【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』
連載開始! 第1回・プリンス
いよいよ本日から始まりました「【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』レコード評原稿・再掲載」。今回の企画は、志村けん氏が弊社刊行の雑誌に書き残した原稿を今一度掲載することで、あまり語られることのない側面にスポットを当て、同じ「いち音楽ファンとしての志村けん」に、我々なりに追悼の意を捧げたいという気持ちを所属事務所にもご理解いただき、実現しました。
そしてお読みになりたい原稿のリクエストを募集しております。詳しくは4月27日MLCニュースをご覧ください。締め切りは5/31(日)23:59まで、それまでどしどしご応募お待ちしております。
【音楽雑誌『jam』】
『jam』は、1978〜1981年に弊社が刊行した音楽を中心としたカルチャー雑誌。『ミュージック・ライフ』『ロック・ショウ』と編集長を歴任した水上はる子氏が立ち上げ、ティーンを主な対象読者としたそれら2誌に対し、もう一段階上の年齢層、言わば “その2誌を卒業した読者” に向けたものでした。
今回の原稿が掲載されたのは1980年4月号。この時の編集長は高橋まゆみ氏になっています。表紙/目次をご覧いただければ、どんな雑誌だったか、そしてどんな時代だったかがお分かりいただけると思います(タップ/クリックで拡大できます)。
◾️同号アルバム評ページ、その他の掲載作品(※太字は志村けんさん執筆分)
マッドネス『ワン・ステップ・ビヨンド』、ボビー・コールドウェル『ロマンティック・キャット』、ブラザーズ・ジョンソン『ライト・アップ・ザ・ナイト』、ダニー・コーチマー『危険な遊び』、インメイツ『ファースト・オフェンス』、ジルベルト・ジル『レアルシ(輝き)』、フォクシー『パーティ・ボーイズ』、シェリル・リン『イン・ラヴ』、ピーター・グリーン『虚空のギター』、林 子祥『YMCA好知己──Hit Pops中国語盤』、甲斐バンド『100万$ナイト(武道館ライヴ)』、シェール『地獄からの誘惑』、ユートピア『アドヴェンチャーズ・イン・ユートピア』、ザ・ナウ『恋のリアクション』、ザ・ツーリスト『リアリティ・エフェクト』、パブリック・イメージ・リミテッド『メタル・ボックス』、デイヴィッド・ゲイツ『もう一度』、プリテンダーズ『愛しのキッズ』、Various Artists『ビジネス・アンユージュアル(ZIGZAG誌編集)』、ダムド『マシンガン・エチケット』、プリンス『愛のペガサス』、ミリー・ジャクソン『ミリー・ジャクソン・ライヴ』、リンダ・ロンシュタット『激愛』、リンダ・ルイス『109 ジャマイカ・ハイウェイ』、イエロー・マジック・オーケストラ『公的抑圧』、ロジャー・ヴドゥーリス『ロマンの囁き』
◾️執筆陣
近田春夫、志村けん、ピーター・バラカン、中村とうよう、糸井重里、湯川れい子、福田一郎、木崎義二、大伴良則、藤 吉郎、高橋まゆみ(jam編集長)
【プロフィール】志村けん(しむらけん)
東京都東村山市出身のコメディアン。1950年2月20日生まれ、A型。荒井 注脱退に伴いザ・ドリフターズに加入、間も無く『8時だヨ!全員集合』で「東村山音頭」「ヒゲダンス」などでお茶の間の人気は絶頂に。その後も「バカ殿様」「変なおじさん」といったキャラクターを生み出した。テレビでは『天才!志村どうぶつ園』にレギュラー出演していたが、2020年3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎で他界された。享年70。
音楽、特にブラック・ミュージック、ディスコ・ミュージック好きとして当時から広く知られていたことから、弊社『jam』でアルバム評を執筆することに。「ヒゲダンス」のトラックはテディ・ペンダーグラス、「ドリフの早口言葉」はシュガーヒル・ギャング+ウィルソン・ピケットで、いずれも自身によるセレクトであるというエピソードが知られている。また中学時代は熱烈なビートルズ・ファンで、1966年の武道館公演を見に行った逸話を披露したりもしていた。
【追悼企画】志村けんがライターとして執筆した、80年代ブラック・ミュージックのアルバム解説原稿再掲載
【第1回・プリンス『愛のペガサス』】
US:Prince / Prince 1979年10月19日発売
(Warner Bros. Records/BSK 3366)
日本:プリンス『愛のペガサス』 1980年1月5日発売
(ワーナー/P-10782W)
Side A
1. I Wanna Be Your Lover/ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー(5:47)
2. Why You Wanna Treat Me So Bad?/つれない仕打ち(3:49)
3. Sexy Dancer/セクシー・ダンサー(4:18)
