【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』
連載第4回・エアプレイ

「【追悼企画】『志村けんが愛したブラック・ミュージック』レコード評原稿・再掲載」はもう第4回となりますが、いよいよ今回からみなさまからリクエストいただいたものからのピックアップとなります。メール/ツイッターなどでご応募くださったみなさま、数百にも及ぶ多数のリクエストどうもありがとうございました。
この連載は、70〜80年代にかつて弊社が刊行した音楽&カルチャー雑誌『jam』に掲載された、志村けんさんがお書きになったレコード評原稿を再掲載しています。そのレコード評原稿というのは、まず “聴き手”としての鋭い目線に加え、さらに “書き手”として、原稿の文字数が短いからこそ知見・力量が問われるというもの。しかもそこに自らのキャラクターまでをも練り込んでいるのだから、かなりの手練れ。30余年前に書かれた原稿ですが、みなさんの目にはどう映るでしょうか。
2020.05.01
『志村けんが愛したブラック・ミュージック』【第1回・プリンス】
2020.05.15
『志村けんが愛したブラック・ミュージック』【第2回・マイケル・ジャクソン&ジャクソンズ】
そして本日はその第4回め、みなさんからの「読んでみたい!」というリクエストが最も多かった、エアプレイの『ロマンティック』評原稿をお送りします。
【音楽雑誌『jam』】
『jam』は、1978〜1981年に弊社が刊行した音楽を中心としたカルチャー雑誌。『ミュージック・ライフ』『ロック・ショウ』と編集長を歴任した水上はる子氏が立ち上げ、ティーンを主な対象読者としたそれら2誌に対し、もう一段階上の年齢層、言わば “その2誌を卒業した読者” に向けたものでした。
【『jam』1980年5月号】
今回の原稿が掲載されたのは『jam』1980年5月号(この号の編集長は高橋まゆみ氏)、表紙はボブ・ゲルドフ。彼が率いるブームタウン・ラッツは当時日本でも大人気を誇り、この時は初来日公演を目前に控えての独占インタヴューを巻頭に据えた号でした。表紙/目次でこの雑誌や当時の雰囲気に思いを馳せながら、志村さんの原稿もお読みください(タップ/クリックで拡大できます)。
◾️同号アルバム評ページ、その他の掲載作品(※掲載順、太字は志村けんさん執筆分)
エアプレイ『ロマンティック』、エルヴィス・コステロ『ゲット・ハッピー!』、マイク・オールドフィールド『プラチナム』、シルヴェイン・シルヴェイン『ティーンエイジ・ニュース』、フライング・リザーズ『ミュージック・ファクトリー』、スー・サッド・アンド・ザ・ネクスト『紅の犠牲者』、アネット・ピーコック『パーフェクト』、ブルーフォード『トルネード』、ピーター・ブラウン『恋のスターゲイザー』、ウォーレン・ジヴォン『ダンシング・スクールの悲劇』、ボブ・シーガー&ザ・シルヴァー・ブレット・バンド『奔馬の如く』、エックス『EX』、ビリー・ジョエル『グラス・ハウス』、パット・ベネター『真夜中の恋人達』、ロバータ・フラック『ダニーに捧ぐ』、マートン・パーカス『仮面の群集』、ザ・スクェア『ロックーン』、ジェネシス『デューク』、ラモーンズ『エンド・オブ・ザ・センチュリー』、一風堂『ノーマル』、マリアンヌ・フェイスフル『ブロークン・イングリッシュ』、ウィルバート・ロングマイヤー『オール・マイ・ラヴ』、ザ・ナック『ナック2』、フィル・ダニエルズ&ザ・クロス『キングス・クロスの青春』フランキー・ミラー『フォーリング・イン・ラヴ』、マックス・ミドルトン&ロバート・アーワイ『アナザー・スリーパー』
◾️執筆陣(掲載順)
近田春夫、高橋まゆみ(本誌編集長)、志村けん、ピーター・バラカン、中村とうよう、糸井重里、湯川れい子、千葉和臣(海援隊)、中牟田俊男(海援隊)、木崎義二、福田一郎
【プロフィール】志村けん(しむらけん)
東京都東村山市出身のコメディアン。1950年2月20日生まれ、A型。荒井 注脱退に伴いザ・ドリフターズに加入、間も無く『8時だヨ!全員集合』で「東村山音頭」「ヒゲダンス」などでお茶の間の人気は絶頂に。その後も「バカ殿様」「変なおじさん」といったキャラクターを生み出した。テレビでは『天才!志村どうぶつ園』にレギュラー出演していたが、2020年3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎で他界された。享年70。
音楽、特にブラック・ミュージック、ディスコ・ミュージック好きとして当時から広く知られていたことから、弊社『jam』でアルバム評を執筆することに。「ヒゲダンス」のトラックはテディ・ペンダーグラス、「ドリフの早口言葉」はシュガーヒル・ギャング+ウィルソン・ピケットで、いずれも自身によるセレクトであるというエピソードが知られている。また中学時代は熱烈なビートルズ・ファンで、1966年の武道館公演を見に行った逸話を披露したりもしていた。
【追悼企画】志村けんがライターとして執筆した、80年代ブラック・ミュージックのアルバム解説原稿再掲載
【第4回・エアプレイ『ロマンティック』】

