていました。
The Look Of Love
Love Is Blue (L'amour Est Bleu)
We've Only Just Begun
ウィリアムズと1975年に離婚が成立した後、ロンジェは子供たちを連れ、コロラド州スターウッドにある元オリンピアンのウラジーミル・“スパイダー”・サビッチの所有する別荘に移りました。カリフォルニア生まれのサビッチは、1969年の映画『Downhill Racer』でロバート・レッドフォードが演じた主役のモデルとされる、若くハンサムでカリスマ的な魅力を持った裕福な青年で、二人の出逢いは1972年、カリフォルニア州ベア・ヴァレーで行なわれた有名人たちによるスキー・エキシビションだったそうです。

ところが1976年3月21日、ロンジェはこのサビッチの別荘の浴室で、彼の父親が購入したドイツ製の22口径の銃で彼を射殺したのです。彼女の主張は、サビッチが銃の使い方を彼女に説明している最中に、誤って弾丸が発射されてしまったというものでした。当時31歳のサビッチは腹部に銃弾1発を受け、ロンジェに付き添われて救急搬送されましたが、病院到着前に死亡が確認されました。その1か月後、彼女は過失致死罪で起訴され、最大10年の懲役刑を受ける可能性に直面することになりました。

アスペンでの裁判では、元夫のウィリアムズが彼女に付き添って甲斐甲斐しく法廷まで送り迎えし、彼女のために証言し、法的支援を提供しました。「僕はあの状況は彼女の側に不公平だと思ったし、彼女は無実だと思ったし、事故だと思っていたからね」と、彼は2009年にCBSの番組『Sunday Morning』のインタヴューでシンシア・バワーズに語っています。

一方で、証拠の取り扱いミスや違法な捜索行為から(警察が令状もなしにロンジェの血液を採取したり、日記を押収したりしていたことが発覚したため、ロンジェの体内からは薬物が検出され、彼女とサビッチの関係が暗礁に乗り上げていたことを示す記述が日記から見つかっていたにも拘わらず、それらは結局証拠として採用されなかった)、陪審の検察に対する心象は大いに損ねられることとなりました。また子供たちがどれほど自分を必要としているかを涙ながらに訴える彼女の姿は、陪審員の心を大きく動かすことに。結局、4判決は過失致死罪(軽犯罪)で有罪となったものの、2年間の保護観察処分、250ドルの罰金、そして30日間の禁錮刑のみに。しかも服役義務はあくまで「自分の都合のいい時に」という驚くほど寛大なもので、彼女はその刑期の殆どを週末に消化することができたのです。

後にサビッチの遺族はロンジェに対し130万ドルの損害賠償を求める民事訴訟を起こしましたが、この訴訟は法廷外で和解に。ロンジェはサビッチや事件について公に語らないこと、自身の人生や裁判に関する本を出版しないことに同意し、彼女の歌手及び女優としてのキャリアはここで幕を閉じることとなったのです。

なお、ロンジェと彼女の弁護人の一人だったロナルド・オースティンは、彼女の判決後まもなく同棲を始めたことが明らかになりました。オースティンは当時既婚者で、2人の子供もいました。二人は1985年6月に結婚し、しばらくはアスペン近郊の5.4エーカーの邸宅に住んでいましたが、後にハワイに移住しました。

彼女を巡るこの事件は、裁判が結審する前の1976年4月に放送された『Saturday Night Live』でパロディ化され、チェビー・チェイスとジェーン・カーティン演じるスポーツキャスターが、コロラド州ヴェイルで開催された「クローディーヌ・ロンジェ招待大会」に参加した競技中のスキーヤーたちが、ロンジェによって次々に「誤射されている」という現場からの実況中継を行いました。この内容が放送された翌週、アナウンサーのドン・パルドは番組内で謝罪文を読み上げました。

また、ザ・ローリング・ストーンズはアルバム『Some Girls』の制作中、その名も「Claudine」というタイトルで嘲笑的な内容の曲を録音したものの、どうやら “法的配慮” から1978年のアルバムには収録されずじまいとなり、2011年にリリースされた同作のリイシュー盤でようやく日の目を見ることとなりました(ちなみに、ロンジェが出した最後のアルバムは1972年の、その名も『Let's Spend the Night Together』です)。
 
安らかなる眠りをお祈りいたします。
Claudine
Let's Spend The Night Together
商品詳細
クロディーヌ・ロンジェ
『Colors』


Amazon Music(FEB 24 1968)
Amazon(2018/9/21)輸入盤CD

商品詳細
クロディーヌ・ロンジェ
『夜をぶっとばせ』


Amazon(2007/5/19)¥2,530

商品詳細
クロディーヌ・ロンジェ
『The Best』


Amazon Music(JAN 01 1998)

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