4. When We're Dancing Close And Slow/寄りそうふたり(5:18)
Side B
1. With You/ウィズ・ユー(3:59)
2. Bambi/バンビ(4:22)
3. Still Waiting/愛を待ちながら(4:24)
4. I Feel For You/恋のフィーリング(3:24)
5. It's Gonna Be Lonely/ゴナ・ビー・ロンリー(5:30)
レコードのヴァラエティ・ショウ
プリンス『愛のペガサス』 ワーナー(P-10782W)
フヒャー! 何んだこの野郎はという感じである。解説書によれば19歳の新人、しかも全曲オリジナルでプロデュースまでしているとある。そのせいか曲順の構成がよく検討されていて、何回聴いても倦きることがない。このレコードまさにレコードのヴァラエティ・ショウである。1曲目、2曲目共メロディー・ラインを重視した軽快なロックであり、誰の耳にもすんなり溶け込める気がする。ディスコ調の “セクシー・ダンサー” は今までのディスコ曲とは異なる新鮮さを備えている。間奏に入る息使いなんかお主なかなかやるなあといえる。歌詞がわからないのが残念だ。スロー・ナンバーは余りにもメロディーが魅力に溢れ、B面の2、3曲目はフランプトンを想起させる。ただ難をいえば彼のファルセット・ヴォイスは、人によって好き嫌いがあるだろう。(志村けん)
註:
Prince
『Prince』
CD(2004/6/1)輸入盤
Booking – Steve Fargnoli
Concept By[Album]– Prince
Design[Album Design]– George Chacon, Lynn Barron
Design[Calligraphy]– Terry Taylor
Engineer – Gary Brandt
Engineer[Assistant]– Mark Ettel
Featuring[Heaven-sent Helpers]– Andre Cymone, Bobby Z
Management[Personal Management And Direction]– Perry Jones Management
Mastered By Bernie Grundman
Photography By[Back Cover]– Chris Callis
Photography By[Front Cover]– Jurgen Reisch
Producer, Arranged By, Composed By, Performer – Prince
Remix – Bob Mockler, Prince
Written By – Prince
Recorded at Alpha Studios, Burbank, California
Remixed at Hollywood Sound Recorders, Hollywood, California
Mastered at A&M Records, Hollywood, California
【プロフィール】プリンス(Prince)
1958年6月7日、合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。本名プリンス・ロジャー・ネルソン。1978年『フォー・ユー』でデビュー。この頃既に27種もの楽器を演奏できたというマルチ・プレイヤー振りで、“ネクスト・スティービー・ワンダー”と形容されることも。82年リリースの5作目『1999』が世界的に大ヒット。翌84年、自伝的映画のサントラでもある6作目『パープル・レイン』が全米でアルバム・チャート24週連続1位、1,300万枚のセールスを記録。89年、映画『バットマン』の音楽を担当。92年には発音不能のシンボル・マークをアーティスト名に冠して話題を呼ぶ。96年には自身のレーベルNPGをスタートさせた。
これまでグラミー賞7度受賞、47枚のアルバム(サントラ盤、ライヴ盤含む)を発表し、12作品のプラチナ・アルバム(100万枚以上のセールス)と30曲のトップ40シングルを生み出し、アルバム累計1億枚以上のセールスを記録。2016年4月15日、自家用ジェット機で移動中、体調が悪化し病院に緊急搬送される。4月21日ミネソタ州の自宅兼スタジオのペイズリー・パーク・スタジオ内にて死亡が確認される。
アルバム『愛のペガサス』(原題:Prince)は、1979年に発表した彼の2作目で、ヴォーカルだけでなくすべての楽器の演奏も自身でこなした。ビルボード総合チャートでは最高位22位、R&Bチャートでは3位を記録。その結果本国アメリカでプラチナディスクを獲得した作品。
(ワーナーミュージック・ジャパン 公式ページより抜粋/追記)
次回は5月15(金)掲載予定です。お楽しみに。
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