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連載 第2回

7/24-26「FUJI ROCK 2026」をとことん楽しみつくす

② 歴代・忘れられないライヴ──対談:美馬 × 大谷 × Yuki

連載『7/24-26「FUJI ROCK 2026」をとことん楽しみつくす』第2回。今回はこれまでのフジロックに関わってきた3人による鼎談で、約30年に及ぶ歴史の中で「忘れられないライヴ」について語っていただきます。登場は、本連載でキュレーター的立場からフジロックの楽しみ方を案内/執筆をする美馬さんと、雑誌『クロスビート』編集長としてその現場を見てきた弊社・大谷英之、その妻にしてオフィシャル・カメラマンとしてあらゆる出演者のステージを取り続けてきたYuki Kuroyanagiのお三方。お読みになっているあなたもその場で目にした、ご記憶にあるものもきっとあるはず。
Yuki Kuroyanagi/畔柳ユキ

ロック写真家。ラモーンズ・ファン・クラブ・ジャパン会長。1983年の『BURRN!』創刊時よりグラフィック・デザインを担当した後、91年に渡米し、カメラマン・アシスタントとして修行期間を送る。帰国後、スタジオ勤務を経て独立。フジロックとサマーソニックは第1回よりオフィシャル・カメラマンとして参加した他、ロックからクラシックまで音楽を中心にエンタメ業界で撮影を続けている。ジョニー・ラモーンから直々の命を受けて93年に立ち上げたFCは現在も活動中。
大谷英之/Hideyuki Otani

元『クロスビート』編集長。パンク専門誌『DOLL』の門を叩き音楽業界入り。1988年の創刊時より『クロスビート』に関わり、後に編集長を務める。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、グリーン・デイ、デヴッド・ボウイ、エアロスミス、U2など数多くのアーティストを取材。またフジロックは第1回から公式パンフレットの制作にも携わった。現在もロック関連本を編集・執筆し続け、近刊には『ザ・クラッシュと日本』などがある。
美馬亜貴子/Akiko Mima

札幌出身の編集者/ライター。ラジオDJ(AIR-G、HBC)を経て1993年シンコーミュージックに入社。洋楽雑誌『クロスビート』の編集者として勤務、その後、フリーランスになり2002年~2019年までフジロック・オフィシャル・パンフ編集長を務める。編集本に『「ビートルズと日本」新聞が見た来日狂騒曲』(大村亨著)、『JAPAN The Photo Sessions』、『ジョン・フルシアンテ・ファイル』などがある。

◆歴代・忘れられないライヴ

美馬:この3人は97年の第一回から参加している、いわばフジロックの「生き証人たち」(笑)です。97年のオフィシャル・パンフはユキさんがデザインして、クロスビートが編集をしましたね。そんなフジロックを知り尽くした我々が、フジロックの魅力を語る対談シリーズということで、まず1回目は「ライヴ編」です。これまで本当に沢山のフジロック伝説に立ち会ってきましたけど、その中でも忘れられないライヴは何ですか?

大谷:俺はやっぱり1回目のレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンだな。あの時はまだ天気のこととか舐めてて、透明の薄いレインコート着て、土砂降りの中行ってさ(笑)。あんなでかい規模のスタンディングは初めてだったのに、そこに豪雨が来て、(群衆から)ものすごい湯気がボーッ!!って上がってたじゃん。あの光景も忘れられないし、プロディジーが飛び入りした時の化学反応も凄かった。すごいエネルギーだったね。
1997年、クロスビート編集部制作による第1回のパンフ。大型ロック・フェスの誕生に興奮しながら作成した。

Yuki:私が印象的だったのはフー・ファイターズ。ズブ濡れで本当に過酷な状況だったけど、パフォーマンスで気持ちを上げられるんだなっていうのを体感した。彼らには本当に救われた。だってデイヴ(・グロール)だって口に雨がガンガン入ってたんだよ。向こうも雨の中頑張ってるから、こっちも頑張ろうと思ったことを覚えてる。

美馬:97年はとにかく強烈でしたよね。会場の風景とか、改めて写真で見るとそこらじゅうにゴミが散乱してて地獄絵図なんですけど、それでも「楽しかった」っていう記憶の方が勝っているのがとても不思議(笑)。
 

FOO FIGHTERS 初年度のフジをデイヴが語る!
Yuki:そうね。すごいものを体験したなって感じでしたよね。濡れたカッパが湿気で身体にべったり張り付いて気持ち悪いんだけど、どうにも出来ない……そういう体験も全部含めて忘れられないよね。

美馬:それ以外で言うと、私が一番覚えてるのは 2013年のナイン・インチ・ネイルズ。あれもライヴ中ずっと大雨で、雷は鳴り響き、稲妻は光るという壮絶な体験でした。演奏の最中に「ピシャッ!」「ドーン!」って音がずっと鳴ってて、それがナイン・インチ・ネイルズの世界観にハマってた。

