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連載 第7回

7/24-26「FUJI ROCK 2026」をとことん楽しみつくす

⑦ 7/26 - DAY3・最終日詳細レポート

参加者の内省をも促すような、深い音楽体験

7月24日(金)から26日(日)の3日間、新潟は湯沢町・苗場スキー場で開催されたフジロック2026。3日間の日程を3回に分けてお送りしてきたライヴリポート編もこの第3弾でラストです。最後までお付き合いいただきどうもありがとうございました。3日目「DAY 3」詳細リポート、ごゆっくりお楽しみください。


FUJI ROCK FESTIVAL'26

・日程:2026年7月24日(金)25日(土)26日(日)
・会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場

公式ページ:FUJI ROCK FESTIVAL'26

◆“フェス飯” もまた楽し!──勝手にランキング2026発表

文◉美馬亜貴子

 
あっという間に最終日。
 
午前中は雨が強く降ったのでゆっくりめに会場に入ると、レッドマーキーでThe Lemon Twigs(ザ・レモン・ツイッグス)が息の合った美しいコーラスワークを響かせていた。1960~70年代のブリティッシュ・ポップやソフト・ロックへの深い愛情を感じさせる楽曲群は、最終日の穏やかな空気を優しく彩った。親しみやすいメロディと確かな演奏力に裏打ちされた彼らのライヴは、現代のバンドでありながらどこかクラシカルな気品も漂わせ、集まった人たちの表情を自然とほころばせていた。

そのあとはホワイトでGRAPEVINE(グレープヴァイン)を久しぶりに見て、そのままフィールドオブヘヴンでPLINI(プリニ)。プログレ風味の技巧派インストは野外フェスにぴったりだ。しばしのんびりと楽しむ。ふと後ろを振り返ると、毎年長蛇の列ができているキューバサンドの屋台(PRIMAL)に、人がほとんど並んでいないことに気がついた。たまにある「エアポケットのような時間」である。これはラッキーと、すぐにゲット。これ、プルドポークがぎっしり入っていてとても美味しいので、来年はみなさんもぜひ食べてみてください。

今年もたくさんのフェス飯を食べたが、勝手にランキングすると以下の通り!
★ フェス飯勝手にランキング ★

1位・PRIMALのキューバサンド
フェス飯に定評のあるフジロック。今年美味しかったものベスト3はキューバサンド、ハンバーガー、牛すじビリヤニ。
 
2位・MONTANAのハンバーガー
3位・WE ARE THE FARMの牛すじビリヤニ

◆初見だった友人は終演後もしばらく言葉を失い呆然──平沢進

平沢進+会人(GREEN STAGE)
ライヴの話に戻ると、この日の個人的ハイライトは平沢進+会人だった。レッドマーキー(2019年)→ホワイト(2021年)と、着実に評判を上げてきた経過も知るだけに、40年来のファンとしては、ついにその姿をグリーンステージで見ることができた感慨は大きい。

レーザーハープや、演奏と同期して火花を放つテスラコイルなど、フューチャリスティックな楽器を駆使したステージは、トガった電子サウンドと朗々とした歌声のコンビネーションが織りなす独特の世界。何にも似ていない、まさに唯一無二のパフォーマンスだ。

チケットの入手が極めて困難なアーティストだけに、この日初めて平沢進を体験した観客も少なくなかったはずだ。実際、初見だった友人は終演後もしばらく言葉を失い呆然としていた。SNSなどを見ると、この日を境に「沼落ち」した人も多い様子。海外からの来場者も数多く集まるフジロックにおいて、日本のコンテンポラリー・ミュージックの一つの到達点ともいえる彼のステージがどのように映ったのか興味深い。世界水準で見ても極めて独創的なライブ・パフォーマンスを行なうアーティストであることは間違いないだろう。

◆これをただ “鑑賞” してはいけない──マッシヴ・アタックによる大団円

MASSIVE ATTACK(GREEN STAGE)
そして、この日のラストを飾ったMASSIVE ATTACK(マッシヴ・アタック)は、音楽の枠組みそのものを拡張するような圧巻のステージを見せてくれた。

スクリーンには、イスラエル・パレスチナ問題、トランプ、排外主義、監視社会、フェイクニュースへの批判や気象危機など、現代社会を覆う数々の問題が次々と映し出される。特定の権力や思想を名指しで批判するその姿勢は挑発的ですらあったが、それは単なる政治的メッセージではなく、情報が洪水のように押し寄せる時代に、「私たちは何を信じるべきなのか」という根源的な問いを観客へ突きつけていた。なかでも強烈だったのは、終盤にスクリーンへ映し出された「自分の感情や思考は、本当に自分自身のものなのだろうか」という文言。SNSやアルゴリズムが情報を選別し、人々の価値観さえ容易に左右する時代だ。その中で、自ら見て、考え、判断することの重要性を、静かに、しかし鋭く訴えかける彼らのスタイルには打ちのめされてしまった。流行や世論に流されず「個」として立つこと。その精神には確かに “パンク” が息づいていた。

ゲスト・ヴォーカルとしてエリザベス・フレイザー(コクトー・ツインズ)とホレス・アンディが揃って参加したことも特別だった。

ラスト・ナンバーは名盤『メザニーン』から「Teardrop」。フレイザーの歌声は、混沌とした映像演出の中で一筋の光のように胸へ染み込み、苗場全体を静かな感動で包み込んだ。

音楽、映像、インスタレーション、社会批評──それらすべてが融合したMASSIVE ATTACKのステージは、単なる音楽ライヴではなく、重厚なテーマを擁した現代アートと言ってもいいだろう。祝祭空間から現実に引き戻された感覚があったが、これをただ “鑑賞” してはいけない──そう思った。サウンドは夢幻的で、非日常的な陶酔感をもたらすのだけど、心には非常にずっしりとしたものが残った。

◆最後に。そして来年は、フジロック30周年

こうして今年のフジロックを振り返ってみると、例年よりも長い余韻をもたらすアクトが多かったように思う。ヘッドライナーはいずれも陰陽で言うと「陰」のバンド。彼らの佇まいは、揺れる世界情勢ともリンクして、参加者の内省を促すような、深い音楽体験を与えてくれた。
 
また、ラインナップ発表の段階では円安の影響を懸念する声(そのためにビッグネームを呼べないというもの)が聞こえもしたが、それも盛り上がりと言う観点で言えば杞憂であった。先にも書いた通り、欧米圏以外のアーティストが強い存在感を放っていたことは印象的で、メキシコのSON ROMPE PERAをはじめ、トルコのALTIN GÜN(アルティン・ギュン)、ハンガリーのBOHEMIAN BETYARS(ボヘミアン・ベチャーズ)、アルゼンチンのTrueno(トレノ)、インドのTĀL FRY(タール・フライ)など、それぞれが自国の伝統や文化を現代的なサウンドへ落とし込んで、多様な音楽文化を味わわせてくれた。

世界各地の音楽が同じ苗場の地で鳴り響き、互いの文化と価値観が交差する──その多様性こそが、今年のフジロックを象徴するものだったように思う。

海外からの参加者も例年以上に多かったようなのも喜ばしい。それは会場を歩いていても実感したし、オアシスの掲示板には台湾や韓国から来た人たちのメッセージも沢山書かれていた。
 
来年はフジロック30周年。節目の年がどのようなものになるのか、とても楽しみだ。スタッフの皆さん、会場でお会いした皆さん、ありがとうございました。また来年お会いしましょう!

オアシスの掲示板には外国語による書き込みも多数見られた。

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