Airplay / Airplay
US:Airplay / Airplay 1980年発売
(Tamla/T8-373M1)
日本:エアプレイ『ロマンティック』
1980年4月発売
(RCA/RVP6456)
Side A
1. Stranded/ストランデッド(4:28)
2. Cryin' All Night/クライン・オール・ナイト(4:47)
3. It Will Be Alright/イット・ウィル・ビー・オールライト(4:00)
4. Nothin' You Can Do About It/貴方には何も出来ない(4:42)
5. Should We Carry On/シュッド・ウィ・キャリー・オン(3:47)
Side B
6. Leave Me Alone/リーヴ・ミー・アローン(4:35)
7. Sweet Body/スウィート・ボディ(4:40)
8. Bix/ビックス(4:15)
9. She Waits For Me/彼女はウェイト・フォー・ミー(3:41)
10. After The Love Is Gone/アフター・ザ・ラヴ・イズ・ゴーン(4:29)
ミドル・ティーンにおすすめしたい
エアプレイ『ロマンティック』RCA(RVP6456)


Art Direction, Design – Tim Bryant
Photography By – Bob Seidemann
Designed At – Gribbitt!
Recorded At – Sunset Sound Recorders, Davlen Sound Studios
Engineer – Keith Olsen, Humberto Gatica, David DeVore, Mark Linett
Overdubbed At – Garden Rake Studio, Conway Studios
Mixed At – Garden Rake Studio
Mastered At – A&M Mastering Studios
Mastered By – Bernie Grundman
Pressed By – RCA Records Pressing Plant, Indianapolis
Management – Shankman/De Blasio
A&R – Marge Meoli
Arranged By [Horn] – David Foster, Jerry Hey
Guitar, Lead Vocals, Backing Vocals, Overdubbed By, Mixed By – Jay Graydon
Keyboards, Backing Vocals – David Foster
Lead Vocals, Backing Vocals – Tommy Funderburk
Backing Vocals – Bill Champlin, Max Gronenthal, Tom Kelly
Bass – David Hungate
Drums – Jeff Porcaro, Mike Baird
Programmed By [Synthesizer] – Pete Robinson, Steve Porcaro
Rhythm Guitar [Additional] – Ray Parker Jr., Steve Lukather
Trombone – Bill Reichenbach, Charles Loper, Lew McCreary
Trumpet – Gary Grant, Steve Madaio
Trumpet, French Horn – Jerry Hey
【プロフィール】エアプレイ(Airplay)
エアプレイは、いずれもセッション・ミュージシャン/プロデューサーとして高名な、ジェイ・グレイドンとデヴィッド・フォスターの二人によるユニット。アルバムはこの『ロマンティック』のみだが、TOTOのメンバーらも大挙して参加していることで、本作は特に日本のファンの間では長らく人気が高い。90年代以降のAOR人気の追い風も受け、現在もリイシューが途切れず続いているのはおそらく日本のみ。
ジェイ・グレイドン、1949年10月8日、ロサンジェルス生まれ。68年頃からジャズ系のセッションをはじめ、74年頃からポップス系のレコーディングにも参加するようになり、スティーリー・ダンの1977年のアルバム『彩(エイジャ)』に収められた「ペグ」でのギター・ソロで一躍有名に。1979年からはプロデューサーとして、マンハッタン・トランスファー、アル・ジャロウ、ジョージ・ベンソン等などを次々とヒットさせ、80年以降もプロデューサー、ミュージシャンとして活躍を続けている。
デヴィッド・フォスター、1949年11月1日、カナダのブリティッシュ・コロンビア州生まれ。スカイラークというバンドで活動した後、ロサンジェルスでセッション活動を開始、ジョージ・ハリスン、ロッド・スチュワートなどのアルバムに参加。70年代後半には売れっ子プロデューサーとなり、ヒット作品を次々生んでいく。シカゴ、ナタリー・コール、ホイットニー・ヒューストン等など、数えきれないほどの大ヒット曲を制作。80年代には松田聖子をはじめ、多くの日本人アーティストも手がけた。
※ソニー・ミュージックエンタテインメント/アーティスト・ページより抜粋、追記して構成。
今回は、志村さん全執筆分(4月27日MLCニュース参照)の中ではちょっと異色なグループ/作品でした。あまりお好みではなかったようですが、ちょっと距離を置きながらも、どうにかその爽やかさを伝えられないかという気持ちがにじみ出ています。R&Bから連なるディスコ・ミュージックだからではなく、「当時日本のディスコではこういうものも人気だった」から引き受けた、というのが真相なのではないでしょうか。
ということで、今回からリクエストの多かったものから順に掲載してまいります。次回第5回は6月26日(金)正午に公開いたしますので、次回もどうぞお楽しみに!

-
レイチェル さん投稿日時 2020.06.13 07:09
志村けんさんのエアプレイのレコード評原稿再掲載♪ありがとうございます。
でもけんさん…あまりお気に入りでもなかったようで笑いました。
記事より
ミドル・ティーンの恋に恋するような女性にはおすすめしたい。音楽に年代はないかもしれないが僕らの年代向きではないと思う
私は当時、女子高生
けんさん♪その通りです…笑


![バンド・スコア TOTO・ベスト・セレクション[ワイド版]](https://www.musiclifeclub.com/global-image/units/img/506141-5-20200410121136_b5e8fe3e88453c.jpg)

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