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フィリー・ソウルのレジェンド、デクスター・ワンセル死去
商品情報 Dexter Wansel 『Time Is Slipping Away』Amazon Music(2019/3/20)
しかし、ワンセルの評価が高まったのは、特に80年代初頭のフィラデルフィア・インターナショナル・レコードの「第二期」において、フィラデルフィア・サウンドに多大な貢献をしたことに起因しています。
きっかけは、ワンセルがイエロー・サンシャインというグループのリーダーだった頃に、PIRの創設者であるケニー・ギャンブルとレオン・ハフに出会ったことでした。彼はG&Hのフィラデルフィア・インターナショナル・レコードとセッション・キーボーディストとして契約を交わし、70年代後半にかけて徐々に組織内で頭角を現していきます。彼のクリエイティヴで魅力的なアレンジとパワフルなプロダクションは、ジャクソンズ、ルー・ロウルズ、フィリス・ハイマン、テディ・ペンダーグラス、MFSB(PIRのハウスバンドで、ワンセルは指揮者を務めていた)などのアルバムで起用され、会社からはますます重要なプロジェクトを任されるようになって行ったのです。そして、更に優れていたのが彼のソングライティング技術でした。長年のソングライティング・パートナーであるシンシア・ビッグスと共に、彼はジョーンズ・ガールズの「Nights Over Egypt」からザ・スタイリスティックスの心に残る「Hurry Up This Way Again」まで、数多くのソウルの名曲でペンを振るったのです。
80年代初期には、ワンセルの生み出す楽曲のクオリティの一貫性はギャンブル&ハフを凌駕していたと言っても過言ではありません。80年代のPIRの最高の作品の多くは、「I Really Need You Now」(オージェイズ)、「You're Leaving」(スタイリスティックス)といったゴージャスなバラードでも、そして恐らく最も高く評価されている「If Only You Knew」(パティ・ラベル)でも、裏方であるワンセルの力によって支えられていたのです。
2004年後半、PIRでの活動を終えてから約2年後、ワンセルはひっそりと10年以上ぶりのソロ・アルバムをレコーディングし、自主リリースしました。このアルバム『Digital Groove World』は主にインストゥルメンタル曲で構成されていますが、ワンセルのテクノロジーへの愛と、型破りで時に予想外のアレンジも相まって、典型的なスムースジャズのアルバムよりも少し風変わりで、はるかに興味深い作品となっています。このアルバムの後、ワンセルは17年間レコーディング活動を休止しますが、2021年にコンセプト・アルバム『 The Story of the Flight Crew To Mars』で復帰しました。
今年4月12日、ロンドンでワンセルを称えるための “Dexter Wansel & Friends celebrate MFSB and the Sound of Philadelphia”(デクスター・ワンセル&フレンズ、MFSBとフィラデルフィア・サウンドを祝う)と題したショーが開催されました。このショーには、フィラデルフィアの偉大なミュージシャン代表であるジーン・カーンとザ・ジョーンズ・ガールズのシャーリー・ジョーンズ、そして33人編成のオーケストラが出演した。当日体調が整わなかったデクスターの代わりに、マッキンリー・ジャクソンがショーの指揮を執り、この偉大なソングライター、プロデューサー、アーティストにふさわしい賛辞が贈られました。
ワンセルの妻ジュディと家族は後に次のような声明を発表しました:「私たちの愛する人であり、グラミー賞受賞者であり、フィラデルフィア・サウンドの立役者の一人であるデクスター・ワンセルへの、皆様からの温かいお悔やみの言葉に心より感謝申し上げます。彼は今、安らかな眠りについています」。
デクスター・ワンセルは、その野心的で創造的なサウンドで、一世代のソウルとジャズの音楽性を形作った人物として、世界中の何百万人ものファンの記憶に残り続けることでしょう。
安らかなる眠りをお祈りいたします。
Dexter Wansel
『Life on Mars』
Amazon Music(JUL 01 1976)
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