Yuki:ああ、あれね! 私は撮影してたからビカビカ光ってたのは見えなかったんだけど、音は演出かと思ったよね(笑)。
3人の会話に出てくる嵐の一日の模様は、フジロックの歴史をまとめたDVD『FUJIROCKERS DVD』(08年:WHD ENTERTAINMENT)に収録。そのめちゃくちゃさ加減、映像でぜひ触れてほしい。
美馬:トレント・レズナーって、びしょびしょに濡れたり泥まみれになったりしてるのが似合う(笑)。

大谷:確かに(笑)。1994年のウッドストックでも泥まみれになってたしな。あと、雑誌目線で言うと、 1回目のフェスは「成功」とは言えなかったじゃない? それを考えると、日本のフェスの一歩目はやっぱり2回目の豊洲だったと思うんだけど、その時にどうしても観客を表紙にしたいと思ってて。で、一番会場が盛り上がったTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、それを見てる観客の写真を表紙にしたんだ。青空だったし、すごい良かった。

Yuki:2011年にコールドプレイがヘッドライナーをやった時も思い出深い。この時も確か雨が降ってたんだけど、撮影してて「Viva La Vida(邦題『美しき生命』)」の時に、クリス・マーティンがピアノを弾くのに座ってて、カメラ越しに目が合ったんですね。こっちを向いて「今からやるぞ」み
1998年、豊洲で開催されたフジロックを報じる『クロスビート』は、「観客が主役」のフェスを象徴する表紙。
たいな顔してたわけよ。それでとにかく連写したんだけど、そこからの盛り上がりが本当に凄くて。ヒット・チューンがあるっていうのは凄いことだなってしみじみ感じたことを覚えてる。

大谷:フジロックといえば雨だよね。雨の時の方が忘れないよ。

Yuki:そう、確かに雨の方がなんだか知らないけどテンション上がっちゃってさ(笑)。大変な状況で見てるから、マイナーな曲でも1.5倍は良く聞こえちゃう。あと、私はステージのすぐ前で写真撮ってるからよくわかるんだけど、アーティストも雨が降ると絶対頑張っている。雨という特別な状況をポジティヴに捉えて、盛り上げようと思うんだろうね。それがフジロックの魅力の一つな気もしてる。撮影してない時だから言えるのかもしれないけど(笑)。

美馬:ホント、思い出すのは雨のアクトばかりですね。2019年のシーアはフジロック豪雨伝説の中でもトップ3に入る大雨で、10メートル先も見えなかった。
コールドプレイをフィーチャーした『クロスビート』、2011年のフェス特集。

◆フジロックならではの一期一会も

大谷:フェスならではの伝説的共演もいっぱいあったね。特に 2002年のレッチリとジョージ・クリントン。彼の出番は初日だったのに、それから2日残って最終日のレッチリのゲストに出たんだよね。あと、2001年、14年ぶりにニュー・オーダーが来日してフジロックに出た時は、スマッシング・パンプキンズのビリー(・コーガン)がいたじゃん(※)。他にも、2005年のプライマル・スクリームのステージにJ・マスシス(ダイナソーJr.)が出たけど、あんなのだってあそこでしか見てないからね。そんな 1回限りの共演が色々見られるのがフジロックだよね。

美馬:お祭り感ありますよね。
(※)2000年にスマッシング・パンプキンズが解散した後、ゲスト・ギタリストとして参加していた。
大谷:祭りってことで言うと、例えば去年のROUTE 17 Rock ’n’ Roll Orchestra。山下久美子とリアム・オメンリィと甲本ヒロトが同じステージ上がるってことだけでも凄いのに、最後はみんなで「ドレミの歌」歌うんだよ。めちゃ豪華。俺からすると、ROUTE~はもっと評価されてもいいと思う。恒例の企画になっているからみんな普通に受け止めてるけど、ホントに超豪華な共演が毎年毎年見られるからね。

Yuki:あと、ヘッドライナー級のアーティスト以外にも幅広いというか、ニッチというか、「うわ、こんなのが見られるんだ」っていうのもあったよね?

大谷:そうだよね。俺の場合はキリング・ジョークとかシスターズ・オブ・マーシー。まさか見られるとは思ってなかったからね。
毎年超豪華な出演者が一堂に会しフェスのスタートを派手に盛り上げてくれるROUTE 17 Rock’n’roll Orchestra。2025年は山下久美子、甲本ヒロトに加えてホットハウス・フラワーズのリアム・オメンリィ、USも登場。
Pic:Masanori Naruse
美馬:私もそれで言うと 2008年のスパークス。彼らを野外で見られるとは!って興奮しました。あまりにも素晴らしいライヴだったので、感想を書いてFacebookに送ったらラッセル本人から返事が来たんですよ!「フジロックは楽しかった。僕たちにとっても最高の経験だったよ」って。あれは嬉しかったな。

Yuki:やっぱりフジロックは特別だよ。野外だったらどこでもいいのかというと、それは違うんだよね。

大谷:うん、同じバンドでもシチュエーションによってライヴの出来も変わってくるけど、フジロックで見ると凄く良く感じるというのはあるな。
 


FUJI ROCK FESTIVAL'26

・日程:2026年7月24日(金)25日(土)26日(日)
・会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場

公式ページ:FUJI ROCK FESTIVAL'26

ラインナップ順次追加、チケット発売中。このほか詳細、最新情報はオフィシャルサイトにてご確認ください。

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